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私は佐久間陽向。今日から高1になる。母は私が十歳の時に交通事故で亡くなった。
だから今は父親と二人暮らしをしている……はずなんだけど。
どうして玄関に女性ものの靴があるんだろう?
慌ててリビングに行ってみると、そこには父と見知らぬ美人な女性がいた。
「は??」
驚きのあまり思わず声を発してしまう。するとこちらに気づいたらしい父が
「陽向、お帰り」
といった。
いやいや、何がお帰りだよ。そんなことよりも……気になる。この女性はいったい誰?
「あ、うん。ところでお父さん、この人は?」
「ああ、言っていなかったな。丁度いい。この人はな、父さんが再婚を考えている人なんだ」
……は???
「はあああああああああっっっっ!?!?」
私は驚きのあまり、絶叫した。
「えっと、何言っているのかわからないんだけど。再婚って……。お母さんのこと捨てるってこと?」
しばらくして落ち着いてきた私は、さっそく父を追求した。
「捨てるわけじゃない。勿論、母さんのことも愛していた。でも、今はこの人のことを愛しているんだ」
意味が分からない……。お母さんのことはもう好きじゃないってことでしょ?捨てるってことでしょ?私だったらそんなことありえない。再婚なんて…!
「今はまだ、受け入れられないかもしれない。でも、ゆっくり考えてほしいんだ」
……お父さんは、いつもそうだ。
お母さんに迷惑をかけることだって少なくなかった。
いつもいつも、勝手すぎる。
「……わかった」
でも、そんなことを言えばお父さんが傷つくのはわかっている。ここで、頷くのが大人だってことも。
今は、我慢しなくちゃだよね。
一晩一人でじっくりと考えてみたけれど……。やっぱり、受け入れられない。だけど、いずれはゆっくりと、歩み寄ってみても良いのかもしれない。
そのことをお父さんに伝えてみると、
「本当か!じゃあ、明日からこっちに住んでもらおうと思う」
と、飛び上がって喜んだ。
……いや、だからさ。
「お父さん勝手すぎるよ!!」
思わず声に出してしまった。
いつか愛想つかされても知らないんだから!
バタバタして過ごしているうちにあっという間に翌日がやってきた。
今日、義母の真理さんが来るそうだ。
ピンポーン
あ、きた……?
「こんにちは~」
「どうぞどうぞ、入って」
ついに、今日から新しい家族になるんだ……。
「ええっと、今日からよろしくお願いします?」
なんて言ったらいいのかわからなくて、とりあえず無難な言葉を選んでおく。
「ああ、そんなにかしこまらないで。陽向ちゃんって呼ばせてもらうね」
優しそうな人だった。この人なら、お父さんと相性がいいのかもしれない。
「ああそうだ、真理には息子がいるんだったな。確か、陽向の一つ年上だったか」
「ええ」
「……はああああああ???????????」
真理さんはそんなことないかなーって思っていたのに、二人とも…。勝手すぎるってば!




