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日出処艶  作者: 夜半野椿
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私達の世界へ私より

ぶっちゃけ読み飛ばしても大丈夫です。

 世界には最初から答えがあった。だけどヒトは、それを最初からは知らなかった。


 どうして空は青いのだろう?どうして雲は流れるのだろう?どうして雨は降るのだろう?どうしてヒトは生まれて死んでいくのだろう?


 自分達の力ではどうする事もできない大きな出来事、大きな力、大きな幸せや不幸せ。

「わからない」「できない」という好奇心と恐怖心の中で、ヒトは「神」という一応の答えを生み出した。


 自分達に出来ない事は、自分達以上の存在が全部やっている。ヒトはヒトだから、まず最初は世界の全てを、知らず知らずの内に傲慢に、「人格の産物」であると定義した。ヒトが最初に見つけた答えは、寂しいという気持ちの寂しさだったのだろう。


 やがて、ヒトは賢くなれば賢くなる程、孤独感を覚えるようになってしまった。

 その孤独感は、時が経つにつれて世界中に広まっていった。

 孤独感を覚えれば覚える程、ヒトは自分達が仮定した答えに近づいていった。


 「神」は思考の指向性となったのだ。


 その進歩を、ヒトだけの特権だと誇る者もいるだろう。死と破壊によって生み出した退屈だとなじる者もいるだろう。

 今を生きるヒトは笑っている者もいれば、泣いている者だっている。

 ヒトはみんな今も尚、大なり小なり「未知や不可能」を抱えているのだから。

 ヒトはまだ、「神」の仕事を奪っている最中なのだから。


 「未知や不可能」の違いは、時代や地域、ひいては個人それぞれに別々の「神」を生み出した。自分達の「神」との違いを受け容れる人々もいれば、「神」の規格を統一したがる人々もいた。「未知や不可能」を抱えながらも、それを「神」に結び付けるのを拒む人々もいた。

 そしてその違いもまた、人々を「神」に近づけた。どんな形で「未知や不可能」を内包していたとしても、時が経ってしまえば、その分だけ人々は前に進んでしまう。他の生物と違って、自分を含めて同じヒトという存在を否定する答えすらも食べてしまう生物なのだから。




 そう、ここまでは私達が生きる世界と何ら違いはない。




 「未知や不可能」の違いによって生じる人それぞれの世界観の違い、それが多様な力を生み出す世界。

 世界中の、時代中の「未知や不可能」が収束し、本当に「神」となった世界。


 素直に「わからない」「できない」と認めて、それらは「神」を介して解決しようとする人々もいる。

 そんな人々と同じ様に「わからない」「できない」を抱えているはずなのに、それらを「ありえない」で埋め合わせてしまうから、本当は同じ様に「神」に頼っているのに、その力を「人類の「神」からの解脱の証明」と言い張る人々もいる。


 そんな世界でそんな世界の人々は、「神」を至上としながらも「神」を利用し、時に喜び合い、時に争い合って生きている。結局は私達と同じ様に。

 私達の世界で生きる私が生み出した世界なのだから。

 だから貴方達も、こんな世界を愛して欲しい。こんな世界を憎んで欲しい。

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