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波動 2

実は大介にそう説明してからMacを操作した。するとアコースティックピアノのイントロが流れ出し、ベース、エレキギター、そしてドラムが始動する。その後ボーカルのメロディーラインが加わり、ご機嫌なロックンロール・ショーが展開された。演奏が 終わると実は、


「次はボーカルのメロディーラインの入ってないものを流すから、各楽器のパートごとの音をしっかり聴き分けてもらいたい。何か質問のある奴はいるかな?」と言うとすぐに大介が、

「エレキギターで録音されているけど、本番はどうするんだい」

それを受けて実は、


「いや、俺のシンセサイザーじゃアコギの音源がないんだ。その件は後でみんなと話し合おう。それじゃ、次はメロディーラインのないほうだ」と合図して音楽をスタートさせた。


その後ずーっと目をつぶりながら集中して聴いていた大介が演奏が終わると、

「やはりロックンロールはエレキのほうがサマになるよな。でも路上ライブだったらどうだろう。音が大きくてすぐに警官がくるんじゃないか」

その発言を聞いてユキチが、


「難しい問題だな。印象が良くても演奏できないんじゃ意味がない。いっそのこと実と大介と謙二の男3人で演奏したほうがいいと思うんだ。いつもあたいが前面に出るよりか、よっぽど良くねえか」


そこで何度も相槌を打っていた実が、

「ユキチの意見はよくわかった。他に意見のある奴はいるか」

ユカが沈黙を破って、

「ストリートライブ用のアンプっていくらぐらいなの。わかる奴いる?」


その質問に応えて大介が、

「ピンキリだけどそうだな、5千円から3万円ぐらいが相場かな」

「痛いな。私が食べる物を我慢して貯めても、3万円なんて半年かかるわ」


「俺も欲しいけど、バイトしなくちゃ。すぐには無理だよ。レンタルも馬鹿らしいじゃん」

すると謙二が、

「俺の友達から借りてやろうか。2台は無理だけど1台ぐらいならなんとかなると思う」


それを聞いて俄然元気になったユカが、

「本当謙二、それ助かる。うまくいったらカツ丼の一杯ぐらい私がおごるから」

すると謙二は、

「おおおー、本当か。それを最初に言ってくれたら問題にならなかったのにな」


二人の会話を呆れて聞いてた実は、

「食べ物が人を動かす原動力なるなんて初めて見たぜ」

すかさず謙二は、

「あったぼうよ、色気より食い気ってよく言うだろ」


「単純でいいな謙二は。俺もお前みたいな性格になりたかったな。よしアンプが1台あれば色々な演奏パターンができるからよく考えよう」と実が語気を強める。

その会話の途切れた瞬間に大介は、

「『デッド・エンド』に関してはみんなでやりたいな。俺はアコギを弾くから」

「よし、その線でいこう。でも大介、歌は大丈夫なのか」と確かる実。


「そこが問題だ。早く歌詞を仕上げてユキチにトレーニングしてもらわねえと」

すると「高いぜ」とユキチ。それにだいすけは、

「キス10回分の回数券でどうだ」

「アホ、誰がそんな物で手を打つか。つけめんのTETSUに10回連れて行け」

「それより六厘舎3回、青葉3回、TETSU4回の豚骨魚介系3名店のほうが良くねえか」


「大介、それで手を打つぜ」

「う〜ん、ちょと高いがユキチと食事ができればそれも悪くないか」

「本当か大介、愛してる!」


その会話を聞いて白けていた実が、

「お前ら黙って聞いてりゃいい気になって」と般若のような形相に、そのあまりにも怖い顔を見て2人は、

「以後気をつけます」とうつむいたまま暫くじっとしていた。


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