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贖罪の医師
3年前、センターのオペ室で事件は起こった。
胎盤剥離で緊急オペ。患者に子宮を残してほしいと懇願された池端は胎児も子宮も助けるんだと必死になった。
でも・・。現実は厳しく、助けることが出来たのは母体だけ。
母体だけでも助けることが出来て良かったと僕や佐竹先生は励ました。
慰めているだけじゃなくて、ほとんど本気で言っていた。
・・・・まさか、あのまま産科医を辞めるなんて思いもしなかった。
その後、池端の消息は途絶えた。
でも今、やっとつながった。
池端は今もどこかで医師をしている。そして、産科医としての気持ちもまだある。
僕は、川原を再び産科医にしたいという思いが強くなった。