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中央ウィング2階 産婦人科病棟2
救急からコンサルの依頼が来た。
「黒木、救急対応行くよ」
「ちょっと待ってください、神坂先生。患者、うちの妊婦じゃないらしいじゃないですか。それはダメです。感染も怖いし。うちで受けるわけには・・・」
「でも、もしうちで受けなかったら、この近辺に受けられる病院ある?・・・ないでしょ」
そうこうしているうちに救急車は到着した。
「産婦人科病棟の神坂・・・え」
「・・・・産まれてる・・・?」
なんと、救急隊に運ばれてきた患者はすでに2人だった。
救急車の中で生まれていたのだ。
とりあえず黒木と助産師に患者を任せ、僕は救急隊員に詰め寄った。
「あなたたちが取り上げたんですか?!」
基本的に救急隊員にへその緒の切除は出来ないはず。
「いえ・・・。実はドクターが同乗されていまして。その方が救急車を・・・ってあれ?」
「どうしました?」
「いや・・・。ここまで一緒に乗ってたのに今居なくて・・・」
「・・・・そのドクターの名前は?」
「はっきりとは・・・。あ、でも患者さんが池端先生と呼んでました」
僕の中で、一つの線が繋がった。
「そうですか。ありがとうございました。」