表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/64

2.『上代』のおわり

 情勢が変化のきざしを見せはじめたのは、『ヒト』族が、己が手でつくりだした『技術』のちからで、徐々にその勢力を強めだした頃からであったろう。

 一般に、被捕食動物は捕食動物にくらべ多産である。

 進化上の摂理と言うべきだろうか――種が絶えないための一助としてか、被捕食者と捕食者の数的関係は、誰定めたかそうなっている。

 この例外が『ヒト』族だった。

 生来『魔法』をその身に宿さぬ『ヒト』族は、『人間』種族は言うにおよばず、生物としては『弱者』に区分される存在であり、事実、『技術』のちからを手にするまでは、その種族的命脈ははなはだ危ういものだった。

『妖精』族と較べて短命でもあり、したがって、『ヒト』族は多産の傾向があったのだ。

 その『ヒト』族が、『魔法』に拮抗しうるちからを手にした。

 結果、地に横行していた『獣』は狩られ、『魔』なるモノは封じられて、そのぶん『ヒト』族の版図は拡がっていった。

 問題は、ちからを手にした『ヒト』族が、『強者』として振る舞うことが可能となったにもかかわらず、生物的には『弱者』のまま――多産動物のままな事だった。

 多産な捕食者――数の多い収奪者。

 こうした存在が、『世界』――そして、そこに住まう他の生き物たちに負担にならない筈がないからだ。

 やがて、ローレンシア大陸西部域のあちらこちらに散らばっていた『ヒト』族版図の数々が、たがいに境界を接し、領域全土をおおってしまうまでになると、『世界』は新たな(ステ)(ージ)に移ることとなる。

『ヒト』(族)の世――『現代』のはじまりである。

 戦争の時代――そう換言しても良いかも知れない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ