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6.終戦と戦後

 結局、『世界大戦』は、明確な勝者も敗者もないまま沙汰止みとなった。

 経済的損失、人的損失、戦意喪失等――参戦国のいずれもが、それ以上の継続に困難をきたして、いわば自然消滅したのである。

 じっさい、これまでの歴史を通じて未曾有の出来事であった『世界大戦』は、どの国の誰もが経験したことのない大きな傷をあとに残していった。

 死傷者の数、破壊の規模――そのいずれもが過去の戦争と比較の段ではなかったことは言うに及ばず、およそローレンシア大陸西部域に住まう者すべてが、その戦争と無縁でいられなかったというのがもっとも異質な点だった。

 それまでの戦争と異なり、『世界大戦』には安全な『後方』が存在しなかった。

 前線で直接的に敵と相対し、殺戮し、破壊し、或いは殺戮され、破壊される兵士たちはもとより、非戦闘員たちにも時に殺戮と破壊の鯨波(げいは)はおよび、そこまではいかなくとも、飢えや貧困、治安の悪化、働き手の不足等に苦しめられることからは逃れられなかった。

 規模や程度の差こそあれ、『世界大戦』がはじまるまでの『平和』な暮らしは失われ、それは『世界』のどこにあっても同じだったのだ。

 そして、

『世界大戦』がもたらした惨禍に『世界』じゅうが疲弊しきって、誰言うでなく、『打ち方ヤメ』となっても、当然、それで国土や市民、人心が負った傷がご破算となろう筈もなく、あとには虚無と、怨恨、復興までの長く苦しい努力の日々が残されることとなったのだった。

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