表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

132/242

第132話 目指せ、前世超え!


 俺達がリアーヌに触れると、一瞬で視界が森からどこかの部屋に変わる。


「うおっ! びっくりしたー……」


 後ろを振り向くと、ジェフリーが驚いた顔をしながらデスクについていた。


「転移だかなんだか知らんが俺のところに飛ぶのをやめろ!」


 至極、まっとうな言い分だ。


「うるさい。そんなことより、ユウマ様のパーティーはBランクな」


 さすがはリアーヌ。

 有無を言わさない感じだ。


「あー、それか……まあ、いずれはBランクに上げるつもりだったからいいけどよー。どう考えたってはえーよ」

「早さは関係ない。実力があれば上げろ」

「はいはい。じゃあ、お前ら、Bランクな」


 やったぜ。


「悪いな、ジェフリー」

「そんなに急ぐことないと思うんだけどなー。どうせ、冬になれば仕事しねーだろ」


 それはそうだな。


「冬って本当に何もしないのか?」

「外の仕事が減るってだけで町の中の仕事はあるぞ。ほぼ雑用や警備の仕事だからお前らはしねーだろうが」


 雑用は嫌だな。


「やらんな」

「それでも仕事がしたかったら雪が降らない南や西の方に遠征だな。実際、そういう冒険者もいる」

「なるほどな。まあ、ゆっくりするよ」

「そうしな。一度、死んで二度目の人生なんだから生き急ぐことねーだろ」


 確かにその通りだ。


 俺はジェフリーの言葉に納得すると、部屋を出て、パメラのもとに向かう。

 すると、部屋の隅でカリカリと音を出して爪とぎをしているタマちゃんが見えた。

 そんなタマちゃんを受付に座っている女3人は穏やかな目で見ている。


「パメラ」


 受付に行き、パメラに声をかけた。


「あ、おかえりなさい。どうでした?」

「リアーヌの依頼は終わった」

「うむ。問題なかったからそのように処理してくれ」


 リアーヌが頷く。


「わかりました。他は?」

「魔物をいくつか倒したから魔石がある」


 そう言うと、AIちゃんが受付に魔石を置く。


「はい、確かに。薬草の方は?」


 パメラがそう聞くと、ナタリアとリリーが前に出てきた。


「一応、これだけ」


 ナタリアとリリーが受付に採取した数束の薬草を置く。


「これだけですか?」

「もうダメっぽい。ほとんど枯れてるし、これは森の奥で採ったやつ」

「あの感じだと厳しいよ。まだ日が当たる東の遺跡の方が良いと思う。森はダメ」

「そうですか……仕方がないですね。では、精算をしましょう」


 状況を把握したパメラは精算をしてくれ、報酬をくれた。


「よし! これで何とかなる! 多分!」


 心配なエルフだなー。


「明日以降はお休みですか?」


 パメラが聞いてくる。


「とりあえずな。まあ、狩りとかには出るかもしれん」

「わかりました。では、その時にお待ちしております」


 当分は休みだな……

 何をしようか?


「リアーヌ、俺らは帰るがお前はどうする?」

「そうですね。少し仕事がありますので夕方くらいに伺います」

「場所はわかるか?」

「ええ。存じております。それにパメラと一緒に行きますので問題ないです」


 パメラも来るの?

 別にいいけど、都合を聞いてないぞ。

 パメラも首を傾げているし。


「パメラ、リアーヌがコタツを見てみたいっていうから夕食に誘ったんだが、お前もどうだ? 昨日もだったけど」

「あー、なるほど。そういうこと……誘ってくれるなら行くわ。リアーヌ様を連れていけばいいわけね?」

「頼むわ。じゃあ、後でな」


 俺達はリアーヌと別れると、ギルドを出る。


「お前ら、先に帰ってろ。俺とAIちゃんは区長のところに報告に行ってくる」

「わかった。じゃあ、私は買い物に行くよ。冬のためのものを買いたいし」


 暇つぶし用のかね?


「あ、私もナタリアについていく」


 リリーも買い物に行くらしい。


「散財はするなよ」


 一応、釘を刺しておこう。


「わ、わかってるよぅ」


 リリーはそう言いながらもナタリアと共に狛ちゃんを連れて、買い物に向かった。

 俺とAIちゃんは区長の屋敷に向かって歩いていく。


「マスター、寒くなりましたけど、温かくていいですね」


 歩いていると、AIちゃんがポツリとつぶやいた。


「マフラーか?」

「いえ、それも暖かいですが、人ですよ。ナタリアさん、アリスさん、リリーさん、アニーさん、それに加えてパメラさんとリアーヌさんです」


 そういう意味の温かいか。


「まあ、そうかもな。お前がいるとはいえ、一人は嫌だわ」

「マスターはそうでしょうね。生まれた時から家族と共に生き、さらに家族を作って死んでいったマスターは絶対に一人で生きられません」


 生きられないことはないだろうが、想像はつかないな。


「良いことじゃないか」

「そうですね。春になったら頑張ってお金を貯めましょう」


 甲斐性のことを言っているのかな?


「まあ、パーティーランクもBランクになったし、違う仕事も受けられるようになってさらに稼げるようになるだろ。あとは適当にやる」

「それがよろしいでしょう。私がマスターを導きましょう」


 お前の導く先は女ばっかりじゃん。


「俺がこの世界に来てひと月くらいだが、もう6人もいるぞ。最終的に何人になるんだよ……」

「いいじゃないですか。大勢で楽しいでしょう?」

「まあ、楽しいか楽しくないかで言えば楽しいな」


 賑やかだし。


「あなたはそういう人なんです。女性が好き。子供も好き」


 断言するな。

 多分、そうなんだろうけどな。

 じゃなきゃ、嫁が12人、子供が30人以上はバカだ。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【販売中】
~書籍~
最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜(1)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
[一言] 完結するのかと思ってビビったw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ