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第209話 遠征?


「それで具体的にどこに行くかだな。俺、知らんぞ」

「ユウマは転生者だもんね。でも、私もほぼ知らないよ? ここと王都がメインだもん」


 だろうな。


「うーん……それはアリスもだし、アニーは地元から出ない。旅するリリーはリリーだから無理だな」

「あれ? リリーって理由? なんで外されたの?」


 一生懸命何かを彫っていたリリーが顔を上げる。


「いいからお前は彫れ。キツネか?」


 耳的にキツネっぽい。


「うん! もう少ししたらできるからあげるね!」


 どうも……


「パメラ、知ってるか?」


 やはりこういうのはパメラだろう。


「うーん、やっぱり南のアクサ共和国じゃないですかね? 私も行ったことはないですけど、そこなら暖かい気候だし、稼げるような町もあります。王都、自由都市トーリー、迷宮都市リアンが有名です」


 当たり前だが、知らんな。


「おすすめは?」

「まあ、王都ですかね? でも、遠いんですよね。リアーヌ様は行ったことあります?」

「いや、北部の町しかない」


 ひとまず、そこまでは飛べるわけだ。


「自由都市トーリーと迷宮都市リアンは?」


 自由って何だ?

 そして、迷宮って何だよ……


「自由都市トーリーは西部にある港町です。商業が発展しており、中継都市でもあるので世界中のものが集まる大都市です。当然、仕事も多いんですが、とんでもなく治安が悪く、マフィアも多い都市なのでこのメンツではおすすめしません。私も行きたくないですし、特にリリーさんがマズいです。エルフはちょっと……」

「誘拐されるのか?」


 珍しいからかな?


「はい。そういう事件も多いんです。そして、一度海に出られると追えません」 


 確かにな……

 どこに行ったかわからなくなる。


「式神はつけるが、治安の悪い町は避けた方が良いな」


 リリーの他にもエロい女とすぐに騙せそうな女とチビ3人だもん。


「皆さん、そういうところに慣れていないでしょうし、そうした方が良いと思います」

「じゃあ、迷宮都市リアンか? 迷宮ってなんだ?」

「迷宮というのは魔物が無限に湧く洞窟のことですね」


 は?


「無限? めっちゃ危なくないか?」


 塞げよ。


「いえ、洞窟内に魔物が湧くんですけど、この魔物が外に出ることはありません。というよりも外に出ようとした魔物は煙のように消えるのです」


 ……柔軟。

 俺は柔軟なんだ。


「そういう謎の現象が起きる洞窟という認識でいいか?」


 意味不明だが……


「はい。実は魔物を倒しても同じように消えます。その魔物は迷宮が生み出していると言われています」

「何のために?」

「人を食べるためと言われていますね。魔物を倒すと魔石が落ちます。その他にも色々な物が落ちるんです」


 人を食べる?

 洞窟が?


「色々なものって?」

「お金であったり、装備品であったり。それはもう様々です」

「どっから来るんだ?」

「食べられた人の持ち物を吐き出していると言われています」


 なんか気持ち悪いな。


「つまりこういうことか? 迷宮とやらはそういうもので人を釣り、魔物に殺させる。それで死体を食い、残った装備品でさらに人を釣る」

「そうなります。だから迷宮というのは実力者が儲かるんです」


 弱い奴が食われ、強い奴がそれを回収するわけだ。


「なんか博打みたいだな」


 あれも運の良い奴が儲かるが、それ以外は搾取されまくる。

 そして、胴元はどう転ぼうが儲かる仕組みだ。


「そうです。想像できると思いますが、冒険者という職業を選ぶ人の大半は博打打ちです。腕っぷしに自信があり、自分は大丈夫と思っている人達ですね」


 それで死ぬ、と……


「人気そうだな」

「ええ。とても人気ですし、実際に儲かるのも確かです。もちろん、危険度は高いですが……」


 なるほどねー。


「お前ら、知ってた?」


 俺より長く冒険者をしている4人に聞く。


「知ってる」

「行ったことはないけど、知ってるね」

「知らなーい」

「…………昔、ナタリアと話したことある」


 リリー以外は知っているらしい。


「ナタリアとアリスは行こうとは思わなかったのか?」


 地元大好きアニーと知らないリリーは聞かなくてもいい。


「怖いしね」

「…………私達は自分の力を過信しない」


 博打打ちじゃないわけだ。


「ユウマ、そもそもこのゆるゆるまったりクランを選ぶような人は迷宮都市に行かないわよ」


 アニーが半笑いを浮かべながら自虐的に言う。


「じゃあ、お前は反対なわけ?」

「ユウマがついてこいって言うなら行く。あんたがいればどうとでもなるし、ドラゴンや魔大陸の方がよっぽど危険だったわよ」


 まあ、あれはな……


「パメラ、迷宮で得たものをお前のところに卸してもいいのか?」

「ええ、問題ありません。リアンは迷宮で税を取っていませんからね。あそこはそうやって人を集め、大きくなった町なんですよ」


 なるほどねー。


「じゃあ、暇だし、行ってみようかな。無理そうならやめればいいし」

「どうやって行くの?」


 ナタリアが聞いてくる。


「先に俺とリアーヌが行って、転移できるようにする。リアーヌ、アクサ共和国の北の町なら転移できるわけだろ?」

「はい。でも、そこから馬車で一週間かかりますよ?」


 遠いな……

 リアーヌは忙しそうだし、長い間、拘束するのは悪い。


「その町に転移したらその後は蜂さんに乗っていこう。それならすぐだろ」

「確かに今回はドラゴンの時や魔大陸の時と違って、警戒がいりませんからね」


 普通に昼間に飛んでもいいだろう。


「リアーヌ、明日は大丈夫か?」

「はい。空の旅をご一緒しましょう」

「そうだな。じゃあ、朝飯を食べたら出よう」

「わかりました。そういうことでしたら私は準備をしないといけませんので先にお暇します。パメラはどうする?」

「あ、私も帰ります」


 パメラがタマちゃんを抱く。


「じゃあ、頼むなー」

「はい。おやすみなさい」

「おやすみなさい」


 2人とタマちゃんは転移で消えてしまった。


「迷宮ねー……」


 どんなんだろ?


「レイラさんが知ってると思うよ。あの人、色んな迷宮に行ったことがあるって言ってたし」


 ナタリアが教えてくれる。


「へー……じゃあ、ちょっと聞いてくるわ」


 立ち上がると、部屋を出て、3階に向かった。


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