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居場所  作者: 火木に糸
1/3

Prologue ものがたりのはじまり

完全な初心者です。

拙い文章ではありますが少しでも楽しんでいただけると幸いです。


「昨日のバンブーマンZゼット見たー?」

「あぁやっぱりソーズが黒幕だったな。予想通りだわ!」ゲラゲラ


(・・・うるさい)


「・・・と田島君付き合ってるらしいよー?」コソコソ

「えーそれマジー?」コソコソ


(・・・うるさい)


「来週楽しみだなっ!」

「久々だよねみんな集まれるの!楽しみー!」キャッキャッ


(ぁぁあああもう!うるさあいい!)


対面で喋っている女子2人を軽く睨むが華麗にスルーされる。

自分の中ではキマっていたのだが・・・まぁ仕方ない。


 今日も、K田町立K田中学校の図書室は盛り上がっていた。・・・いつものことだ。

昨日のアニメの話をする男子、他人の噂をする女子、遊びの計画を楽しそうに語る男女数名のグループ、etc(エトセトラ)


・・・はぁ。

読んでいた「助教授山田の事件簿」(講堂社出版)を閉じる。

(こんな雰囲気じゃ盛り上がらないな・・・トイレで読むか。)・・・これもいつものことだ。


 座っていた椅子を丁寧にしまい、立ち上がる。

去り際に、バンブーマンの話をしていた男子二人をチラッと見る。

(ソーズには事情があったんだよ!原作読んで出なおしてきな!!)

もちろん声には出さない。

そのうちの一人と目が合い、慌てて目を背ける。


(なんでこんなに人がいるんだよ・・・)

もちろん理由はわかっていた。

今年から図書室にクーラーが設置されたのである。

夏休みまで残り1週間に迫った今日。

こんな暑い日に人が押し寄せないわけがない。



 1ヶ月ほど前までは、図書室には人がほとんどおらず、静かでとても快適な空間であった。

毎日休憩時間の読書を目当てに学校に行っていたようなものだ。

クーラーが設置されると聞いて、

「さらに快適に読書できるなんて・・・神は我を見捨てなかった!!」と喜んだ。

 実際は読書ができるような空間ではなくなり、先客であった僕はトイレに追いやられたわけだが・・・。

そのせいで最近司書さんと話してない。

 司書さんは白髪のおばあちゃんで、他にやることがないのかよく話しかけられた。

おすすめの本を教えてもらったり、貸出制限以上の量の本を

「ちょっとおまけね」

と貸してくれたりした。

お陰で去年の年間の図書貸出件数は、2位に130冊の大差をつけ圧倒的1位であった!

 だからかどうか分からないが、クラスでは「友達のいない変な奴」というイメージがついてしまった。

しかし、それは違う!

本当は「友達の少ない・・・変な奴」である。


 そんなことを考えているうちにトイレに着く。

この3階の東トイレは、全校舎の中で一番風通しがよい。

教室や図書室があるのは校舎西側の1,2階であるから人もまずこない。

読書してください!!と言わんばかりの絶好の場所スペシャルプレイスである。

とはいえもう夏休み目前、流石に暑い。

頬を伝う汗を拭きながら静かなトイレで読書。

これもまた、いとをかし。・・・なんてね!


少し笑みを浮かべながら「助教授山田の事件簿」179ページを開くと、既に山田の推理が始まっていた。

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