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第188話 さすがに多い……


 リアーヌの転移で部屋に戻ってくると、パメラもいた。


「ただいま」


 挨拶をしながらコタツに入る。


『おかえり……』


 全員が声を揃えて挨拶を返しながらメレルを見た。


「いい部屋ですねー……暖かいし、明るい。でも、多い……あなた、こんなに奥さんがいてどうするんです?」


 メレルは部屋を見渡した後に女共を見て、最後に呆れた顔で俺を見てきた。


「うるさい。ナタリア、飯」

「あ、うん」

「その人も食べるのー?」


 ナタリアが頷くと、リリーが聞いてくる。


「あ、おかまいなく。私は干し肉がありますので」

「別に余ってるから問題ないよ?」

「そうですか……では、お言葉に甘えて頂きます」

「じゃあ、持ってくるー」


 リリーが頷くと、ナタリアと共に部屋を出ていった。


「お前も座れ」

「座る……これ、何ですか?」


 メレルがコタツを指差した。


「コタツっていう暖房器具だ」

「へー……どこに座ればいいんです?」


 そう言われても見渡すと空いているのはリリーとナタリアの席以外だとアニーの横だけだ。

 もっとも、一角のど真ん中に陣取って生首になっているが……


「アニー」

「はいはい……」


 アニーは起き上がると、少しずれた。


「そこ」

「ハァ……では」


 メレルはアニーの横に行くと、座る。


「あなた、以前に会った時から思ってましたけど、何という格好をしているんですか」


 メレルが隣のアニーを見て、苦言を呈した。


「放っておいて」

「まあ、趣味はそれぞれか……」


 メレルは俺を見ながらそう言うと、コタツに足を入れる。


「俺の趣味じゃないぞ」

「ふむふむ……確かに温かいですね」


 聞いてねーし。


「…………ユウマ、なんでこの人がいるの?」


 アリスが起き上がって聞いてきた。


「テントもなく野宿するって言うから連れてきた。バカだろ」

「…………バカだね。あんなに寒いのに」


 な?


「あなた方とは鍛え方が違うんですけどねー……温かい……」

「あー、狭い……」


 俺の斜め左では一人は幸せそうにし、一人は嫌そうだ。

 そうこうしていると、リリーとナタリアが食事を持ってきてくれたので食べ始めた。


「温かい料理は久しぶりですねー……」


 メレルは美味しそうにご飯を食べている。


「魔族はそんなに困窮しているのか?」

「いえ、そういうわけではないんですが、ここのところはあちこちに行ったり来たりなもんで……ほとんど携帯食料ですね。昨日、町で食べようと思っていたんですが、あなた方がいたんですよ」


 そりゃ悪かったな。


「あ、そうだ。アニー、ナタリア、乾燥に強い農作物って何だ? こいつが種が欲しいんだと」

「乾燥? 芋でしょ」

「芋だね」


 即答か。

 芋ってそうなんだ……

 知らねー。


「だってさ。それでいいか?」

「ええ。十分です」


 メレルが頷く。


「種って売ってるか?」

「売ってるよー。買ってくればいいの?」


 リリーが首を傾げた。


「頼むわ」

「わかったー」


 この辺はまったくわからないから任せよう。


「恩に着ます……もぐもぐ」


 メレルはしみじみと礼を言いながら食事を食べていった。

 俺達はそのまま食事を続け、食べ終えると、ナタリアとリリーが片付けを始める。


「ユウマ様、私は先程の情報を叔父上に伝えてきますのでこれで失礼します」

「あ、私も帰る」


 リアーヌとパメラは帰るようだ。


「わかった。王様によろしく」

「はい」

「タマちゃーん、帰るよー」


 パメラがコタツの中にいるタマちゃんに声をかけると、今日は大人しく出てきた。


「では、おやすみなさい」

「おやすみー」

「にゃ」


 2人と1匹は帰っていった。


「なんかコタツの中にいるなって思ったら猫か……幸せそうな家庭ですね」


 家庭じゃないんだけどな……


「お前もスヴェンと幸せそうな家庭を築け。そして、俺に関わらないようにしてくれ」


 特にスヴェン。


「そうですね。この仕事が終わったらスヴェン様と一緒になります。そして、田舎に帰って農業をします」


 スヴェン、似合わねー……

 あと、こいつ、なんか死にそうだな。

 何となくだが、そんな空気が出ている。


「死にそうですね、この人」

「わかるわー」

「…………すんごいそういう空気を出してるね」


 お前ら、少しは遠慮しろよ……


「私はこの人が死にそうだと思いますけどね。誰かに刺されそう」


 メレルが俺を指差す。


「なんでだよ」

「マスターがそんなへまをするわけないです。女性の扱いと依存させるのがとってもお上手なんですよ」


 女性の扱いはともかく、依存させるって誉め言葉か?

 クズ男にしか聞こえんのだが……


「魔族の言い伝えで転生者はロクでもないっていうのがありますけど、本当なんですねー」


 文化が違うから仕方がないだろ。

 嫁12人はどうかと思うけど。


「…………ところで、この人はどこで寝るの?」


 アリスが聞いてくる。


「んー? 外に出すわけにはいかんからなー。そこで寝ろ」


 コタツでいいだろ。


「え? いいんですか? いやー、これで寝たら気持ちいいだろうなーと思っていたんですよー…………いや、私、大丈夫か?」


 メレルは嬉しそうにコタツに頬ずりをしていたが、すぐに我に返り、真顔で俺を見てくる。


「俺はAIちゃんと寝るから問題ない」


 お前なんかいらんわ。


「そうです。この人はいりません。他の男の手垢がついた女はマスターには不要です」


 なんか嫌な言い方だなー……


「不安だなー……私、今日、寝られるかな?」


 メレルはそう言いながら横になり、生首となった。

 そして、そのまま待っていると、ナタリアとリリーが戻ってくる。


「あれ? アニー、どうしたの?」


 リリーがそう聞きながら俺の対面に移動し、座っているアニーの隣に座った。


「私の場所を盗られた」


 アニーがそう言って、自分がいつも陣取っている席を指差す。


「すぅ……」

「んー? もう寝ちゃったんだ」


 寝られるかなーと言っていたメレルは横になると、秒で寝たのだ。


「ハァ……ん?」


 アニーがため息をつくと、ナタリアがアニーの肩を叩く。


「そこ、私の場所」


 ナタリアが笑顔で主張した。


「そういえば、ナタリアもめんどくさい奴だった……なんでそんなに正面がいいんだか……」


 アニーはしぶしぶ立ち上がると、俺のところに来て、AIちゃんを持ち上げる。

 そして、AIちゃんを胡坐をかいている俺の足の間に納めると、隣に座った。


「…………何故に私の横に来ない」


 アリスがボソッとつぶやいたが、アニーは無視してコタツに入り、お茶を飲みだす。


「場所、代わりましょうか?」


 俺の前で頭を撫でられているAIちゃんが隣のアニーを見た。


「子ギツネ、うるさい。カードゲームでもしましょうか」


 えー……

 あ、でも、リリーがいる。


「やるか」


 俺達が夜遅くまでカードゲームをして楽しんだ。


明日も投稿します。

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