001.転移
初投稿です。
若干修正しました。内容は変更ありません。2017/2/16
突然の浮遊感に襲われた。
僕(加持山吾呂、かじやまあろ)は日本の高校に通う高校生だ。昼食後の授業では睡魔との闘いに競り勝ったのだが、授業が終わり休み時間に入ると疲れ果てて机に突っ伏した。本格的に寝るつもりはなかい。休み時間はガッツリ寝るほど長くはないのだ。ただ、机と向き合い腕で顔を覆うことで外界から遮断された自分一人の世界に入りたかったのだ。
机に突っ伏していたので、体重のほとんどを机に預けていた。そこで突然、机と椅子が無くなった。突然の浮遊感に見舞われたが、咄嗟に腕を伸ばして顔を床に打ち付けずに済んだ。十分に良い反応だったといえるだろう。この状況では床に這いつくばってしまうのは仕方ないことだったと思う。
その結果、床に倒れこむかたちとなった。先ほどまで身体を預けていた机も椅子も何処かに消えていた。突然の出来事に驚き、床に倒れたまま辺りを見回した。すると目に飛び込んできたのは白い物体だった。僕はそれに目を奪われてしまった。
「いったーい。」
視線の先には、そう言いながら倒れていた上体を起こすサヤカ(春川さやか、はるかわさやか)がいた。クラスメートであるサヤカも、先ほどまで椅子に座っていたのだろう。そして僕と同じタイミングで突然椅子が無くなり、お尻を床に打ちつけたのだった。身体は後ろに倒れこんだが、頭は打たずに済んでいた。サヤカは上体を起こすと直ぐに視線を感じ、サッとスカートを整えた。そして、僕を見た。
僕は咄嗟に視線を床に落とした。そこには見慣れぬ床があった。明らかに教室の物とは異なる、黒っぽいレンガの様な物が敷き詰められた床だ。僕は見慣れぬ床を突然コツコツと拳で叩き、床の強度を確認し始めた。しかしそんな誤魔化しは通用しなかった。サヤカは立ち上がると僕に近付いてきたのだった。
「アローくん。女の子のスカートの中は覗き込んじゃ駄目なんだよ。」
優しく諭すような声だった。サヤカの言葉に僕は焦った。完全に見ていたことがばれている。床に這いつくばっていたため、覗き込んだと言われても仕方のない体勢だった。咄嗟に視線を外したけど遅かったようだ。とにかく弁明しなくては。いや、見ていたことは事実であり、もうばれているのだ。ここは素直に謝ろう。
「ごめんっ!!見ました。でも故意ではないんだ。突然机と椅子が無くなって、倒れこんだせいで、その、見えちゃったんだよ。」
慌てて釈明すると、サヤカは優しく微笑みながら応えた。
「ふふっ。分かっているわ。私も椅子が無くなってお尻から落ちちゃったのだもの。でも、こんな状況なのに周りも気にせず凝視していたから面白くなっちゃった。」
「凝視」という言葉に動揺した。僕としても見ていたという自覚はある。しかし、「凝視」していたというのはあまりに聞こえが悪い。
「「凝視」じゃなくて、チラッと。チラッと見えちゃっただけなんだよ。」
「うん。見えちゃっただけだよね。私は怒っている訳ではないの。見て、みんな大混乱だよ。当然だよね。教室に居たはずが突然違うところになったのだから。それなのにアローくんは「そっち」が気になるのかって思ったら面白くって。」
サヤカに言われて改めて周りを見渡した。そこにはサヤカが言う通りの大混乱が起きていた。
姫「やったわ!!爺、召喚成功よ!!」
爺「おめでとうございます、姫様。」