地域病院の奴隷
地域密着って言葉はいいけど、やる側はとてつもない負担を強いられるよね。
医師不足の末の、ほぼ毎日24時間待機。大きな病院でも医師不足なんだから、地域病院ならなおさらで。
3年前からこの病院で働いてるけど、一週間のうちに何日家に帰れているのだろうか。
ついでに言えば、俺は婦人科医だ。なのに担当患者はおじいさんやおばあさんがほとんど、婦人科疾患の女性はほとんどいない。
地域医療ってそういうことだよな。何でも屋ってわけだ。
あー・・・・・。
「・・・池端先生、池端先生?」
「・・・・ん。ああ。」
「おはようございます。またここで寝たんすか」
「・・・はい。おはようございます・・・。てか、敬語やめてくださいよ、坂原先生」
「俺は非常勤医なんで」
ふらーっとロッカーのやってきたのは、非常勤医の坂原涼先生だ。どうやらここでの勤務はアルバイトで本業は他にあるらしく、ここでは残業とかはほぼやらない。それでもいないよりはいてくれる方が100倍マシなわけで・・・・。
「・・・じゃ、俺帰ります・・・」
「はーい、お疲れ様でーす」
年上だけど、なんかちょっとムカつく非常勤医を横目に俺は久々に昼間の外に出た。