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龍が飛翔した世界  作者: 寺小柚琉
第一章:少年の名
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『デルマックス・カタストリア』

(熱い……体が焼けそうだ)

体のいたる箇所に激痛。

溶けてしまいそうな熱。

しかし、それよりも、体内から溢れ出てくる力を、彼は感じていた。

『汝を我が義弟とし、この力を授けよう』

と、フロウが言葉を止め、目を開いた。

「デルマックス……龍の刺青か……」

フロウが呟き、顎に指を当てる。

「あの……フロウさん」

「……ん? ああ、なに?」

どうやら真剣に考え事をしていたらしい。

「属性とか、刺青って、なんのことです?」

それは、フロウの祝詞の中で聞こえた単語。

属性、なら何となくわかるが、刺青の意味がまだわからない。

「属性は、自分の武器に特定の力を付与できるんだ。僕の場合は水」

フロウが地面に刺さった剣を一本抜きとり、構える。

すると、刀身が水に包まれた。

剣先から柄へ流れている。

「属性は四種類。火、水、風、土があるんだ。でも、君の業火は……火、なのかな?」

フロウが苦い顔になる。

フロウも聞いたことがない属性なのだろう。

「次に、刺青。これは、個々に備わった、能力」

フロウが一拍おく。

『右手に宿りし虎の刺青よ。

 今、我にその力を分け与え給え!』

フロウが言い終わると同時に、彼に異変があった。

「フロウさん……手が……!」

手が、虎のそれに変化していた。

しかし、当の本人は涼しい顔で、

「これが、刺青の力だよ」

と言った。

「体を変化させるもの、相手の能力を探るもの。中には地に潜れるってのもあるんだ」

「僕のは……?」

「デルマックス君……長いから略すね。マックス君のは多分……」

フロウが再び考え込む。

たっぷり時間を置いて、彼が出した結論は、

「わかんない! 使ってみよ!」

だった。

もちろん、少年……マックスは、使い方など知るはずもない。

「えっ!? どうやってですか?」

案の定、とても困っていた。

「だーいじょーぶ! 使い方ならその刺青が教えてくれるさ!」

「そんな適当な……!」

しかし、マックスはその否定を止めた。

なぜなら、頭の中に、一つのフレーズが流れてきたからだ。

マックスはその言葉を、静かに反復する。


『背に宿りし、龍の刺青よ。

 今、我に空を統べる、絶対的な力を』


背中が、熱くなる。

しかし……。

「あれ?」

変化は、無い。

「な、なんで……!」

マックスが慌てる。

「うーん……なんだろうね。ちょっと走ってみて」

フロウの言うがまま、マックスは軽く走ってみる。

が、いつもと同じだ。

「なんでなんだ?」

マックスはその場で止まって、少し跳ねてみた。

連続でジャンプするつもりだったので、マックスは足に力を……

「!!??」

しかし、なぜか地面に足がつかない。

変わりにあるのは、フワッとした浮遊感。

「飛ん……でる?」

「これが……『龍の刺青』……?」

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