私としましては、2度目はありません。
毎日投稿2日目。
こちらは、安価版です。
「ここは、会議室?」
物語の中へと転移した私は、ホテルのロビーくらいの広さはある会議室のようなところに、立っていた。
「ーーちょっと、今会議が終わったところなのに何なの?」
「副会長補佐の詩織さんから、なにやらお話があるようです」
「なるほど、それは聞かなきゃ行けないね。彼女は、補佐を介してしか会話をしてくれないからね」
ドアの向こうから、数名の声が聞こえる。
そして、間もなくドアは勢いよく開いた。
「今来たわよー、詩織ー」
そこには女性2人と、男性が1人。そのうち1人は、依頼主の五十嵐まほさん。驚いたことに、その襟元にはアメジストのピンバッジがキラリと光っている。残りの二名も同様だ。
「私たちに話ってなんですか?」
唐突すぎて、訳が分かりません。転移してからすぐは何も無い場面から始まり、世界に溶け込むための期間だったはずなのですが。いきなり彼女らを『私が』呼んだところから始まっている。
もちろん、私はこの世界には来たばかりですので、どんなことで私が呼び付けたのかも分かりません。
「…………まほさんのイヤリング。知りませんか?」
一か八かです。イヤリングを無くした後なのか、前なのか分かりませんが聞くしかありません。
「え?! なんでなくしたこと知ってるんですか?『詩織さん』の癖にキモ!きもちわる!」
「詩織だからでしょ?あの東郷万里の補佐なんだから」
なにか引っかかる言い方ですが、放置しておきましょう。今肝心なのは、喪失したイヤリングですから。
「サファイアのイヤリングですよね?」
「……ん?いや、ただのシルバーリングです」
「………………」
まさか、2度もなくしているとは。
今回もご愛読ありがとうございました。