表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/241

第020話 初依頼


 俺はAIちゃんが空間魔法を覚え、依頼を受注したので依頼票を見ているナタリアとアリスのもとに向かう。

 依頼票の前にはまだ人がいるものの、来た時よりかは人数が減っていた。


「どうだ?」


 2人に近づくと、声をかける。


「いいのは取られてる」

「…………ロクなのがない」


 女子2人にあの人ごみは無理か。


「お前ら、普段はどうしているんだ?」

「私達はCランクパーティーでそこそこ上の方だから普段は仕事が被らないんだよ」

「…………冒険者はDランクが一番多いからね。でも、今の私達は2人だし、Dランクの仕事くらいしか受けられない。そうなると、ロクな仕事が残っていない。この前の盗賊狩りも良い仕事ではない」


 2人いないんだもんな。


「あの仕事って良い仕事じゃなかったのか? あんな雑魚で金貨20枚なら良いと思ったが」

「遠いからねー。泊まりは危険だし、盗賊はたまに兵士や傭兵崩れとかいるから怖いんだよ」

「…………あの盗賊は弱かったけど、できたら強さがわかっている魔物の方が良い。素材を売れるから追加料金が出るし」


 人相手は割に合わないわけか。


「じゃあ、暇だな。ビッグボアの討伐依頼を受けたから手伝ってくれ。まず、このチリル平原ってどこだ?」


 俺はパメラからもらった落書きみたいな地図を見せる。


「西門を出て、ちょっと行ったところだね。森の前だと思う…………ん? ビッグボア?」

「…………なんでそんなものがチリル平原に?」


 知らない。


「緊急依頼を先んじて回してもらった。でも、昼になると争奪戦になりそうだから早く行った方がいいっぽい」

「そりゃそうだろうねー……西区はもちろんだけど、ビッグボアなら他所の区の冒険者も出張ってくるよ」

「…………というか、Cランクの仕事だと思う」


 パメラは相当、職権乱用してるな。


「ありがたいことだ。今度、奢ってやろう。そういうわけで案内してくれ」

「うん、わかった」

「…………牙とか毛皮はいらないけど、肉は分けてね。今日の晩御飯にする」


 それは良い考えだ。

 牡丹鍋を食べたいわ。

 鍋があるか知らんが。


「じゃあ、さっさと行こう。俺は午後から買い物とかにも行きたいんだ」

「わかった。じゃあ、ついてきて」


 ナタリアが笑顔で頷く。


「…………れっつごー」

「ごー」


 チビ2人が手を上げた姿は非常に可愛らしい。


 俺はそんな2人に満足しながらギルドを出ると、ナタリアに案内され、門まで行く。

 門は昨日、俺達が通った場所でどうやらここが西門のようだった。


「馬車は?」

「そこまで遠くないから歩きだね。馬車も高いんだよ」

「…………私達は誰も馬車を操れないから自動で動く賢い馬を使わないといけない。当然、高い」


 この世界の馬は頭が良いと思ったが、個体によるらしい。


「乗れる式神もいるんだが、やめた方が良いだろうな……」

「そうなの? どんなやつ?」

「…………気になる」


 2人が食いついた。


「でっかいムカデかでっかい蜘蛛かでっかい蜂」

「私は何も聞かなかった……」

「…………乗りたくない」


 ほらね。

 虫は女子受けしないもん。

 俺と弟は子供の頃に虫取りをして、キャッキャしてたが、妹はドン引きしてた記憶がある。

 なお、捕まえた虫を母上に見せたら『親孝行じゃのう』と言いながら俺達が捕まえた虫を取り上げ、そのまま食った。

 泣いた。


「私が背負いましょうか?」


 AIちゃんがそう言うと、俺達は無言でAIちゃんを見る。


「能力的にはできるだろうが、嫌。きっついわ」

「ひどい絵面ね」

「…………小さい私でもきついと思う」


 だろうな。


「歩こう。AIちゃん、チリル平原とやらの地図を描いてよ」

「わかりました」


 AIちゃんが頷くと、紙とペンを取り出した。


「今日も描くんだ。あー……いるね」

「…………ホントだ。いつの間に」


 ナタリアとアリスが上を見上げると、カラスちゃんが上空を飛んでいた。


「クランの寮を出た時からついてきてるぞ」

「これ、怖い気がする。こっちの行動が筒抜けじゃん」

「…………ストーカー」


 偵察用だからなー。

 まあ、本当に追跡しようと思ったら見つけにくい小さな虫を服とかに付けることもできるんだが、言わないようにしておこう。

 多分、引かれる。


「そんなことには使わないから安心しろ」

「まあ、上を見上げればわかるしね。あんな鳥、見たことないし」

「…………真っ黒で目立つしね」


 どうやらこの世界にはカラスがいないらしい。


「じゃあ、行こうか」


 俺達は門を抜け、ビッグボア狩りに向け、出発した。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【販売中】
~書籍~
最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜(1)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
旦那はよく虫の踊り食いする嫁と寝たな…
そのまま食ったのは草 そりゃ泣くわ
[良い点] >なお、捕まえた虫を母上に見せたら『親孝行じゃのう』と言いながら俺達が捕まえた虫を取り上げ、そのまま食った。 ここワロタ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ