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第176話 寒い……


 女共が着替えを持って戻ってくると、リアーヌの転移でドラゴンが住む山に飛ぶ。


「じゃあ、俺達は行ってくるからゆっくり入ってろ」


 そう言いながらAIちゃんの頭を撫でた。


「お気をつけて。いつでも言ってくださいね」


 視界をリンクかな?


「いらないっての。温泉ではしゃぐなよ」


 そう言うと、リアーヌ、リリーと共にドラゴンのもとに歩いていく。

 俺達が歩いていると、奥でドラゴンが待っていた。


「来たか……ん? お前らだけか? 向こうの連中は?」


 ドラゴンが俺達が来た方向を見る。


「あいつらは待ちだ。大人数でお前に乗っても仕方がないしな。温泉に入って待っているんだと」

「なるほどな。では、3人か……せっかくワシの高速飛行を体感させようと思ったのに……」


 やけにあっさり頷いたと思っていたが、しょうもない自己顕示かい。


「乗りたい! 乗りたい!」

「そうか、そうか。素直なエルフだな。ほれ」


 リリーが嬉しそうに言うと、上機嫌になったドラゴンが身を屈めた。

 俺達はドラゴンの背に乗り込むと、ドラゴンが立ち上がる。


「ところで、このまま飛んだら俺ら飛ばされないか?」

「そんな気がしますね」

「しがみつく?」


 それでいけるのかね?


「ワシが防御魔法をかけてやるからそれで大丈夫だろ」

「じゃあ、頼むわ。リアーヌ、リリー、俺に掴まってろ」


 そう言うと、リアーヌとリリーが抱きついてきた。


「落ちたら転移を使いますので」

「頼むわ……ドラゴン、いいぞ」

「わかった。飛ぶぞ」


 ドラゴンがそう言うと、翼を羽ばたかせる。

 すると、周囲の湯気が風で消えていくのだが、背に乗っている俺達は風を感じなかった。


「これが防御魔法か?」

「そうだ。それなら落ちんだろ」

「確かに」


 ドラゴンはどんどんと上昇していく。


『マスター、やっほー!』


 念話が聞こえたので下を見ていると、遠くに手を振っているAIちゃんが見えた。


「あ、皆、温泉に入っている」

「全然、見えんぞ……」


 目の良いリリーは見えるようだが、リアーヌは見えないようだ。

 まあ、俺も視力を上げているのだが、AIちゃんが手を振っているからかろうじて見える程度だ。


 その後もドラゴンは上昇し続けていくと、どんどんと寒くなっていく気がした。


「ユ、ユウマ様……凍りそうなくらいに寒いんですけど」

「寒さに強い私もちょっとこれは……」


 俺も寒い。

 めっちゃ寒い。


「ドラゴン、寒いぞ」

「上空は気温が下がるからな。夜だし、そこまで上昇しなくてもいいか……行くぞ」


 ドラゴンがそう言うと、上昇をやめ、飛び始めた。


「すごーい! 鳥より速ーい!」

「だろう?」


 いや、暗くてまったくわからん。

 それに加えて風も感じないからさっぱりだ。


「進んでいるんですよね?」


 当然、リアーヌもわかっていない。


「多分、そうだろ」

「すごーい! あっという間に海だ!」


 お前の視力がすげーよ。


『マスター、空の旅はどうですかー?』


 AIちゃんから念話が届く。


『夜だからさっぱりわからん。でも、リリーははしゃいでいる』

『あー……何も見えませんか……』

『どっちみち、もう海らしいから景色は変わらんだろう』


 夕方だったらまだ夕日とかを見れたかもしれない。


『なるほどー。こっちはすごいですよ』


 まーだ言ってる。


『あっそ』

『絶景なのにー……好きなくせにー……』


 そりゃ俺も男だからね。


『覗かなくてもいいし、俺の名が泣くからいい』


 いくら身内が相手でも犯罪はよくない。


『まあ、ご自分で見ればいいですもんね。それにしても気持ちいいですよー。早く戻って温まってください』

『そうしたいわ。めっちゃ寒い。特にリアーヌの震えがヤバい』


 歯がガチガチ言ってる。


『あー、アリスさんかアニーさんが必須でしたね』


 ホントだわ。

 次があるかは知らんが、どちらかは確実に連れていこう。


 その後もドラゴンは飛んでいくが、すごーいっと言いながらはしゃぐリリーを尻目にリアーヌの震えは一向にとまらなかった。

 俺はリアーヌを抱きながらさすり、何とか温めている。

 そうこうしていると、徐々に寒さが和らいでくる気がした。


「着いたぞ。誰もいないところに降ろすからな」


 もう着いたらしい。

 早すぎ。

 いや、体感的にはめちゃくちゃ遅かったけど……


 ドラゴンは羽ばたきながら下降していく。

 すると、俺の目にも地面が見え始め、ついには着陸した。


「おー! すごかったねー!」

「ああ……すごい寒かったな……」


 リリーとリアーヌはかみ合っているようでかみ合っていない会話をしている。


「降りるぞ」

「は、はい……」


 俺は震えが止まらないリアーヌを抱っこすると、リリーと共にドラゴンから降りた。

 リアーヌはドラゴンから降りても震えながら俺に抱きついている。

 そんなリアーヌの背中をさすりながらドラゴンを見上げた。


「ここが魔大陸か?」

「ああ、そうだ。この辺りは人は住んでおらん平原だ。まあ、何も見えんが、明るくなればわかる。ではな。ワシは先に帰る」


 ドラゴンはそう言うと、翼を羽ばたかせ、上昇していく。

 そして、かなりの高さまで上昇すると、あっという間に飛んでいった。


「すごかったねー! でも、リアーヌの転移で帰ればいいのに……」


 俺もそう思った。


「リアーヌ、大丈夫か?」

「ささ、寒いです。ユ、ユウマ様は温かいですけど、寒いです」


 可哀想に……


「温泉で温まろう。リリー」

「うん」


 促すと、リリーがリアーヌに触れる。


「いいぞ。戻ろう」

「はは、は、はい……」


 風邪引かないといいけど…… 


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