003.サヤカとシズカ
モーちゃんが去り、僕も誰かと相談しようと振り向くと、そこにはシズカとサヤカが待っていた。
「ありがとうアローくん。さっきのモーちゃんは目がちょっと怖かったから、助かったよ。」
シズカは僕とモーちゃんの一連のやり取りを見て、僕にお礼を言ってきた。シズカはモーちゃんが暴走してしまうほどの大きな胸だけでなく、顔立ちもはっきりとした美人であり、スラリとした長い足や腰の括れなど全身全てが美しい曲線を描いており、男性からの人気が非常に高い女性だ。僕から見ても魅力的な女性であり、モーちゃんの暴走も無理もないと思っていた。
一方サヤカは小柄で常に愛くるしい笑顔を周囲に振り撒き、誰に対しても裏表なく接することから、男女共に人気が高い女性だ。白はサヤカの爽やかなイメージ通りだ、などと考えていた。
シズカとサヤカの二人は普段からとても仲が良い。もう一人、チナツ(真久保千夏、マクボチナツ)を含めた3人でいつも一緒に行動している。チナツもアローの好みではないが二人に負けない美人であり、この三人はクラスどころか学校内でも目立つとても華やかな存在だった。
普段はこの二人と話す機会なんて普段はほとんど無かった。僕は女性との会話に苦手意識を持っていた。別に女性と会話できない訳ではないが、自分から話しかけることができなかった。それは自分が男ばかりの兄弟の中で育ち、近所にも同年代の女性がいなかったことで、幼少期に同年代の女性との接点が無かったせいだと考えていた。実際には同じ様な境遇の者は幾らでもいるのであり、僕が女性を意識し過ぎているだけなのだろうが。
そんな僕も、女性の方から話し掛けてくれたのであれば問題なく会話することができる。冷静さを心がけながら二人に話した。
「モーちゃんのことは、モーちゃんのためにやったことだから、気にしないで。そして忘れてあげて欲しい。」
あの時のモーちゃんの気持ちが何故か手に取るように理解できた。そして、同情していた。だからモーちゃんのフォローを試みた。
「うん。こんな状況なのだもの可笑しくもなるよね。気にしてないよ。」
シズカはもう気にしていないようだ。シズカが男性から性的な視線を向けられることに慣れていることもあるのだろう。
「こんな状況だし、パンツ見られることだってあるよね。気にしてないよ。」
サヤカの言葉に僕は激しく動揺した。
サヤカさんは気にしている、これは絶対に気にしているぞ、どうしよう、そうだここはとにかく話題を変えよう。
「本当にこの状況は何だろうね。テレポート、ワープ、タイムスリップ、何にせよ信じられないことが起きたみたいだね。」
「そうだね。アローくんは落着いていそうに見えたけど、アローくんも何が起きたか分からないの?」
サヤカがパンツの話題を流してくれたことに安堵した。
その後、お互いに今の状況について話しあっていると、後ろの方で騒ぎが起こった。
爺「姫様、彼らの言葉は我々の言葉とは違うようですな。」
姫「・・・そうね。」
爺「これでは何を話しているか分かりませんな。」
姫「・・・そうね。」