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第149話 いらない……


 自室に戻ると、いつもの面々がコタツに入って俺達を待っていた。

 俺達はすぐにコタツに入ると、ナタリアが淹れてくれたお茶を飲む。


「どうだった?」


 お茶を飲んで一息つくと、ナタリアが聞いてきた。


「伯爵さんに話を聞いてきたぞ。西にある山脈に行ったっていう情報がエルフから入ったらしい。リリー、お前の実家の方だと」

「あー、あの山かー……山の中の洞窟を行くルートと外を登っていくルートがあるね」

「大変か?」

「まあ、そこそこ?」


 そこそこねー……


「リリー、エルフに話を聞きたいんだが、可能か?」


 リアーヌがリリーに確認する。


「普通に聞けばいいんじゃないかな……お父さんとお母さんに聞いてみてもいいし、村長さんに聞くこともできるよ」


 問題はなさそうだな。


「では、頼む。ユウマ様、エルフの森ではリリーを連れていったほうが良いでしょうね」

「だな。リリー、頼むわ」

「うん、いいよ。あそこなら西の森よりも簡単。目をつぶっても動ける」


 さすがは地元民。


「イブルからその森までどれくらいかかる?」

「私の場合は歩きだからなー。それでも一日もかからないし、馬車ならゆっくり行っても半日もかからないんじゃない?」


 近いな。


「リアーヌ、どうする? 明日、出発かなと思ったが、今日のうちに森の前まで行けそうだぞ」

「そうですね……とはいえ、ユウマ様は少し休まれた方が良い気もします。ずっと出てるじゃないですか」

「何もしてないがな……」

「そう言っても探知とかもされていますし……」


 うーん……心配してくれているんだろうなー。


「私がリアーヌと行こうか? 素材の処理も終わったし」


 寝ているアニーが見上げながら提案してきた。


「お前か……」


 まあ、アニーなら問題ないと思うが。


「…………私も行こう。森に着く前に頑張る」


 アリスか。


「じゃあ、お前ら、狛ちゃんを連れて行ってこい。無理せずにリアーヌの転移で逃げるんだぞ」

「言われなくてもそうするわよ」

「…………貧弱トリオだもん」


 心配だなー……


「よし。リアーヌ、ちょっと待ってなさい。準備をしてくるから」

「…………私も」


 2人はそう言うと、コタツから出て、部屋から出ていく。


『外、寒っ!』

『…………ずっとコタツだったしね』


 外からものすごく心配な声が聞こえてきた。


「大丈夫かよ……」


 風邪引かないか?


「大丈夫でしょ。2人共、Bランクだし」


 まあなー。


「この仕事が終わったらお前らもBランクにするようにジェフリーに言っておくか」


 ナタリアとリリーはCランクだ。

 この2人の方がよっぽど働いている気がする。


「そこの人に言った方が良くないです?」


 AIちゃんがリアーヌを指差す。


「確かに……リアーヌ、そういうわけだから」

「かしこまりました。そのようにいたしましょう」


 リアーヌは快く受け入れてくれた。


「私達、Bランクになっちゃった」

「これが政治ってやつだよ。私、知ってる」


 リリーがうんうんと頷いた。


「違くない? 私には悪い男にハマった女の人に見えるよ」


 誰が悪い男だ。

 お前ら、Bランクになるんだからもっと喜べよ。


 俺達が話していると、アニーとアリスが狛ちゃんを連れて戻ってくる。


「準備できたわよ。リアーヌ、よろしく」

「…………ふっ、Bランクの力を見せてあげよう」

「はいはい……触れ」


 リアーヌはそう言うと、しゃがんで狛ちゃんにお手をした。

 すると、狛ちゃんが前足をリアーヌの手に乗せ、アニーとアリスが肩に手を置く。


「気を付けてなー」


 そう言うと、リアーヌ達が消えた。

 この場には俺とAIちゃん、ナタリア、リリーの4人が残される。


「少なく感じますね。パメラさんを呼びますか?」


 まあ、3人いないわけだしな。


「あいつ、仕事だろ」

「休みだにゃって言ってます。暇だから買い物でも行こうかにゃって言ってるそうです」


 タマちゃんか。

 パメラが行こうかにゃとは言ってないだろうがな。


「呼んでみ」

「やってみます」


 どうするんだろ?


「やっぱりギルドも暇になるんだな」

「ギルドだけじゃないよ。職人さんだったり、他の職業も大抵はそう。飲食業なんかは逆に忙しくなるらしいけど」


 暇人共が来るわけか。


「趣味を見つけないときつそう」

「まあね。でも、今年は楽しいよ。暖かいし」

「だよねー。雪、積もんないかなー」


 アニーとアリスはもちろんだが、こいつらも普通に居座るようになったな……


 俺達が話をしながら暇をつぶしていると、部屋にノックの音が響いた。


「勝手に入っていいぞー」


 どうせパメラだろ。


「こんにちはー」

「にゃ」


 やっぱりパメラとタマちゃんだ。


「まあ、コタツにでも入れよ」

「うん」

「にゃ」


 パメラとタマちゃんはこっちにやってくると、コタツに入る。


「ねえねえ、部屋で休んでいたらタマちゃんが急にこの寮の方向を尻尾で差しながらにゃー、にゃーと騒ぎだしたんだけど……」


 そういう感じかー。


「コタツに入りたかったんじゃないか?」

「いや、ウチにもタマちゃん用のミニコタツがあるんだけど」


 そんなもんを作ったのか……


「ユウマが暇してるなら呼べってAIちゃんに指示してたよ」

「パメラ、買い物に行こうとしてたんだよね? 行動は全部筒抜けだったよ」


 ナタリアとリリーがバラす。


「言ったのはAIちゃんな」


 俺じゃない。


「だって、マスターがナタリアさんとリリーさんの2人じゃ寂しそうだったし……」

「その言い方だとナタリアとリリーに不満があるみたいだからやめろ」

「女が足りないって……」


 うーん、どういう言い方をしても俺の人間性は良くならんな。


「もういいわ。パメラも暇だったんだろ?」

「まあねー……女が足りないって言うけど、アニーさんとアリスさんは? というか、今日はリアーヌ様と伯爵様と会うんじゃなかったっけ?」

「伯爵さんとはもう会った。それでドラゴンがさらに西にある森と山脈の方に行ったっていう情報を仕入れたから3人で森の近くまで行ってる。俺は休めってさ」

「なるほどねー……確かにユウマさんはずっと出てたしね」


 当たり前だが、リアーヌもなんだがな。


「そういうこと。俺は別に一つも疲れてないんだけどな」


 前世は休みなんかなかったし。


「休みなよー」

「そうだよ、そうだよ」

「私もそう思うわよ。休むことも大事」


 まあ、それはわからんでもない。


「まあ、特にやることもないし、ごろごろするかね」

「あ、だったらカードゲームをやろうよ」


 リリーが提案してくる。


「花札か?」


 俺、弱いんだけど。


「何それ? まあいいや。クライヴ達に借りてくるね!」


 リリーはそう言って立ち上がると、部屋を出ていった。


「カードねー……何か賭けるか?」


 冗談でナタリアに聞いてみる。


「ユウマが勝ったらひざ掛けを編んであげるよ」

「じゃあ、お前が勝ったらドラゴンの鱗をやるよ」


 その後、リリーがカードを持ってきたのでナタリアとカードゲームとやらをやってみた。


 負けた。


お読み頂き、ありがとうございます。

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