044.尋問?
気力ゲージの回復したアローは落ち込んでいるシローは放っておき、各班のリーダーを呼び集めた。シズカの見た夢の話を伝えるためだ。集めたのはアロー自身を含めて6人のリーダー全員だ。
シズカの見た夢の話を人に伝えるのは、シローたち、穴掘り班のメンバー、に次いで3回目だ。3回目ともなるともう慣れたもので、要点を整理して説明することができた。
「そんな話しはもっと早くみんなに話すべきだろう!」
話を聞き終えたタクミは不機嫌そうにそう言い放った。
「僕も一昨日初めて聞いて、昨日話すつもりだったけど、昨日はあの会議があったから切り出せなかった。別にみんなに話すタイミングを遅らせてはいないよ。」
「アユミのせいで遅れたのか。」
「私のせいって何よ!」
タクミとアユミが睨み合いを始めてしまった。そこへモーちゃんが間に入る。
「アユミ、落ち着け。タクミもアユミだけのせいにするのは止めろ。昨日の会議はクラス全員の問題だったということになったはずだ。タクミだって自分に全く非が無いとは思っていないだろう?」
「ちっ、分かったよ。昨日一日は仕方ないとして、シズカがもっと早くみんなに話すべきだっただろ。何で黙っていたんだ?」
タクミは不服そうに舌打ちをしつつもアユミに対する攻撃は止め、今度はシズカについてアローに問いただした。
「それはさっき説明した通り、シズカさん自身も最初は単なる夢だと思っていたからだよ。だけど毎日同じ夢を見ることで不安になって一昨日僕に打ち明けてくれたんだ。」
「信用できないな。シズカが意図的に画していた可能性もある。まだ何か重大なことを隠しているかもしれないな。シズカを呼んで尋問しようぜ。」
「待ってくれタクミ。何度も言うように、シズカさんは隠していたわけではないんだよ。」
「信じられないね。」
「マッサンも何か言ってやってくれ。」
「シズカ様を信じなさい。」
「シズカ「様」?なんだそれ?」
同じ穴掘り班で事情を知っており、シズカを守ろうと約束していたマッサンが、信仰モードに入っていて役に立たないことを悟るとアローは頭を抱えたい気持ちになった。まだアローが想定した最悪のケースである、「シズカのせいで転移した」というところまではいっていないが、シズカに対する不信が積もればそこに至る可能性がでてきてしまう。このままシズカを庇うべきか、下手に庇い立てせずに尋問を受けさせた方がよいか悩んでいると、タクミがとんでもないことを言い出した。
「アローくんやマッサンも騙されているかもしれないな。吐かせるためには拷問だな。」