私は701歳
ときは30世紀。
人はほとんどが、
「不老不死」
の、
「レプリカント」
となっていた。
木星第二衛星エウロパは不老不死のレプリカントの星だった。
だから逆に戦争は悲惨だった。
レプリカントはなかなか死なない。
だから戦争は長引く。
そして、死ぬときは生身以上に悲惨だった。
なにせ、大怪我をしても死ねない。
しかし、大怪我だから動けない。
だから、助けがない限りそこから動けない。
レプリカントの体はいいが、脳が持たない。
ゆっくりゆっくり「脳」が衰退していく。
その「恐怖」は底知れないものがあった。
生身の人間に憧れていた人はまだいい。
「不老不死」に何の疑問も持たなかった人にとっては最悪だった。
ノボルは自分に死が近づいているのがわかった。
第11連隊に配属されたノボルは激戦を耐え抜いていた。
しかし今や、両手両足を失い、全く動けなかった。
「このまま死ぬのか・・」
「せめて自分のルーツを知りたかった・・」
エウロパでは、ルーツを知ることは禁じられていた。
ルーツを知れば生身の人間に戻りたくなり、
そういう人が増えれば、
今のレプリカントだけの世界の秩序が保たれなくなるからだった。
「大丈夫ですか?」
薄れつつ意識に声は聞こえた。
ヒミコだった。
ヒミコは従軍看護師だった。
ノボルを修理工場に運んだ。
復活したノボルは再び戦場に戻った。
みんなそうだった。
だから、戦力、特に戦闘員の数は余り減らなかった。
そして、これもレプリカントの戦争を長引かせている原因だった。
未来は平和。
それは、
「永遠の夢」
なのだろうか?