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第012話 年齢


 俺達は馬車に揺られながら進んでいき、暗くなったので野宿をした。

 そして、翌日、この日も馬車に揺られながら進んでいっている。


「もうすぐで着くよ」


 ナタリアが笑顔で告げてくる。


「ようやく人里か……そういえば、盗賊狩りの報酬はいくらになるんだ?」

「えーっと、金貨20枚だね。だから1人金貨10枚」


 金貨?


「AIちゃん、この世界の金はどうなっている?」

「この世界の通過は銅貨、銀貨、金貨になります。銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚ですね。」


 うん、わからん。


「つまり?」

「えーっと、普通の人だったら金貨10枚で1ヶ月は生きていけるかな?」


 ナタリアが補足してくれた。


「つまりお前らは今回の盗賊狩りで1ヶ月分の生活費を手に入れたわけだな?」

「そうだね。と言っても、私達は10日くらいかな? そこそこ儲けているから贅沢してるし」


 なるほどねー。


「冒険者は儲かるか?」

「人次第だね。ユウマは強いし、すぐに稼げると思うよ」

「…………やりたいことがないなら冒険者がおすすめ。誰でもなれるし、面倒なしがらみなんかはない」


 冒険者ねー。

 まあ、傭兵や宮仕えよりかはそっちの方がいいかもしれない。


「誰でもなれるってことは俺でもなれるか?」

「うん。依頼の報告に行かないといけないし、連れていくよ」

「…………くれぐれも盗賊は私達が討伐したことにしてね。ユウマは道中で拾った迷子」


 迷子かー。

 99歳だったことを考えると、徘徊老人みたいで嫌だな。


「わかった。それで金を稼がないとな。このままでは町に着いても野宿だ」

「橋の下で寝ますかー」


 浮浪者だな。


「あ、あの、やっぱり少しお金を渡すよ」


 ナタリアが提案してくる。


「いらん。それはお前らの金だ」


 施しは受けない。


「…………でも、冒険者になるためには登録料で金貨1枚いるよ?」


 アリスがボソッと教えてくれる。


「……貸してくれ」


 そういえば、人を頼ることが大事って寺の坊主から習ったな。


「う、うん。じゃあ、貸すよ。返すのはいつでもいいからね」


 これは返してもらう気がないな……

 ナタリアは優しいなー。


 俺達が話しながら進んでいると、前方に大きな壁が見えてきた。


「なんだあれ? 砦か?」


 でかくないか?


「いや、セリアの町だけど?」

「町? 砦の中に町があるのか?」

「そうだけど? 外壁がないと、魔物が町に入ってくるじゃん」


 なるほど。

 そういうことか。

 妖は町中だろうが、どこにでも発生する。

 だが、魔物は生物なんだ。

 だから外壁がいる。


「金がかかるだろうに」

「かかっているとは思うけど、仕方がないことだもん」


 まあなー。


 馬車はそのまま進んでいき、門を抜け、町に入った。

 町には多くの人や建物が見えているが、人は俺がいた世界とは服装や髪の色が異なっているし、建物も木材が中心だった俺の世界の家とは異なり、石作りが目立つ。


「異世界だな」

「まあ、異世界ですよ」


 AIちゃんが同意する。


「しかも、大きい町だな」

「ですねー。カラスちゃん、上空で町の全貌を見てきて」


 AIちゃんが肩にとまっているカラスちゃんにそう言うと、カラスちゃんが上空に飛んでいった。

 俺達はそんなカラスちゃんを見上げる。


「マスター、町の地図を作成しますので紙とペンをください」

「地図? 護符しかないぞ」


 ペンもない。


「あ、だったらこれをどうぞ」


 ナタリアが白紙の紙とペンをAIちゃんに渡した。


「では、私は地図の作成に入りますのでしばらく黙ります」


 AIちゃんはそう言うと、ペンで地図を描き始めた。


「あ、手書きなんだ……」


 てっきり自動で描くとか浮かび上がるとかそういうのを予想していたのだが、普通に描き始めている。


「お気になさらずにー」


 AIちゃんが心あらずで一心不乱に描き続けていた。


「じゃあ、私達はギルドに行こうか」


 ナタリアが笑顔で言う。


「馬車はどうするんだ?」

「これは借り物だから返さないといけない。降りて」


 そう言われたので俺達は馬車から降りた。

 すると、馬車が勝手にどこかに歩いていく。


「逃げたぞ」

「勝手に戻るようになっているんだよ」


 へー……

 防犯的に大丈夫なのかね?


「…………ギルドはこっち。ついてきて」


 アリスが先行して歩いていったので俺達もついていく。


「AIちゃん、危ないから前を向いて歩けよ」


 AIちゃんは地図を描きながら歩いているため、非常に危なっかしい。


「問題ありません。カラスちゃんの視界とリンクしていますし、この程度は問題ないです」

「そうかー?」

「お孫さんと手を繋いで歩きたいおじいちゃんですか?」


 そんなことはないんだが、人が多いから危ない。


「というか、見た感じは兄妹だよね」

「…………そんな感じがする」


 まあ、20歳と10歳前後だからそう見えるわな。

 髪の色はともかく、多分、顔立ちも似ているし。


「AIちゃん、設定を兄妹に変えようか?」

「お兄ちゃんって呼びましょうか?」


 なんかすごく嫌だな。

 だって、顔が母親なんだもん。


「やっぱりやめよう」

「でしょうね」


 AIちゃんが地図を描きながらうんうんと頷いた。


「そういや、お前らって何歳だ?」


 俺は2人に聞く。


「私は17歳」

「…………私は16歳」


 ナタリアは思ったより、ずっと若かったし、逆にアリスは上だった。


「そうか……」

「え? ユウマはいくつ?」

「…………気になる」


 99歳。


「この身体は20歳らしいぞ」

「え!? 年上?」

「…………同い年かと思ってた」


 いや、それはない。

 ナタリアは同い年くらいに見えるが、アリスは絶対に下に見える。


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