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第54話 機工人形《オートマトン》

 俺が落ちてしまった地下の地下は、上のように石を敷き詰めて整備してあるようなものではなく、天然の洞窟のような場所だった。

 あちこちに小さな池のような水溜まりがあり、天井からも水が滴り落ちて来る。

 少し指で掬って舐めてみると、外の海と同じく薄い塩味だった。

 海底洞窟――と言った所か。

 光源が殆ど無いため、中はかなり暗い。

 が、俺の祈りの剣には火魔術LV18を下賜(グラント)してある。

 その刀身が紅く輝き、充分な明るさを提供してくれるのだ。

 純粋な斬撃の威力向上だけではなく、調理器具にもなるし松明にもなる。

 やはり武器に下賜(グラント)する火魔術はいいものだ。

 俺としては一番気に入っている。


「魔物は……ああやっぱりいるよな――」


 俺はやや細い通路から、先に続く大部屋のような空間を覗いていた。

 やはり魔物はいる様子で――あれは何だ? 大きなタコだろうか。


 名前 :??

 年齢 :??

 種族 :ヒュージオクトパス

 レベル:23


 スキル1 :格闘LV21

 スキル2 :耐久力増幅LV13


 それが俺に見える限りでは四、五体蠢いている。

 オーガとは違い真っ当な魔物だ、油断は禁物――

 俺がそう思った直後、頭上から音が。


 ギイイィィィッ!


「っ!?」


 上から落ちてきた何かが、俺の左の肩に喰いついていた。


「痛いな! このッ!」


 力任せに振り切ったが、俺の肩はドクドクと疼く。

 血が流れ出している感覚もした。

 俺から振り解かれて天井に戻って行くのは、巨大な蝙蝠だった。


 名前 :??

 年齢 :??

 種族 :キラーバット

 レベル:25


 スキル1 :格闘LV22

 スキル2 :隠密LV15


 隠密LV15――これのせいで気配が察知できずに不意打ちされたのだ。

 スキルも色々種類があるものだ。奥が深い。

 俺はキラーバットを注視していたが、やがてヤツはふっと俺の視界から姿を消す。

 注視していたはずなのに、見失ってしまう。

 この洞窟内部が暗く見通しが悪いというのと、隠密LV15のスキルの合わせ技だ。


 ギイィッ!


 今度は足に喰いつかれる。


「このっ!」


 振り解く。逃げていくヤツを見失う前に、俺は掌を翳して向けた。


王権(レガリア)――徴発(リムーブ)!」


 隠密LV15を徴発(リムーブ)した。

 それにより、俺がヤツを見失う事はもう無くなった。

 しっかり狙いを定め、祈りの剣の切っ先を向ける。


「撃ち落とせっ!」


 魔術炎弾がヤツを撃ち、火に巻かれながら落下してくる。


「でえぇぇいッ!」


 紅い刀身の祈りの剣が、キラーバットの体を二つに溶断した。

 軽い手傷を負わされたものの、倒す事が出来た。

 が、今の戦いの音で奥のヒュージオクトパスがこちらに気が付いたらしい。

 ジュルジュルと音を立てながら、集団でこちらに向かってくる。

 全部相手にするのは面倒だ。


王権(レガリア)――下賜(グラント)!」


 自分自身に隠密LV15を下賜(グラント)した。

 そして気配を殺し、来た道を引き返してヒュージオクトパスの集団と距離を取った。

 奴等は俺を見失ったらしく、暫くするとまた元の場所に戻って行った。

 隠密スキルの効果が出たのだ。敵をやり過ごしたいときには便利だ。


王権(レガリア)――徴発(リムーブ)下賜(グラント)


 そして、祈りの剣のスキルの自己再生(高)を自分自身に移した。


「ふぅ。下の層の奴等よりモンスターも強そうだな……」


 一息つく間に、負った傷がどんどん塞がり癒えていくのが分かる。

 こういう使い方もできる自己再生のスキルは便利だ。

 できれば武器用と本体用と二つ欲しいくらいだ。

 限られた所持数の有効活用という意味では、今のように適宜付け替えでも悪くないが。

 だがその分MPは食うので、一長一短ではある。


「よし、行くか」


 傷は癒えた。俺は再び通路を進み、ヒュージオクトパスの群れの様子を窺う。

 隠密LV15を得たせいか、奴等は俺に気が付かない。

 このまま、戦わずに通り抜けてしまいたい。

 先がどれほどの長さなのか、どんな魔物が控えているのか。

 そのあたりが分からないので、出来るだけ消耗を抑えて進む方がいいとの判断だ。

 俺は岩陰に隠れながら、ヒュージオクトパスの群れの場所を通り抜けようとした。

 が――


 グガオオオォォォォーーーッ


 何かが飛び出して、ヒュージオクトパスの群れに飛び込んだ。

 四本足の大きな獣――のように見えるが、そいつがヒュージオクトパスを次々と大きな牙で噛み千切り、鋭い爪で引き裂いていた。

 ヒュージオクトパスは全く相手にならず、一方的に蹂躙されていた。

 つまりその獣が、それ程強いという事。俺はそれを注視する。


 四本足で巨大な牙のある獅子や虎に近い姿――

 だが、牙の片方は自然の牙ではなく金属で出来ていた。

 さらに体の半分程も金属製の板に覆われていた。

 瞳の片方がランプのようなものになっており、暗闇の中でも光を確保できるようだ。


 何だ――? からくり仕掛けか?

 歯車で動く動物の玩具を大きな街で見た時の事を思い出す。

 俺が田舎者でなかったら、もう少し何か分かったかもしれないが――


 名前 :アーマータイガー

 年齢 :??

 種族 :機工人形(オートマトン)

 レベル:41


 スキル1 :エレクトラムハート(※固有スキル)

 スキル2 :格闘術LV33

 スキル3 :瞬発力増幅LV20

 スキル4 :耐久力増幅LV20

 スキル5 :雷光魔術LV25


 エレクトラムハート:機工人形(オートマトン)の心臓たる中枢装置。

           機工人形(オートマトン)はエレクトラムハートに刻まれた命令を忠実に実行する。


 グガオオオォォォ!


「!」


 奴が俺に気が付いたようだ――

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