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第142話 一応、報告


 俺達はリアーヌの転移で俺の部屋に戻ってくる。

 すると、ナタリアがコタツに入り、本を読んでいた。


「あ、おかえり。早かったね。そんなに釣れたの?」


 ナタリアはいきなり現れた俺達に驚きもせず、声をかけてくる。


「ちょっとあってなー……ナタリア、仕事の話があるからリリーを呼んできてくれるか?」


 もうアリスとアニーはコタツに入って断固として動かない感じになっているし。


「仕事? いいよ。じゃあ、呼んでくる」


 ナタリアは本を閉じると、立ち上がって部屋を出ていった。


「リアーヌ、お前はこのことをパメラとジェフリーに伝えてきてくれ」

「わかりました」


 リアーヌは頷くと、すぐに消える。


「お前ら、ナタリアがリリーを連れて戻ってきたら概要だけでも説明しておいてくれ。俺は一応、レイラに報告してくる」


 相談はしないけど、報告はいるだろう。


「わかりました!」

「任せておいて……」

「…………暖かい」


 ……AIちゃんに任せよう。


 俺は腑抜けた顔をしている2人に呆れながら部屋を出ると、階段を昇り、3階まで行く。

 そして、3階にやってくると、一番手前の部屋の扉をノックした。


『開いてるぞ』


 中からレイラの声が聞こえてきたので扉を開け、中に入る。

 すると、レイラが席につき、書き物をしていた。


「レイラ、ちょっといいか?」

「何だー? あー、まあ、座れよ」


 レイラが勧めてきたので座る。


「王様から依頼があった」

「んー? またか……今度もしょうもないやつか?」


 この前の王都のことは帰った時に説明してある。


「今度は真面目っぽい。お前、昨日、ドラゴンが空を飛んでいることには気が付いたか?」


 そう聞くと、レイラがペンをテーブルに置いた。


「あれか……確かにとんでもないものがいたな。そうか……あれがドラゴンなのか。どうりで……」


 レイラが顎に手をやり、悩みだす。


「どうかしたのか?」

「いや、昨日、ウチの蛇がやたら騒いで窓から空を見上げながら威嚇してたんだよ。何かと思って空を見上げると、何かいた」


 この町の上空に現れたのってお前の蛇のせいじゃないよな?

 めっちゃ好戦的な蛇だからありうるぞ。


「なんでお前の蛇が騒ぐんだよ」

「まあ、似たようなものだからな……それで? 依頼ってドラゴン退治か?」

「危ないからそれはやめてくれって感じだったな」

「危ない? あの程度が?」


 レイラがすげー馬鹿にした顔をしている。


「素が出ているぞ」

「ん? あー、すまん。しかし、お前の敵ではないだろう?」

「敵云々の前に倒す意味がねーよ。温厚で人の敵ではないんだろ?」

「あー、如月の人間はそう考えるか。私は殺してしまえばいいと思うのだが」


 そうやって、母上を祓おうとしたわけだな?

 ゴミクズ槐め。


「俺は無駄な殺生はしない。国内にいるかの調査だそうだ」

「なるほどね。いいんじゃないか? あのチビの転移で行くんだろ?」

「そうなる。一応、リーダーであるお前に報告をしておこうと思ってな」

「律儀な奴……好きにしろよ。どうせ女と遊んでいるだけだし、暇なんだろ?」

「まあ、暇だな。とにかく、そういうわけだから」


 そう言って立ち上がる。


「はい、わかった。お前はどうとでもなるだろうが、他の人間をちゃんと守っておけよ」

「誰に言っている?」

「はいはい……おみやげはいらんから適当にやってこい」


 レイラはそう言うと、書き物を再開したので部屋を出た。

 そして、階段を降りると、自分の部屋に戻る。


 部屋にはナタリアがリリーを連れてきてくれたようで全員揃っている。

 リアーヌもまた、戻ってきていた。


 俺はAIちゃんとリアーヌの間に座ると、コタツに入る。


「アリス、アニー、今ぐらいは起きろよ」


 2人はいまだに生首だ。


「はいはい……私はあんたに従うから何でもいいのに」

「…………だよね。というか、私達はユウマと一緒だったからもう聞いているし」


 2人は文句を言いながらも起き上がった。


「ナタリアとリリーには?」


 AIちゃんに確認する。


「先程、説明はしました」


 さすがはAIちゃん。


「リアーヌ、ジェフリーとパメラには?」

「伝えました。まあ、王家からの依頼ですので特には……パメラは仕事が終わったら来るって言ってましたね」


 いつも来てるけどな。


「じゃあ、ほぼ説明は終わっているな。王様から調査の仕事を受けたけど、お前らはどうする?」


 全員に確認する。


「うん。行く」

「私も行く! 暇だもん!」


 ナタリアとリリーは付き合ってくれるっぽい。


「私も行くわよ」

「…………私も」


 アニーとアリスも行くっと。


「全員行くわけね」


 まあ、暇だしな。


「ユウマ、行くのは良いんだけど、別に全員が足並みを揃えることはないわ。リアーヌの転移があるわけだし、その日、その日に行ける人だけでいいと思う」


 アニーが提案してくる。


「それもそうだな。お前ら、体力がないし」

「そうそう。まあ、リアーヌもだけどね。リアーヌは必須なわけだからその辺は考慮しなさいよ。以上」


 アニーは自分の意見を言うだけ言って倒れると、生首になった。


「…………ユウマ、バランスを考えるべき。ユウマ、AIちゃん、チビマスは固定だとしても、必ずしも私とアニーは必須ではなく、どちらかでいい。でも、回復魔法が得意なナタリアと森では有能なリリーは大事。この辺のバランスも考えるべき。以上」


 アリスも自分の意見を言うだけ言って倒れると、生首になる。


「Bランク共の貴重な意見だな」


 寝るのはえーよ。


「行きたくないわけじゃないわよー。行けって言われたら行くし、身体を動かさないといけないしね」

「…………何だったら初日に行ってもいい」

「はいはい。わかったから寝てろ。リアーヌ、今回の仕事はお前が必須だ。お前のギルドの仕事はどうなっている?」


 これが大事。


「今は落ち着いていますし、ケネスに任せてあります。ですので、いつでも行けます」


 冬は落ち着くって言ってたしな。

 それでもケネスは大変そうだけど。


「明日でも行けるか?」

「大丈夫です。西ということはこの前行った例の魔族がいた場所からの出発になります」


 あそこか……

 前に行ったからな。


「じゃあ、そこからな。アニー、ナタリア、付き合え」


 森だし、全員で行く必要はない。


「はいはーい」

「わかった」


 2人が頷く。


「そういうわけだから明日の朝、ウチに来てくれ」

「わかりました」


 リアーヌが頷き、明日の予定が決まった。


明日、本作の第1巻が発売となります。(地域によっては6/18かもしれません)

書店に立ち寄った際はお手に取ってもらえると幸いです。

また、電子書籍を購入予定の方は0時から読めます(↓にリンク)


それと、第1巻の発売を記念しまして本日から6/18まで毎日更新します。


よろしくお願いいたします。

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