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第190話 到着


 部屋に戻った俺達は時間を潰していき、夕方になるとパメラがやってきたので早めの夕食を食べる。

 そして、そのまま時間を潰しながらメレルの連絡を待っていた。


「マスター、メレルさんが仕事を終えたようです。戻ってきて欲しいとのこと」

「わかった」


 俺達はコタツから出ると、立ち上がる。

 そして、リアーヌに触れると、転移した。


 魔大陸に戻ると、周囲は真っ暗だった。


「暗いなー……AIちゃん……はライトを覚えてないか。じゃあ、リアーヌ……は明るすぎるな」


 全員、ライトを使えねー。


「狐火」


 金色の炎を指先に出すと、周囲が少し明るくなる。

 すると、目の前に魔族の男が無表情で立っていた。

 正直、不気味だ。


「何してんだ?」

「驚かそうと思ったんですけど……」


 男の姿だが、声はメレルだ。


「いや、お前が呼んだんだろうが」


 わかるわ。


「まあ、そうですけどね。そういうわけで見回りの兵を仕留めました」

「そうか。ご苦労さん。ほれ、お前の分の飯だ。ナタリアが渡せってさ」


 そう言って、ランチボックスを渡す。


「ありがとうございます。あなたの奥さんは人間ができていますね。でも、そういう女程、ロクでもない男にハマるのです。あ、一般論ですよ。はむはむ」


 メレルは失礼なことを言いながらパンを食べだした。


「俺はロクでもなくないから何も問題ないな。死体はどうした?」

「地面に埋めましたので問題ありません……ごちそうさまです」


 メレルはもう食べ終えたらしい。


「早いな……」

「作戦中の早食いも技術の一つです。さて、あなた方にも偽造魔法をかけましょう……1人、多いですね」


 俺達、4人だもんな。


「マスター、私がマスターの脳内に戻りましょう」


 それが自然か。

 そもそもAIちゃんは俺の脳内に巣食うスキルだし。


「人をウイルスみたいに言わないでくださいよ」

「はいはい。消すぞ」


 そう言って、AIちゃんと狛ちゃんを護符に戻した。


「何が起きたかさっぱりわかりませんが、よく考えたらバケモノ2人のことを考えても無駄ですね。とにかく、これで3人です。偽造魔法をかけましょう」


 メレルは大変失礼なことを言いながらうんうんと納得し、偽造魔法をかけてくれる。


「これでいいのか?」


 普通にリアーヌはリアーヌだし、なんならメレルはさっきの男からメレルに戻っている。


「ええ。混乱しないように私達には見えるようにしています。では、行きましょう。ついてください」


 メレルがそう言って、ライトを出し、歩いていったので俺とリアーヌも続く。

 そのまましばらく歩いていると、遠くに灯りが見えてきた。


「あれがルドーの町です。ここからは私がしゃべりますので御二人はしゃべらないでください」

「わかった」

「任せる」


 俺とリアーヌが頷いたのだが、メレルは訝しげな表情でそのままじーっと俺達を見てくる。


「なんだ?」


 どうかしたのか?


「リアーヌさん、少しユウマさんから離れてください。おっさん同士の距離感じゃないですよ」


 そう言われてリアーヌを見ると、確かに近い。

 いつもこれくらいの距離だから何も思わなかったが、これが男だとすると、少し変だ。


「仕方がない……」


 リアーヌが半歩ほど距離を取った。


「もう1歩です」

「むぅ……」


 リアーヌは眉をひそめながらももう1歩距離を取る。


「まあ、いいでしょう。行きます」


 メレルが前を向いて歩いていったので再び、歩き始めた。

 そして、そのまま歩いていくと、外壁に覆われたルドーの町に到着する。


 メレルは正面の門ではなく、東方向に進んでいった。

 すると、東の方にある門ではかがり火が焚かれており、槍を持った兵士が番をしているのが見える。

 俺達がそのまま門に向かって進んでいくと、門番をしている男が俺達を見てきた。


「よう、遅かったな」


 門番は特に警戒もせずに声をかけてくる。


「女の旅人の影が見えてな」


 メレルが男の声で答えた。


「おっ! マジか? それでどうした?」

「ゾンビだった」

「ふっ……ふふ、あっはは! お前、どんだけ飢えてんだよ!」


 門番がバカにしたように笑う。


「うるさい! 俺はもう帰るぜ。やってらんねーわ」

「どうせ娼館だろ。今日はハズレを引くな」

「うるせー」

「ははっ! あー、ウケる」


 俺達は笑う門番を尻目に門を抜け、町に入った。

 町に入ると、兵士達が道の脇で座り込み、話をしたり、何かのカードで遊んでいる。

 ガラが悪く、確かに賊っぽい。


 そのまま通りを歩いていくと、どんどんと人が少なくなっていった。

 そして、ついには人の影がなくなる。


「もう大丈夫でしょう。こちらです」


 メレルはそう言うと、歩いていき、とある家の前で立ち止まった。


「ここは?」

「私が軍にいた時に住んでいた部屋ですね。正確に言うと、スヴェン様が借りている家です」


 スヴェンの家かよ……

 何か嫌だなー……


「後でお前の彼氏が怒らないかね?」

「大丈夫。あなたは死にますから」


 死ぬことにするんだったな……

 でも、言い方を少し考えろ。


 メレルが鍵を開け、中に入ったので俺達も中に入る。

 部屋は広く、普通にきれいだった。


「私は明日、仲間と合流し、話を聞いてみます。御二人はご自分の家に帰って待っていてください」

「じゃあ、狛ちゃんを……大丈夫か? スヴェンは帰ってこないよな?」


 なんか間男の気分になるな。


「大丈夫ですよ。あの人は一度何かをやり出すとそれに熱中します。じゃなきゃ、こんな大事な作戦の時に休みませんよ」


 軍人としてそれはどうなんだ?


「そうか……だったら問題ないな。狛ちゃんを置いておくから何かあったら呼べ」

「ええ。そうします。明日明後日は話を聞くのと情報収集をしますので明々後日くらいになると思います。それまではゆっくりとお休みください」

「わかった。リアーヌ、帰ろう」


 そう言うと、リアーヌが俺の腕に自分の腕を絡めてくる。


「あ、おっさん同士のままでした。魔法を解きましょう」


 嫌なもんを想像しちゃったわ……


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
 リアーヌが腕を絡めるのはいいけど身長差的に出来る程度の物なのかかな?大人と子供ぐらいの差だと絡めると言うより抱きかかえるになりそうだが。
そのまま帰ったときの周りの反応は見たかったw その場合偽装魔法解けないから不便かと思ったけどAIちゃんがラーニングしてるだろうから平気?それとも偽装魔法使うとき脳内に戻ってたからラーニング出来てない?
た、多様性
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