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第109話 何これ?


「真のようです。私は前世の家族の記憶がありませんのではっきりとは答えられません」

「記憶がないとは?」

「私のスキルが言うには引きずるだろうと」

「ほう。リアーヌもそういうのはあるのか?」


 王様が同じ転生者であるリアーヌに尋ねる。


「私は巫女という職業に就いておりましたから生涯未婚で家族もいません。ですが、やはり弟子達のことは今でも気になっていますね。ユウマ様が引きずるというのもわかります」


 リアーヌは巫女だったらしい。


「なるほどのう……しかし、スキルというのが気になるな。話には聞いておるが、そういうのがいるんだろう?」


 王様が再び、俺を見る。


「はい。今でも私の脳内にいますね」

『いえーい』


 いえーいって……


「話を聞きたいんだが、大丈夫か?」


 そう言われたのでリアーヌを見る。

 すると、リアーヌが頷き、護符を一枚返してくれた。


「それではAIちゃんを出します」


 そう言うと、護符に霊力を込め、床に投げた。

 すると、長い金髪の少女が現れる。

 AIちゃんは目をぱちくりさせ、俺のもとにやってきた。


「おー、すごいな……おい」


 王様が指示をすると、騎士が空いている椅子を引く。

 そして、メイドがお茶を準備しだした。


「マスターのスキルのAIちゃんです。よろしくお願いします」


 AIちゃんは椅子に座り、そう言って頭を下げた。


「うむ。それで聞きたいんだが、ユウマが12人も嫁がいたというの本当か?」


 この王様、しつこいな……

 何故にそこが気になる?


「本当です。上はマスターの同い年、下は50も下ですね」

「50……私が今年で60歳だから10歳か……遅くに生まれた末の娘よりも下だな」


 王様は感心しているようだが、ちょっと引いている。


「お孫さんの3歳上でしたね」


 このお茶、美味いな。


「すごいな……よくもまあ、それでよく問題が起きなかったもんだ」

「マスターは絶対でしたからね。奥様方もそういう人だとわかっていて嫁いできましたし、マスターはそういうのがお上手な方でしたから」


 お茶菓子も美味い。


「どうやったらそう上手くできるんだ? 私にも王妃である正室の他にも側室が2人おる。だが、まあ、仲が悪い」


 それで聞きたいわけね。


「有無を言わさないようにすればよろしいのです。そして、全員を愛するのです。マスターは皇后様に苦言を呈されても無視するどころか言い返して、開き直っていましたからね。そうなったらもはや誰も何も言いません」


 皇后様、申し訳ございません。

 ですが、それは私ではないです。

 そんな不忠者は知りません。


「お前、すごいな……」


 異世界の他国の王様が完全に引いている。


「陛下、人は人を愛するものです。私はそれがたまたま12人いただけでしょう」


 たまたま。

 偶然。

 巡り合わせ。


「こんな感じです」

「そうか……一つも参考にならんな」


 ならないでしょうね。


「……うーん、一周回ってかっこよく見えてきたぞ」


 リアーヌがボソッとつぶやく。


「まあよい。これからもセリアで冒険者を続けるのか?」


 王様が真面目な顔になり、聞いてきた。


「はい。幸い、人との縁にも恵まれましたし、【風の翼】というクランにも所属しております。セリアの町で冒険者を続けようと思っています」

「そうか。あそこはこの王都から近く、様々な資源が採れる重要な地だ。ぜひとも頑張ってくれ」


 先に言っておいたから勧誘や仕官の話はなしか。


「異世界とはいえ、他国の貴族である私を住民として受けいれて頂き、ありがとうございます」

「当然のことだ。この地に住む者は皆、私の子であるからな」


 聞いていた通り、暴君でも暗君でもなさそうだ。

 無難な良い王だろう。


「一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「セリアの町の区分けについてはどのようにお考えで?」

「ハァ……それか。いや、あれはどうにもならん。各区長が各派閥の貴族と繋がっているし、私の力でもどうにもならん。こうなったら争いが良い方向に進んでくれるように調整するだけだ」


 どこか一つの区が突出するのを防ぐわけか。

 こりゃ、確かにどうにもならんな。

 何かをしようとすると、政争に巻き込まれる。

 諦めよう。


「わかりました。あまり見たことがない統治のやり方だったので気になっただけです」

「私もあそこ以外で見たことがない」


 王様の表情はあってたまるかって感じだ。


「叔父上はそろそろ例の話に入りませんか?」


 リアーヌが別の話題を振った。


「それもそうだな。リアーヌ、このオットーがAランクの冒険者だな?」


 王様がオットーを見る。


「はい。優秀な冒険者と聞いております」


 さっきボロクソに言ってたのに。


「そうか。実はとある依頼を頼みたいのだ」

「何でしょう?」


 オットーが久しぶりに口を開いた。


「実はな、脅迫状というか、予告状が届いたのだ」

「予告状ですか? それはどういう……」

「まあ、見た方が早いな」


 王様がそう言って騎士を見上げると、騎士がテーブルに紙を置いた。

 オットーはその紙を手に取ると、読みだす。


「なるほど……」


 オットーは読み終えると、紙をテーブル置いた。


「ユウマ、すまんが、お前も見てくれ。それで何か変なところがあったら教えてくれ」


 まあ、この話を聞いた時点で巻き込まれるよね。


「わかりました」


 俺はテーブルの上の紙を手に取る。

 すると、AIちゃんが立ち上がり、こちらに来たので一緒に読み始めた。 


【愚かな人族の王よ。我らに敵対し、我らを追い出したことは大きな罪である。よって、お前の娘を殺すことにした】


 予告状?

 なんだこれ?


「えーっと……」

「意味がわからないですね」


 ホントだわ。


お読み頂き、ありがとうございます。

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[一言] 一つも参考にならなくて笑う。
[一言] 全てを平等に愛する。それが出来んから、人は浮気をするんでしょ…。いつもながら愛が深い
[良い点] 皇后様に言い返すのロック過ぎて草
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