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心想 2

都立海東高等学校の図書室は校舎1階の右奥にあった。エアコンの設備がないため、夏場は風が重要な役割を担っていて、このためほとんどの生徒は冷房の効いた近くの区営図書館か、自宅で勉強していた。


だが、海東の図書室は約80畳ほどの広さに、白で統一された室内は本の収容と配置がとても考えられており、どのLUCKにどんな種類の本があるかすぐにわかるようになっていた。だから2、3回足を運べば誰にでもすぐ目的の本が見つかり、大きめの机で座席数も50ほどのとても落ち着いた雰囲気だった。


ユキチたちの考えはグループでやったほうが効率が良く、疑問もその場で解決するからである。さらに得意な教科に専念することによって、それぞれが集中して取り組み、仲間へのフィードバックも容易である。加えていつでも集まれるこの空間は彼らにとって、夏場は少しキツイものの、精神面でのメリットは大きかった。


そんなおり、大介たちは明日のテストに備えてラストスパートに入っていた。

ユキチが口火を切る。

「おい、実。高校になると数学は因数分解だけでも複雑になるんだな」

「一見複雑そうに見えるけど公式さえ抑えておけばなんてことはないんだ。見ために惑わされないことだ」とみんなの表情を伺うと、大介は途方にくれた顔で、

「あと2次方程式や2次関数なんかも厄介だ」と弱音が漏れる。

「一歩一歩着実に進むことが大切だ。わからないところがあったらその都度言ってくれ。そうしないとドツボにハマるぜ」

「本当に分数や計算が組み合わされると頭がこんがらがってくる」

「しょうがねえな、大介。試験範囲の基本を今から教えるからみんな耳を貸してくれ」

「実、ありがてえ」とユキチが嬉しそうな笑顔になり、そのあと講義が1時間ぐらい続いたところで休憩になった。


「明日はあと世界史だったよな」と実が言えば、ユカが私の出番と言いたげな顔で、

「私に任せて」と教科書を広げた。すると謙二が、

「俺は日本史は書いて覚えるけど、みんな世界史はどうしてる」

「あたいはあまり漢字がないから何度も繰り返して暗記する」とのユキチの言葉にユカは、

「ただ暗記するより、連想して覚えると頭の中から引き出しやすくなるよ」

「そんなこと言ったって連奏するキーワードを作るのだって面倒じゃないか」という謙二にユカは、

「そんなのすぐできるわよ、たとえば『イクイクベルバラ』みたいにすれば、1919年ヴェルサイユ条約とスグに思い浮かべられるじゃない。何度も1919年ヴェルサイユ条約なんて暗記するのはナンセンスだわ。みんなでキーワードを考えれば効率も上がるからね」

「なるほど」と、みんなの声が揃った。

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