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第184話 えー……


 リアーヌが魔法を解いたところで酒を飲み干し、おかわりを頼んだ。


「どうやら軍がかなりの権力を持っているようだな」


 リアーヌがおかわりの酒を飲むと、つぶやく。


「そのようですね。おそらくですが、軍が税金を徴収しているということは軍事政権と思われます。つまり王様がおらず、軍が統治しているということです」


 AIちゃんが頷きながら答える。


「だろうな……それにしても潜入が難しいと言っていたな……さて、どうするか……」


 リアーヌが考え始めたところで横目に移るカウンターに座っている男がこちらをチラチラと見ていることに気付いた。


「もういいだろう。出るぞ」


 そう言うと、酒を飲み干し、立ち上がる。

 3人も立ち上がったので店を出た。

 そして、3人に前を歩かせていく。


「マスター、敵性反応はありませんが、酒場から1人ほどついてきています」

「わかっている。そこの角を曲がれ」


 指示をすると、3人が角を曲がったので俺も角を曲がり、そこで待つことにした。

 すると、男が角を曲がってきたのだが、俺達を見て、ビクッとする。


「よう、メレル。元気か?」


 声をかけると、男が目を見開いた。


「え!? なんで!?」


 男の口から女の声が出る。


「お前の魔力は特殊すぎる。上手く隠していたようだが、俺達を発見して動揺したな」


 あの一瞬だけ、魔力が漏れていた。


「いや! そりゃそうでしょうよ! あなた達、なんでいるんですか!? ここがどこだかわかっているのですか!?」


 メレルは男の姿から元の女の姿に変え、大声を出した。


「そうだなー……お前、ちょっと来い。話をしよう」

「そうですね……こんなところで話すことではないです」


 冷静さを取り戻したメレルは周囲を見渡しながら同意する。


「ついてこい」


 そう言って3人を前にして歩き出し、宿屋を目指した。

 すると、メレルも後ろから素直についてくる。


「どこでもいいですけど、その前にこれだけは教えてください。なんであなた達、私の偽造魔法を使っているんですか? これは私が独自に編み出した魔法ですよ」

「AIちゃんがインストールした。俺は転生者でな……そういう特殊なことができる」

「転生者……あなた、正真正銘のバケモノですね」


 また言われた……


「そんなバケモノにケンカを売ったお前は相当のバカだな」

「そうですね……あなたのお仲間さんならやれると思ったのにそっちにもバケモノがいたもの」


 メレルはそう言いながらAIちゃんを見た。


「マスターの奥さんに手を出してはいけませんよ」


 奥さんじゃない。


「あら? 奥さんだったの…………え? どれ?」

「全員です」

「え? あっ、そう……て、転生者だものね……世界や国が変われば色々な考えがあると思うし、私はそれを否定しないです」


 めっちゃ引いてるし。


「くだらない話をするな。ほら、着いたぞ」

「あら? 宿屋? 実に奇遇ですね。私もここに泊まっています」


 まあ、良い宿屋だしな。


 俺達は宿屋に入ると、メレルを連れて、借りている部屋に向かった。

 そして、メレルをベッドに座らせると、自分達は椅子に座る。


「メレル。お前、いつこっちに帰ってきたんだ?」

「この前ですね。王様から色よい返事をもらえましたので帰ってきました」


 王様はこいつらの提案を了承したか。


「そうか……お互いに聞きたいことがあるだろうし、交互にしよう。次、お前が聞いていいぞ」

「では、お言葉に甘えて……なんでいるんですか?」


 まあ、その質問だわな。


「お前らだけでは不安でな。俺が軍の船を燃やした方が早い」

「行動力のある人ですねー……大胆と言うか、何と言うか」

「次は俺だ。お前、あそこで何をしていた?」


 偽造魔法を使って、男に化けてまで酒場に来ている理由がわからん。


「あなた達と同じで情報収集ですね。どうも北の町に入るのが困難そうなんですよ」

「先にもう一つ聞く。仲間は北のルドーか?」

「ええ……この町にもいますけど、ここにいるのは勧誘要員ですね。実働部隊はすでにルドーです。そこに合流したいんですよ」


 なるほどな。


「わかった。お前も2つ、聞いていいぞ」

「ここまでどうやって来たんですか?」

「ドラゴンに乗ってきた」

「は?」


 メレルが呆ける。


「俺達の大陸の北の山に住むドラゴンだ。魔族の軍が侵攻してきたから逃げてきたんだよ。俺らはそいつから軍が攻めてきていることを知ったし、運んでもらった」

「なるほど……やけに人族の動きが早かったのはそのためか……次の質問ですけど、あなた達4人だけ? 他の奥さんは?」


 奥さんじゃないってのに。


「待機だ。あまり多人数で来ても目立つだけだし」


 嘘はついていない。


「子供3人も相当ですけどね」

「まあな。お前、情報収集と言っていたな? どうだ?」

「どうもこうも何とか潜入するしかないですね。私がいないと軍に詳しい人がいませんから何としてでも合流しないと」


 メレル頼みの組織だな……


「ふーん……これは別に質問じゃないから答えなくてもいいけど、そんなに給料が良いのか? お前のリスクが大きくないか?」

「給料は良いですね。あとリスクはどうとでもなります。たとえ作戦が失敗して捕まってもスヴェン様に頼んで潜入捜査をしていたという風にしてもらえばいいですし」

「辞めたのにスヴェンが庇ってくれるのか?」


 無理じゃないだろうか?

 そんな情のある男には見えんかったぞ。


「あ、彼氏なんです」


 …………あっそ。

 なんか聞きたくなかったわ。


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