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終末魔術文明のグゼ  作者: 黒幕スライム(作者名に意味はない)
異なる世界 異なる法則
24/41

あんまり治らぬ風邪


ぐすん、ズズゥ


息がし辛くて夜に起きてしまった。喉がつっかえる感じで。それに鼻がムズムズして痒かったので鼻を擦った。

そうして私が手で鼻を擦るとその手に冷たい感触がした。


「なにこれ?」


擦った手を見ると透明な液体、恐らくは自身の体液が付いていた。なんだか冷たくてヌルヌルして気持ち悪かったので水に流した。

蒸発した水の寒さが身に染みて、手がとても寒い。手先の動きもぎこちない。

寒さから逃れ、温もりを求めるため私はお布団に戻った。ブルブル。スヤぁ。





 朝、目を覚ますと体が重かった。これだけならよくあることだった。朝は眠いよね。

 後、基本的に私は疲れないはずだけど今は気怠い。なんだかぽけーっとした感じに。これならまぁ、貧血かなぁって思える。そもそも私は貧血になるのか謎だけど。

 それに熱もある気がする。いつもより肌が熱いけど今日の手先の温度によって感想が変わるのでこれに関しては何とも言えないが。でも床が昨日より冷たい気がする。


 それらに気づいて私は本当に自分に熱があるのか確認しようと布団に入ったまま熱を測った。布団から出たら悪寒が走って嫌な感じがしたので布団にくるまったままね。

 私は布団に包まって体温計を大動脈に刺す。

ヤベーやっちまった~血が出るぅ! 何やってんだよ私!、と思ったけど血は出なかったし、痛く無かった。そもそも頭が大丈夫か怪しいけど。

 というか自分で作っておいた機械なのに全然機能覚えてないではないか後で確認しておこう。こういった作業を定期的にしておかないと同じ用途の機械を何度も要らないのに複数個作ってしまうからね。現にこの体温計と同じ見た目の物が部屋に沢山有ってそのお蔭で布団からほとんど動かなくても取れた。

 

それで肝心の体温はというと測れなかった。


 どんな風なのか説明しますとね〜。

えーと、私が心臓の下らへんに体温計刺してたらキシャアアアって音が聞こえて慌てて服の下を見てみると居た。

ウニが。具体的に言うと胸元から目口が生えたウニがこんにちはしてた。にっこり。

 

 私はビックリして胸元に手を突っ込んでウニを握り潰した。

すると「我はぁぁあ、まだ死にたくぁ!」とウニが断末魔を上げて爆ぜた。

突っ込んだ手だけ棘が刺さって痛かった。チクチク。手に付いた黄色い内臓みたいなのを舐めると美味しかった。また食べたい。濃厚な味わいだった。


 それでだ、もう一回体温を測ろうとするとまたもや、「キシャアアア、殺さなぃ! ぶぐふっ」と胸元から聞こえて体温計が溶けてしまった。それで仕方なく脇に差したけどそもそも体温計だと思って差した物は最初に刺したもの以外は全部、只の棒でしたー!

うわー、ビックリ!


ゴッホン


 それで時間が経ってもなお体が重くて苦しかったので私はお布団に篭った。二度寝ではない。

今日は体調が悪いので安静にしておくことにしたのだ! でも全身が足が痺れるみたいなかんじで落ち着かない。頭がおかしくなりそう。あと布団の存在感がすごい。不思議と布団が硬い気がする。

 私はそれに嫌気が差して布団を飛び出した。


「寒っいぃ」


 変な声が出た。私はまた布団に篭った。暖かいのだけども落ち着かない。私は痺れるところをさすったけど何も変わらない。変な感じを解決しようと四苦八苦していたが全てが無意味だった。


 気付けば私は布団で全身を覆って三角座りをして震えていた。これが一番楽なんだよね。

吐いた息が生温い。私は冷えた手を暖めんと息を吹き掛ける。少しだけ痺れが取れた気がしたが本当に気の所為だった。残念。


 しばらく経つと背中が痛くなってきたので布団から出て寝転がる。足が普通に痺れた。そして冷えた布団が心地よくもあり、寒く不快でもあった。私はお腹に手を突っ込んでさっきのウニを舐める。美味しい。


ベロベロベロ


美味しさに取り憑かれて下品に舐めまくっていると、手がよだれでふやけていた。それにウニの内臓の黄色がついて余計汚く見えた。

私は流石に汚らしいしもう食べるのはやめようと思って手を洗いに洗面所に行く。床がひんやりしている。

 私は洗面所に向かう途中で喋りだした。


「ハァ、何で今日は体調が悪いんだろうか。……いやぁ、あー」


 私は鏡に写った自身の姿を見てとある事実に気がついてしまったのだ。

それは、何と自分の服装だった。上は薄いシャツ一枚に下は半ズボンだけ、それに微妙にシャツが縮んでてお腹が少し出てる。お腹に触れると手がとても冷たかった。布団にいたときは暖かったので気づかなかった。


「これは……」


風邪をひくのも無理はないかな。昨日はご飯を食べたあとに外で夜まで一日中機械を作っていたし、風も強かった。機会を作り終わったあとに「ふう、これで完成だ。寒い中頑張ったな〜私」とか言ってたけど寒いなら着替えろよ!昔の私ぃ……。そう思っても何にもなりはしないことに気づいて意気消沈した。


 それはさておき着替えるといこうか。私は手を洗ったあと手が冷えないように手を首筋に当てて暖めながら服を探す。

探す。探す。探す。探す。さが……しても見つからない。


服が何処にあるのかと布団に入って思索しているとカミーアさんが来た。カミーアさんは私を見てウィンクして消えた。何しに来たんだろうと思って消えたところを見ると服がおいてあった。あったかそ~!


私は思わず服を手に取った。赤い暖色系の色で温かい印象で裏地がもこもこして暖かそうだ。見た目は……華やかなトレンチコート見たいな感じだ。私は早速手にとって着てみた。


とても暖かい。

あといつの間にか風邪治ったかも!全身の痺れは殆どない。それにしても暖かい。

布団に入っているときと同じかそれ以上に暖かい。ポカポカだー!!


私は何か体が若干ヌルヌルしてる気がしたけど風邪が治った喜びと心地よさに身を任せて踊りだした。ついでに歌った。


「あったかーい〜、温い、心地い~なーやったぜ!……」


思ったより自分の歌唱力が低過ぎて嫌な気分になった。自業自得だけど私は恥ずかしいのもあってか誤魔化すように狂ったように踊り続けた。私が外に出て踊っていると地面を掘っている名無しのに会った。ふふん、寒そうな服装だ。私は踊りながら名無しのに声をかけた。


「名無しのは地面掘って何するの?」


名無しのは此方に気づいてない様子で黙々と地面を掘っている。これでは私が独り言を言ってるみたいでやばい奴ではないか。私は穴へとあたふたと落ちて名無しのに声を掛ける。


「名無しの〜! 私だよ! グゼだよ!」


あれ、気付かないな。私は名無しのを小突いた。ツンツン。まだ気付かないな。

私は意地になって名無しのを妨害した。

腕を掴んだり、足を引っ張ったり、体を揺らしたりした。ねぇねぇ無視してどうしたいの名無しの。

うぅー。私は我慢できなくなって穴を埋めだす。


ほら流石にもうわかるでしょ。


「誰だぁ! ぶっ殺すぞ! 調子乗ってんじゃねぇよ。」



名無しのが遂に喋った! 

私は名無しのが投げた土塊にぶつかって死んだ。そんなの関係なしと直ぐ様再生して名無しのの下へと向かう。


「名無しのー私だよー!」


私にやっと気付いたようで私を見る名無しのは地面を掘る手を止めた。気付くのが遅いぞ。私は苛立ちながら喋った。


「なぁ、名無しの人が話しかけてるのに無視するのはどうなんだ!」


ふんっ。名無しのは反論の余地が無いのか黙っている。私は正しい! 根拠は特にない!

私は腕なんて組んで偉そうに名無しのの返事を待つ。実際私は偉いんじゃないのか? だって…………うん。考えるまでもない……な。

名無しのが口を開く。


「幾らグゼ様と言えど人が作業してるときに話し掛けるだけならまだしも妨害をするのは良くないかと。」


んぅぅ。むむむ。私はますます背を仰け反らせて地面に仰向けに伏して言った。


「今日は風邪なので帰ります‼ バイ、バイ」


私は赤面しながら自室に帰った。






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