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第39話 続・質の暴力

「おおおおおおぉおっ!? チャッピーちゃんがああぁぁぁっ!?」

「こ、こいつらあぁぁぁ!? 強えぇのは一人って、親分言ってなかったかあぁぁ!?」

「こうなりゃ、ヒポポちゃんも呼ぶしかねええぇぇ!」


 と叫んだオーガが、ピュイィッと指笛を鳴らした。


 キュオオオオオォォン!


 俺達の頭上に影が差し、恐ろしい怪鳥の唸り声が響く。

 上だ――!


 ヒポポちゃんなる大ヒッポグリフは、鋭い足の爪を剥き出しつつ急降下し、着地した。


「ぐげぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」


 ――指笛を鳴らしたオーガの真上に。

 当然の事ながら、ヤツの体は潰れて更に爪に引き裂かれ、ただの肉塊と化した。


「……」


 ヒッポちゃんもそうだったと思うが、恐ろしく気性が荒いな……

 そして、まるで躾がなっていない。

 うるさい呼びつけるな! と言わんばかりに、ヒポポちゃんは俺達でなくオーガ共を蹂躙し始めた。


「おおおおおお! よーしよしよしよ――ぐぼあぁぁぁぁっ!?」

「ヒポポちゃあああぁぁん! 落ちつ……ぎょええええぇぇぇ!?」


 そうだったそうだった。

 俺達とヒッポちゃんが戦った時も、オーガ共を踏み潰してから向かってきたな。

 どうにも余程オーガが嫌いらしい。


 名前 :ヒポポちゃん

 年齢 :??

 種族 :ヒッポグリフ

 レベル:27


 HP :671/671

 MP :  0/0


 腕力 :192 

 体力 :211

 敏捷 :175 

 精神 :120 

 魔力 :115 


 所持スキル上限数 :5


 スキル1 :突然変異体(※固有スキル)

 スキル2 :風魔術LV15

 スキル3 :雷光魔術LV13

 スキル4 :格闘術LV20


 能力的にはヒッポちゃんと変わらないか。


「な、仲間割れしてるね――どうする? 放っておく?」


 レミアが戸惑っている。

 俺は首を横に振った。


「いや、あいつはオーガ共がいなければこっちに襲ってくる。今放っておいても、どうせ後でかかって来る――それに、肉が美味い」

「フッ……祝いの酒の肴にゃあ持って来いだな」


 俺の言葉に親父が頷いた。


「よし――食糧確保だ!」


 そう、今の俺達にはこの程度のヒッポグリフは、食料にしか見えないのだ。


「うおおおおおおおっ!」


 俺は縮地からの斬撃をヤツの足に浴びせる。

 火魔術の力を得て赤熱化する祈りの剣が、大ヒッポグリフの足を溶断した。

 それも、二本まとめて。


 キュグウウウウウッ!


 堪らずヤツは崩れ落ちて地面に転がる。

 そしてそこに、コークスさんが追撃をかけた。


「さぁ――酒の肴となるがいいーーーーッ!!」


 グシャアアアアァァァッ!


 勇気の大斧を握ったコークスさんの強さは、恐るべきものだ。

 その一撃がヒポポちゃんの首を叩き飛ばし、見事に〆てくれた。

 この威力――俺の全力の縮地斬りや縮地突きより強いのでは……?

 勇気の大斧は素晴らしい性能を発揮しているな。


 さてこれで、戦いの後の料理には困らない。

 ならば、そろそろ戦いを終わらせる方向に動いてもいい。

 つまり、敵の大将であるダルマールを討ち取る事だ。

 ヤツさえ討ち取れば、残りの雑魚オーガなど問題にならない。


「皆! 一気に突っ込んで、ダルマールを討ち取ろう!」

「正面突破――だな」

「ああ! 小細工なんか必要ない! 力でねじ伏せる!」


 真っ向から叩き潰してやるのみだ。

 俺達は自らオーガの大集団に突っ込んでいく。

 残りはまだ、800体はいただろう。

 だがそれが見る見る減って行った。


 カイルの放つ爆裂する矢が、敵を次々吹き飛ばす。

 レントンさんの大剣に斬られたものは、凍り付いて動けなくなる。

 コークスさんは斧を水平にスイングしながら独楽のように回るという回転切りを編み出し、オーガの群れを薙ぎ払っていた。

 レミアと親父も、それぞれの武器でオーガ共をどんどん屠って行く。

 俺自身が勇気の武器を持つカイル、コークスさん、レントンさんの引き立て役に回ろうと思っていたのもあるが、一番多く敵を撃墜しているのはカイル。続いてコークスさんである。


「ぐげぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

「ぐぼあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「ぶぎゃあああぁぁぁぁぁ!?」


 群がるオーガ共をねじ伏せ踏み越え、前へ前へ。奥へ奥へ。

 最早俺達を止められる者はいない。


「もうやだああぁぁぁぁ! お家帰るぅぅぅぅっ!」

「馬鹿! 逃げたらダルマール様にぶっ殺されるぞぉ!」

「このままでもこいつらにやられて死ぬだろおぉぉっ!?」

「うああああぁぁ! どっちでも死ぬじゃねえかぁぁ!」

「そうだ! だったら今死ねばいいんだぁ!」

「何いィィィ!? お前、自分で死ぬのかあぁ!?」

「違う! 死んだフリだあぁぁぁ! これで誤魔化せるうぅっ!」

「お前頭いいなあぁぁ~! よぅし――!」

「死んだフリだあぁぁぁ! ヒャッホー! これで助かるぜえぇぇ!」

「助かるぜえぇぇ! さぁ死ぬぜ死ぬぜ死ぬぜえええぇぇぇ!」


 ……元気な死体だな。

 オーガ共は俺達の目の前で喜び勇んでバタバタ地面に寝転んで行くのだが――

 俺は断じてこう思うのだ。

 やはりゴミは掃除しなければならない!


 ドグウゥゥゥゥン!


「「「ぶげええぇぇあああぁぁぁぁぁっ!?」」」


 俺が何かする前に、オーガ共が爆裂する矢で吹っ飛んだ。


「見苦しいね。反吐が出る」


 カイルは容赦なく、爆裂の矢をどんどん撃ち込んでいく。

 もうオーガ共の士気は崩れ、半壊状態だった。

 そしてとうとう――

 俺達は敵陣の奥深くでヤツを、ダルマールを発見する。


「ぐううううぉぉぉぉっ! てめええらあああぁぁぁぁぁ!」


 怒りの声を上げる奴は、初めから変身済みの金属化状態だった。

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