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「どう……?」
夕食を作ると、席に着く。
人にふるまうのなんて、お父さん以外したことないから緊張する……。
「……」
お兄ちゃんは無言で料理を食べ進める。あれ、もしかして何も言わずに完食するつもりなんじゃ……。
「………………ごちそうさま」
案の定だ。お兄ちゃんは終始一言も話さなかった。せめて「おいしい」とかなんとか言ったらどうなんだ、むかつく。
「お口に合いませんでしたか、そうですか。もういいよ、私二度と作らないから」
私がフンッと顔を背けて言えば、お兄ちゃんは慌てて
「ああ、いや、そういうわけじゃないよ。ただ、僕が作ったものよりもおいしくてびっくりしてただけ」
さっきの態度を見ているから言い訳にしか聞こえないけれど……。まあ、今日のところは引くとしましょう。
「はいはい。じゃあ、私部屋行くから。早くお風呂入ってよね」
そう言い残して部屋に行くと、ベッドに倒れこむ。
「………なーにが、僕が作ったものよりもおいしくてびっくりした、だ。絶対お兄ちゃんが作ったもののほうがおいしいじゃん」
まあ、食べたことはないけれど、あの完璧超人のことだ、ミシュラン並みに美味しいに違いない。
そんなことを考えていれば、いつの間にか眠気が襲ってきて、いつの間にか眠りについていた。
……なんだろうこの状況は。
「お兄ちゃん、起きて」
私の完璧超人な義兄が隣で寝ている。まだ寝ぼけているのかな、と思い頬をつねってみるが、痛い。洗濯ばさみで挟んだ時くらい痛かった。
そもそも、どうしてお兄ちゃんが私の部屋に侵入してるの?お兄ちゃんにも部屋はある。おかしい、なんでだ。
「……おはよぉ、陽向」
いつの間にかお兄ちゃんは起きたらしく、挨拶をしてくる。
何だこの美形は!目の保養どころじゃない、失明する!
内心のざわめきを隠しつつ、「おはよう」と返した。
いや、本当になんで?部屋一緒じゃないよね?私の部屋だよね?
「あ、なんで僕がここにいるのかって……?いつの間にかここで寝てたんだよぉ」
どうやら寝ぼけているらしく、少し舌っ足らずな口調でいうお兄ちゃん。そのくせ私の考えていたことを当て、それに対する答えを言ってくる。
いやいやいや、「いつの間にかここで寝てた」じゃないでしょ!仮にも乙女の部屋なんですけど!?何なの、危なすぎる。こんなことがまたあったりしたら、私絶叫するって……。今は驚きすぎて声も出なかったけど、次あったらもう声出るって……。
「お兄ちゃん、私の部屋で寝ちゃだめ。ちゃんと自分の部屋で寝て!そうじゃなきゃ朝起こしてあげないからね!」
そういうとやっと目が覚めたらしいお兄ちゃんは慌てたように
「えっ、ちょっと待って陽向……!」
とかなんとか言っていたけど、私は聞こえないふりをして部屋を出た。人の部屋に勝手に侵入する完璧超人お兄ちゃんのことなんて、もう知らないんだから!
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