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居場所  作者: 火木に糸
2/3

 ものがたりのはじまり、のおわり


タッタッタッタッ

誰もいない廊下に自分の足音だけが響く。


はぁっはぁっ・・・

手すりを握る手に力を入れる。


あぁ、いいところだったのに・・・。


推理小説の謎解き場面は、僕を遅刻させるのに十分な理由となった。



新校舎に渡るには、一度1階まで降り無くてはならない。

故に旧校舎の3階から新校舎の2階までの移動は、なかなかの運動になる。

図書室、家庭科室、その他特別な教室は旧校舎の2,3階にあり、1階には3年生。

新校舎の1,2階にそれぞれ1,2年生の教室が割り当てられている。

何故こんな配置にしたのか。そのカギを知る人物はカギられている・・・。


校長を恨みながら、階段の目の前にある2年1組を通り過ぎる。

あと、ちょっと・・・。


2組、3組・・・廊下を走る僕に、みんなの冷たい視線が突き刺さる。

そして校舎突き当りにある4組にたどり着く。


少しでも音をたてないようにして・・・ガラッ

「遅れてすいません、トイレに行っていました。」

できるだけ教室のみんなの方を見ないようにして謝る。


「トイレかーならしゃーないな、さっさと席つけー」

理科の田中。冗談が通じて面倒見のある、生徒に人気の先生だ。


「はい、すいません。」

また謝る。

トイレにいたのは事実だ。嘘は言っていない。


廊下側先頭の席に座る。

多少目立つが、移動距離が少ないのがこの席のいいところだ。


「またトイレかよ、これで今月何度目だよ・・・」コソコソ


後ろから声が聞こえ・・・無視無視。

気持ちを切り替え、教科書を広げる。

別に授業を真面目に受けるわけではない。


さっきまで読んでいた小説を思い返す・・・。

(たしか推理の途中で犯人が山田に襲いかかってきたところまで読んだな・・・。

でも大丈夫だっ!

山田は剣道、柔道、空手、水泳、そろばん、合わせて20段の持ち主だ。簡単に負けるはずがない。)


「・・・となるので、この運動は、X軸方向に等速度運動、Y軸下向きを正に等加速度運動をしていると考ることができますね?したがって・・・」田中の解説が加わる。


(そろばんを冗談として言っているのは分かるが、水泳に段なんてあるのか?

どうせ山田のことだ、また適当なことを言っているに違いない。)


「・・・よってこの式から衝突時間tが求まりますね?それを先ほどの式に代入してやるとX軸方向の移動距離は・・・」田中の横槍が入る。


(それにしても犯人は凶器をどこに隠したんだ?山田は気づいているのだろうか。それさえわかればあとは・・・)


「はい!今日はここまで!日直さん、号令お願いします。」

そういって山田・・・じゃない、田中がチョークを置く。


(続きは帰ってから読むか。)

授業後の挨拶もほどほどに、僕は帰りのHRホームルームの準備を始めた。

次回から話が盛り上がっていきます。

盛り上がっていくはずです・・・。


盛り上げます!

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