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柴村勇樹の災難

作者: 病坊麻婆・凶報

ピンポーン

家のチャイムが鳴る


何だこんな時間に

時刻は9:25

今日は休みだから、ゆっくり寝ようと思っていたんだが?


ピンポーン

更にチャイムが鳴る

はいはい分かりましたよ。

インターホンの通話ボタンを押し、モニターを見る


警察官二人がマンションのエントランスに立っている

「はぃ~なんでしょ~か~」

寝起きで頭が回らない


『私、西警察署の者です。お宅から幼児の泣き声が聞こえると通報がありまして確認させていただきたいのですが』

?幼児?

バツイチ独身で一人暮らしの俺のところから?


「泣き声ですか?うちから?・・・とりあえず部屋までどうぞ」

エントランスのカギを開ける

しばらく待っていると玄関のドアチャイムが鳴る

警察が上がってきたようだ


俺は玄関の鍵をあけドアを開く

「お休みのところ申し訳ないですな。先ほども言った通りお宅から泣き声が聞こえると通報がありまして確認させていただけないですか?」

警察手帳を見せながら先ほど言っていた説明をする


「あぁ、どうぞ入ってください。でも、泣き声ですか?うちには私しかいないんですけど」

そういって中に入ってもらう

玄関に警察が張付かれたらたまったもんじゃない


部屋の中を見回しながら

「そのようですね。ちなみに幼児の泣き声とか聞かれたことはないですか?」

「そりゃ小さい子供なら泣くでしょうよ。何時ごろの事ですか?」

正直、このマンションは家族向けのため全36戸のうち、32世帯に子供がいる

中高生くらいの子から乳児くらいの子まで

それを見越して各部屋に防音効果のある素材を使っているらしく、窓も玄関も閉めると気にならないんだけどな


「それがですね、大体が夜らしいんですよ。まぁ、お宅を見させていただきましたが無関係でしょう。」

そりゃそうだろう

子供に関係するものなど一切ないからな

女物も一切ないのだが・・・・バツイチ、彼女なし・・・・


「あぁ、もういいんですか?」

「すいませんね。うちらも規則で聞かない訳にはいかないもので」

警察官は会釈をしながら帰っていく

何だったんだろうね


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

数日後・・・・

ピンポーン

エントランスに前回と同じ警察官が。


今日は22:30

まだ寝てなかったから良かったが、訪問にしては遅くないか?

「どうかしました?」

『あぁ良かった。遅くに申し訳ないです。先ほど通報がありまして』

「幼児の泣き声ですか?」

『そうなんです。』

エントランスのカギを開けて部屋まで来てもらう


「すいませんな。また通報がありまして」

「いや、お仕事お疲れ様です。でも泣き声とか聞こえませんよ?」

玄関を開けて話していたが、幼児の泣き声どころかテレビなどの音も聞こえない


「そうなんですよ。悪戯かもしれませんな」

「それだと迷惑ですよねぇ。誰からの通報とかは・・・・守秘義務ですか?」

「守秘義務ですねぇ」

警察官はそれだけ言うと帰っていった

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さらに数日後・・・・

ドンドンドン!!ドンドンドン!!!!

「いるんでしょ!早く出てきなさい!!」

ドアを叩く音と、がなり立てる声。横からそれをなだめようとする声も聞こえる


玄関を開けると、以前の警察官と見知らぬオバサン

どちら様かな?


「あなたね!毎日!毎日!毎日!!子供の泣き声がうるさいのよ!!!!いい加減にして頂戴!!!!」

さっするに通報していた人か

「ですから、泣き声など聞こえていませんって!」

警察官が宥めているがオバサンは聞いていない


「何が聞こえていないよ!!さっきから泣き続けているじゃない!!」

これには俺も警察官もキョトンだ

響いているのはオバサンのがなり声だけだ 


この声に隣の旦那さんも顔を出す

「あの~、何かあったんでしょうか?」

「あぁお騒がせして申し訳ありません。どうもこちらの方が、うちから幼児の泣き声が毎日聞こえるとのことで」

俺は隣に説明する

旦那さんもキョトンだ。

オバサンは警察にまかせよう


隣の旦那さんはオバサンを気味が悪いとでも思ったのか胡乱な目で見ている

「そうなんですか・・・どなたか遊びにでも?」

「いいえ?独身の一人暮らしです」


対応が気に入らなかったのかオバサンの剣幕がすごくなり大声で叫びだす

その声でマンションのあちらこちらから住人が様子を見に来ている

とりあえず軽犯罪法違反でいいんじゃね?


その日は警察がオバサンを連れて行った

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「・・・てなことがあったのよ」

俺は会社の帰りに、マンションとなりのスーパーで買い物をしながら友人に説明していた。

ちなみに男である

このスーパーは友人の親が経営しており、裏が自宅となっているため手伝いに来ているのだろう。

といってもこの時間は客が少ないから駄弁って居られるわけだが。

その自宅内でもオバサンの声が聞こえていたらしい


「くはっ!それは災難だねぇ」そういいながら笑っている

「他人事だと思いやがって・・・」

「だって他人事だし」

小学生からの友人なので気安く語り合えるのが楽でいい


「それで今日パトカーが大量に来てたのか」

何ですと?


友人の話によると昨夜の騒ぎを客たちが噂していた所、パトカーがオバサンをマンションへ連れてきたらしい。

その数分後パトカーが何台も来て、しばらく止まっていたあとオバサンを連れて行ったそうだ


ビールと晩飯を買って自宅へ帰ろうとエレベーターに乗ろうとしたが緊急点検中の札。

なんてこった。エレベーターが使えないとは・・・

しょうがない。階段を使うか・・・・


俺は自宅の5階まで階段を上ることにしたが・・・

「ぜぇぜぇ・・・運動不足半端ねぇ・・・・あと1階・・・・」

4階までで挫けていた


ふと横を見ると黄色いテープが奥の方に張られていて、警察官がその前に立っている

奥の方では別の人が何人か作業をしているのが見える

場所は俺の部屋の真下だな。

「ふぅん」

俺は見ないふりをして自宅へ戻るとビールを一気飲みする


「あのオバサンがやったのかな・・・・」

玄関から見えた範囲でも作業をしていた大人に交じり子供たちが部屋の中をうろうろしていた

「碌なことしてねぇな」

ベランダから下をのぞくとカメラを持った者や梯子を抱えた奴やらが大量に増えてた

ありゃテレビか?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『・・・マンションの一室にて、子供の遺体が見つかり事件性を調査しています。警察ではこの部屋に住む女性から事情を聴く・・・・』


あのオバサンは自分で殺した子供たちの泣き声を毎日聞いていたわけだ。

そりゃ気も狂うわな


子供を殺して喰っていたオバサン

人の不幸や事故を面白おかしくコメントするだけのテレビ

噂を吹聴して回るもの

死んでいる奴らより生きている人間の方が怖いってもんだよ。


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