第60話 第三のオーガ
再開します! 予定より再開が遅くなってしまって済みません。。
予告していた主人公の言動修正は終了していますので、良かったら見直してみて下さい。
今後、更新速度は多少ゆっくりになる予定です(週2、3程度を想定)。
よろしければまったりお付き合いください。
一方、巨大な鮫の怪物に飲み込まれたヴェルネスタは――
「うおおおおおおぉぉぉぉっ!?」
巨大鮫の口内の奥に、何か巨大な渦に巻き込まれて運ばれて行く。
意思ある剣化したヴェルネスタを捕らえたマリンオーガも、一緒に渦に巻き込まれている。
「ヒャッハーーーー! ヒャハハハハハハァーー!」
下品な奇声を聞きながら、ヴェルネスタは喉の部分に吸い込まれて行くが――
ぐるぐると回る視界の中で、口内や喉奥の内壁が、生き物の体のはずなのに、鉄のようなものやカラクリの部品のようなものに覆われているのが目に入った。
「どういう事だ……!? こいつはナマモノじゃねえってのか――!?」
しかしそれに気が付いても、流れに飲まれた身はどうにもならない。
喉奥まで行くと、そこには大きな扉があった。
そしてそれが大きく開く――
剣になったヴェルネスタとマリンオーガが、扉の奥の空洞に流し込まれた。
「――っ!」
自分が床に跳ねて、カランカランと乾いた音を立てる。
中は石のような、固い材質で覆われていたのだ。
水は無く空気があって、人間が入っても大丈夫そうだ。
高い天井には光る球体が埋め込まれており、それが内部を明るくしている。
とても巨大な鮫の体の中だとは思えない。
どこかの城や教会のホールのような雰囲気だ。
どう見ても自然のものではない、人工物だ。
しかし、中が空気のある普通の空間だという事は――
「うごごごごご……! ぐるじびいいぃぃぃ……! げえぇぇぇぇ……!」
マリンオーガが胸を押さえて苦しみ出し、やがて地面に伏せて動かなくなる。
「……ったくこのバカが――!」
こんなにあっさり死ぬバカに巻き込まれて鮫に喰われ、一人取り残されたのだ。
恨みごとの一つも言いたくなるのは当然だろう。
本当なら、あの海底の館の中をこっそり探索するつもりが――
超巨大な鮫の化け物の腹の中を探索することになろうとは、全く意味が分からない。
しかも体は先程なったばかりの剣のままである。
こんな状態でどうにかなるのか――? 不安感が物凄い。
スケルトンの身体が恋しくなってしまうではないか。
「やれやれ、どうにかして外に出られんものかね」
ヴェルネスタはため息を一つ着くと、すぐに脱出の方策を考え始める。
起きてしまった事は仕方ないと受け入れて、動じず臨機応変に対応できるのがヴェルネスタの取り得である。王たる者の資質でもある。
通って来た腹の中への吸引口は――今はガッチリと金属の壁が閉っており、空けられそうになかった。
また何かを捕食した時は開くだろうか。
その隙に外に――
「いや、吸い込む渦の力が強いからな――中に戻されそうだわな」
試してみてもいいが望み薄だ。
何か別の方法は――と思ったがふと気が付く。
この巨大鮫は、先日マリンオーガの群れを飲み込んでいたはずだ。
その現場はルネスと一緒にヴェルネスタも見ている。
だが、先に喰われたはずのマリンオーガ達の死体が見えない。
ならば、死体が何者かによって片付けられてしまったのか……?
という事は、この腹の中に何かがいる――?
「確かめてみるべきだな……」
外に出る方法を探しつつ、中の構造も探っておかねば。
それが後の役に立つかもしれない。
ヴェルネスタは風魔術の力で宙に浮き、周囲の様子を探った。
今いる場所自体は、殺風景なドーム状の場所だ。
無論窓も無ければ、身を隠すものもない。
「うーむ……」
自分がやって来た、腹の中への吸引口以外にも扉はあった。
それが別の所に通じていそうだが――これもガッチリと閉っている。
「出られねえじゃねえか――どうにかして開かねえかよ、こいつ!」
扉に体当たりしたり、取っ手に柄をひっかけて引っ張ったりしてみるが――
扉はまるで揺るぎもしない。
スケルトンの身体とスキルがあれば、無理やりぶち破る事は可能だったかもしれない。
が、今の体はただの魔石鋼の剣だ。どうしようもない。
そんな時、扉の外から声が聞こえた――
「ゲヒャヒャヒャヒャ! 何か吸い込んだぜぇ!」
「食いモンか? 食いモンか? 俺ぁハラが減ってんだああああぁぁ!」
「ヒャッハー! 見てのお楽しみだあぁぁぁ!」
聞き覚えのあるこの感じ――
「……おいおいこんな所にも奴らが生えてんのかよ――」
声がどんどん、近づいて来る。
こちらに向かっているのか? ならば身を潜めて様子を見よう。
ヴェルネスタは壁際の一番高い所に浮かび上がって滞空した。
遮蔽物のないこの部屋では、一番目につかないのはここだろう。
そして――部屋の鉄の扉が開いた。
姿を現したのは、マリンオーガに近い体格と鱗を持つオーガ達だった。
だがそれは不自然だ、何故ならマリンオーガは空気のある空間に入ると死ぬはずだ。
よく見ると、そのオーガ達はマリンオーガとは少々異なっていた。
体のあちこちに、カラクリの部品や歯車のようなものが埋まっているのだ。
生物と人工物が入り混じったような、奇妙な姿だった。
これは――まだ見ぬ第三のオーガなのかも知れない。
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