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終末魔術文明のグゼ  作者: 黒幕スライム(作者名に意味はない)
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潜入密談


さて……この世界の基本事項の確認はこれで終わりにしよう。


其れでは本題の博士との会話を成り立たせることについて考えていこうか。


先ずそれを解決するには博士の言ったことを解析する必要がある。変に決めつけて警戒されると面倒だからな。私が保有するこのマリー世界についての情報は極めて少ない。多ければこんな風にたかが会話如きで困ることはなかったのだろうな。

そしてその会話において博士が喋った内容で最も気になる点は勿論!

"SI"という言葉についてだ。文法的にSIの方と言っていたので誰かを指す言葉若しくは……分からない。だが名前であることは多分確定なのではないかな。博士の言い方を鑑みるに誰かを指し恐らくは私をそう認識している筈だ。


もしも……いや私の考察が間違っている場合は十全にあり得る。

だが天秤が傾く方に縋ったら良い結果になるのでは。なら前提を固定して考察を進めていこうか。

前提は一応自分でも確認しておくが"SI"が私に向けられ博士から私に対する認識であるというものだ。


……そうだとすると私は博士にとってSIなる人物である。つまり……?

うーん。何も分からぬ。


後が続かない。

まぁ確証がない話なら出来るのだが其れは考察ではなく妄想の類。そんな可能性は切り捨てて試算には含ませない。迷走して怖ろしい回答をしてしまうかも知れないだろう。


だから場当たり的に話す。


……曖昧に誤魔化した方が良いかな。それとも全てを明かした方が良いのかな。

両方採用しよう。

正体は曖昧に目的は明確に。


執行書とかは無視。……無いと言ったほうがいいか。



「お見逸れしました。かの高名なラインラートルでしたか。それと執行書は持ち合わせていません。ですが一刻も早く培養槽を開封しなければならない事情があるのです。ご開封願えますかな?」


口調を少し厳し目にしてみたがこんな小手先の仕掛けではどうにもならないだろう。其れにさっき執行書の件で依頼を断られたのであるし開封してくれるとは到底思えない。其れでも情報が欲しい。

其れに情報を集めていけばこの記憶世界でなら時間、もとい進行度を巻き戻せる。本の少しの間だけ。具体的には私の体感一日丁度だ。

実は服を作るときに時間を消費し過ぎたのでその時不思議なことに偶然「あー。時間戻らないかな」と口に出すと私の記憶はそのままに私の服が無くなっていたのだ!

再度作り直し同じ物を作ったけどな。



何故巻き戻せる時間が私の体感一日か分かったと思う?


私1)えー!何で?


私2)其れはねー!


というふうに

…………何故私の体感一日が巻き戻せる時間か分かったと聞かれたなら私はこう答えるだろう。


(勘です!!〈之以上に無いレベルのニヤケ顔をして宣う〉)


そうさっき私は嘘をついたのだ。

意味はある。

基本的に今私が存在している記憶世界では私はゲームプレイヤーのように用意された世界を探索しているに過ぎない。だからこそ記憶世界について私が知らないことがあった場合其れを逐一確認し利用法方を思案して置いた方が良い。

便利な機能があると後々知ると嫌な気分になるからだ。私が。もしそんな機能があるなら時間を巻き戻した時のように巻き戻る時間を指定できるのでは無いかと思ったからだ。

……時間を巻き戻せるのは本当だ。嘘をつくことになってしまったのは巻き戻る時間だけだ。思う通りには行かなかった。

此れまた幾つか実験したのだがどれだけの時間を過ごしても戻る時間位置は同じだった。


つまり私がこの記憶世界にログインした時に戻るしか出来ないと言うことだ。何でなのかは不明だ。別に時間を巻き戻せる時点でとても有り難いので特に構わないから良いんだけどね。


もう話すことがないな……考えるのは止めにするか。


「ふむ……そうですか。失敬。貴方はSIでは無いのですかね。執行書が無い……はぁ。ならば私がさっき話したことについて聞かれていたのですよね?」


…………………………あう〜。バレたか。

もう正直に話そう。少しだけ。


「そうですね。私はSIではないです。勿論あなた達の先程の様子についても知っています」


何か私って計画とか立てても悉く破綻しそうな雰囲気というか気質がある気がする。


「ならば私達の計画に協力して下さい。そうすれば培養槽も開封しましょう」


……どうしたものか。

まともな情報も無いので有利な条件を提示されると知ったか振りして従うしかないでは無いか。私達か……


「ええ、勿論その願い聞き入れましょう」


言ってしまった!

特に何も考えずに協力関係を結んでしまった!

どうしよう!


「其れでは……ほぅ?」


博士が驚いている。分かりやすいくらいに眉を顰めて。次第にその表情は困惑から焦燥へ変わっていった。其れは些細な変化だ。私にははっきりと感じ取れるがな。マリーとして過ごした時間は多分……結構長い。実際にその時間を記述出来はしないがかなり長いということだけは絶対に言える。単純な情報量が格別だ。その分博士を観察し続けていた訳だし自分で作った名無しのの感情の機微を悟るよりも容易なことだ。

……いざ周りに名無しのとかカミーアさんがいないと寂しいな。全部私のせいなんだから我慢しないといけないけど。





えー…………事から導き出せる回答は……博士の想定外のことが起きているというものなのだ!




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