はるのしずく
涙に霞む叢雲は
月の光を受けて夜空に滲み溶く
散りゆく夜桜は万華鏡
在りし日々を霓光へと変える
遠く聞こゆる夜鷹の聲
私を呼ぶように悲しく響く
想い溢れて眠れぬ宵に
浮かぶはあなたの面影鏡
手を伸ばして触れてみても
砕けて落ち逝く静寂の檻
「逢いたい」という想いは
九十九折の山並みを
幽かな蛍火のように彷徨い舞う
哀しみは頬を濡らし
温かな"はるのしずく"となって流れ落ちる
宵だけが深く
ただひとりの私を無言で抱き締めた
本作は、ちはやれいめい様主催「フラワーフェスティバル2020!」企画参加作品です。
また、過去に投稿した既出作品です