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第193話 遅い……


 王様のところから帰ってきた俺達は再び、部屋でゆっくりすると、夜には温泉に行き、身体と心を癒した。

 そして、翌日、この日はメレルから連絡が来る予定の日なため、朝から部屋で待機していた。

 しかし、昼になっても連絡は来ず、ついには夕方になってしまった。


「遅いな……」

「調査に時間がかかっているんですかねー? 狛ちゃんの視界とリンクしているのですが、部屋には誰もいません」


 まだ帰っていないということか……


「もう少し待ってみよう」


 俺達はその後も待ち続け、夕食を食べた。

 そして、かなり遅い時間になってもメレルからの連絡はない。


「マスター、時間がかかっているとしても何かしらの連絡はあると思います」


 俺もそう思う。

 元軍人だったメレルはそういうところはきちんとしていた。


「何かあったな……」

「トラブルですかね?」

「わからん。だが、このまま待っていてもなー……」

「マスター……狛ちゃんから連絡です。何者かがスヴェンさんの家に近づいてきているそうです」


 何者か……

 メレルではない……スヴェンか?


「隠れるように言え。最悪は消す」

「わかりました…………何者かは玄関の扉を開けようとしましたが、鍵がかかっていたので入れず、諦めてどこかに行ったようです」


 スヴェンじゃないな。

 ということは……


「狛ちゃんを消す」

「了解です」


 俺は遠方の狛ちゃんを消した。


「さて、どうするか……」

「何かあったのは間違いないわね」


 俺がつぶやくと、アニーが答える。


「そうだな……スヴェンの家に来たのは誰か……当然、家主のスヴェンではないだろうし、そうなると、客か仲間か、もしくは……」

「こんな時間にお客さんは来ないし、ノックをするでしょ。仲間も同じ」


 やはり敵の可能性が高いか……


「バレたな」

「じゃない? 少なくとも、その可能性で動くべきよ」


 メレルが捕まったか?

 もしくは死んだ?

 スヴェンに頼ると言っていたが、スヴェンはいないし、あの民度の兵ではなー……


「どちらにせよ、行くしかないな」


 メレルが気になるが、俺達のやることは変わらない。


「マスター、もし、先程訪ねてきたのが敵の兵なら家の周りを張っている可能性が高いです。あの家に転移するのは推奨しません」


 確かになー……


「リアーヌ、お前の転移は行ったことがある所だったら大丈夫だったな?」


 リアーヌに確認する。


「はい。多少、危険かもしれませんが、通りに転移しましょう。夜遅くなら誰もいないと思います」


 この前の感じだとそんな気がするな。

 東門の近くには兵士が多くいたが、町中は人っ子一人いなかった。


「もう少し待って転移しよう。それで安全な宿屋かどこかに行こう」

「わかりました」


 リアーヌが頷いた。


「俺とリアーヌとAIちゃんで行ってくる。AIちゃん、偽造魔法とサーチを頼むぞ」

「任せてください」

「そういうわけで遅くの行動になるし、お前らは先に寝てていいぞ」


 残る5人に言う。


「起きてるわよ」

「心配だしねー」

「気になって眠れないよ」

「…………こんな状況では無理」

「うん、待ってる」


 いい子達だねー……

 まあ、逆の立場なら俺も絶対に起きてるけど。


「じゃあ、遅くなるまで待つぞ」


 俺達はもう少し遅くなるのを待つことにし、時間を潰していく。

 そして、普段なら寝る時間くらいになると、動くことにした。


「ユウマ様、まずは通りに転移します。転移先に敵がいる可能性もありますのでいつでも敵を無力化できるようにしておいてください」

「わかっている。AIちゃん、向こうに着いたらすぐにサーチして念話で結果を伝えろ。リアーヌは絶対にしゃべるな」


 そう言って、リアーヌを抱える。


「わかりました」

「はい……では、転移をします」


 リアーヌが頬を染めながらそう言うと、AIちゃんが手を伸ばし、リアーヌに触れた。


「いいぞ」

「はい。行きます」


 リアーヌがそう言うと、視界が一瞬にして真っ暗になる。

 外気の寒さを感じるため、転移が完了したのはわかるが、さっきまで明るいところにいたため、真っ暗でよくわからない。


『マスター、周囲に人はいません。ですが、家の向こうの通りに敵性反応のある2人が歩いているのを確認しました』


 見回りの兵士だな。


『兵を避けつつ、宿屋を探せ』

『わかりました。私についてきてください』

『頼む』


 念話を終えると、AIちゃんが歩き出した。

 AIちゃんは通りを歩いていると思ったら狭い路地裏を歩いたりとジグザグに進んでいく。

 その間、抱えられているリアーヌは一言も発せずに俺に身体を預けていた。

 そうやって、進んでいくと、暗いのも相まってここがどこだかわからなくなる。

 しかし、有能なAIちゃんを信じてついていくと、比較的、明るい通りに出た。


『マスター、時間がかかってすみません。思ったより、兵士が多かったです』

『仕方がないだろう。ここは?』

『歓楽街と思われます。あちこちで異様にくっついている反応がありますので』


 あー、そういうこと……


『宿屋は?』

『少々、お待ちを…………こちらです』


 AIちゃんが歩き出したのでついていく。

 すると、玄関先にわずかな灯りがある建物の前に来た。


『ここは宿屋だと思われます』

『娼館じゃないだろうな?』

『違いますが、そういう宿屋ですね』


 なるほどね。


『わかった。お前は一回、消す』

『わかりました』


 AIちゃんを消すと、リアーヌを抱えたまま宿屋に入った。


お読み頂き、ありがとうございます。

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