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【18:その勇者、エロい姿でハグする】

「さぁ、お遊びはこれで終わりにしましょうかねぇ……イッヒッヒ」


 死神デスゴッドのヤツ、まるで攻撃をしてくるかのようなセリフを吐いてやがる。ホントは逃げる気満々のくせに。目が泳いでいるし、あの言葉はフェイクだな。


「そうだな。お遊びは、これで終わりにしよう!」

「イヒッ……?」


 俺が急にそんな大声を出したものだから、死神デスゴッドは驚いて間抜けな声を上げた。


 俺は精神を集中する。今までにない魔法の使い方。ケアルン・エクストラを、できるだけ狭い範囲、つまり刃物のように薄くして飛ばす。


 ──一発勝負だ。外すわけにはいかない。


 俺は大きく息を吸って、気持ちを整えた。そして大声で詠唱する。


「ケアルン・エクストラ!」

「よしっ、いいぞアッシュ!」


 ネーチャーは俺の手のひらから放たれた魔力に、加速を付けるように、死神デスゴッドに向けて剣を一閃した。


 ギュンという剣の風音が鳴り響く!

 俺の魔法はネーチャーの剣の加勢で、疾風の速度で飛び出す!


 死神デスゴッドの姿は、盾にしたジョアンヌの身体のせいでまったく見えない。

 そして俺の刃のようなケアルン・エクストラは、ジョアンヌの首に横向きに刺さった!


 しかし回復魔法のため、もちろんジョアンヌにはなんのダメージもない。


「ぎょあああああぁぁぁぁ!」


 死神デスゴッドの地の底から蠢くような叫び声が響く。ジョアンヌの足元に、ヤツの頭がゴロリと転がるのが見えた。

 それに続いて、本体も崩れるように倒れる。そしてしばらくすると、身体も首も、黒い霧状になって、霧散した。


 ──よしっ、目論見どおりだ!


 一般的にアンデッドモンスターに治癒系の魔法をかけるとダメージを与えることができる。

 だからその治癒魔法を刃のように薄くしてヤツに浴びせると、その部分だけ大きなダメージを与えて、首と胴体を切り離したのだ。


「やった!! やったよ、ネーチャー!」


 その時、急に身体中に力がみなぎるのを感じた。SSSトリプルエス難度の魔物を倒したことで、一気に俺のランクが上がったのがなんとなくわかる。

 あれだけ難易度の高いヤツを倒したんだ。正確にはギルドで判定を受けないとわからないが、一気にSランクまで上がったんじゃないだろうか。

 ──そんな気がした。


「おおーっ! さすがだアッシュ!」


 突然ネーチャーが俺に飛びついてきた。そして思いっきりハグしてくる。


 ──いや、あのう……あなたは今、上半身はブラ一枚なんですけど。


 大きな胸の柔らかな感触が、俺の胸に伝わる。そして下はスパッツ姿。しかもパンツを穿いてない。そんな姿で抱きつかれたら……


「おい、アッシュ! どうしたっ!? 大丈夫か!?」


 ──頭が真っ白になって、ネーチャーの焦った声が遠くに聞こえた。





 気がつくと、ネーチャーの顔がアップで見えた。


「うわっ……」


 俺はどうやら洞窟の床に寝転がっていたようだ。慌てて立ち上がる。


「大丈夫か、アッシュ!?」

「あ……ああ、大丈夫だ」

「急に倒れてしまうなんて、私が気づかない間に、死神デスゴッドから何か攻撃を受けてたのかっ!?」

「いや、違う……」

「だったら、いったいどうしたのだ?」


 お前はわかってないようだが……俺が受けたのはネーチャーからのセクシー攻撃だ。だけどそれをストレートに言うのは恥ずかしい。


「いや、単なる貧血だと思う」

「そうか……良かった……」


 ネーチャーは綺麗な顔を歪めて、泣きそうになっている。本当に心配してくれてたみたいだ。


「ありがとうアッシュ。君のおかげで勝てたよ」

「えっ……? いや、ネーチャーは世界最強の勇者なんだから。俺なんかいなくても、勝てただろ」

「いや……このスパッツを履いたままで、あの人質を取られた状況だったら、私一人では無理だった。私の失敗をフォローしてくれたのはアッシュだ」


 ──コイツ……確かにヌけてるところだらけだけど……そんなふうに思ってくれてるんだ。


 世界最強だけど、めっちゃ可愛いじゃないか。

「面白い」「続きが読みたい」という方は、ブクマ、評価(各話の下にある★)等で応援をお願いします。


次話で完結します。

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