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思い出した



―――実家からの手紙で思い出した。


「まぁ、そう言うわけで。妹のルチルが呪いの影響でかなり消耗しているようなのです」

夕餉の席で、ふと手紙を受け取ったことをシュラさまに話せば。


「―――あぁ、ユラからは話を聞いている」


「あ、そうですよね」

ユラもその件は知っており、おさであるシュラさまに判断を仰いでくれると言っていた。その後、どうなっているのか。お聞きするのをすっかりわすれていた。いや、正確にはルチルがたまわった呪いのことをすっかり忘れてた。

※本来の賜ったの使用法とは異なります。マネしちゃだめだぞっ☆


「イェディカの身体の調子もあるから、持ち直すまではと思っていた。あまり思い出したい話でもないだろう?」


「あ、えぇ。そうですね」

やっぱりシュラさまはお優しい。でも視点によってはちょっぴりドSっ気があるように思えるのは、気のせい?


「あの、あの呪いって結局どうなるのですか?」


「そうだな。耳飾りならば、耳から徐々に、黒い炭のようなおどろおどろしい模様が全身に広がるな。今頃全身に至っているんじゃないか」

「放っておいて大丈夫なのですか?」

割とえげつない呪いね。まさかそこまでになるとは思ってもみなかった。


「模様が伸びている箇所は須らく激痛が走るが」

うおっふ。想像以上にやばい代物!―――ってことはお父さまがお手紙をくださったのも、そんな激痛でもがき叫ぶルチルの暴れっぷりに耐えられなくなったからだろうか。

お父さま、お疲れさまです。


「すごい効果ですね」

てか、ヤバい効果。


「ま、当然だろう?花嫁の持ち物に手を出したんだ」

ケロリと言うシュラさま。確かおばあさま曰く、イールーのひとたちの間では、伴侶への手出しは厳禁だと言う。それは花嫁の持ち物も同様。


伴侶が渡した贈り物に手を出すなんて、モロ制裁対象である。そこまでの思いを、付与魔法や願いを込めてイールーのひとたちは伴侶に贈るからだ。


寝取りはもちろん、既婚と知りながらナンパしたり、異性間で行き過ぎたスキンシップをしたりすれば、それによる報復もえげつないのだという。


「私が元婚約者を寝取られたことなら、心配しなくてもいいですよ?そのおかげでシュラさまのお嫁さんになれたのですから」


「―――っ、そ、そうか」

何だろう。シュラさまが照れながら視線を逸らした。そして再び私をその金色の瞳で見つめれば。


「なら、明日解呪しよう」

あ、明日なんだ。まぁ、自業自得だものね。もう一晩、我慢しとけ、妹よ。


「は、はい。お願いします。あ、耳飾りは送り返してもらった方がいいのでしょうか?」

「そうしてくれ。長の家紋も施されているしな」

私は、その旨を手紙にしたため、お父さまに送り返すことにした。これを機に、ルチルも真面目に生きて欲しいなぁとひそかに願っている。



***


その後、無事呪いは解呪されたらしい。ルチルはその後寝込み、そして寝取ったバカ王子と一緒にイールーを訴えると国王陛下に進言したらしい。


しかし、このイールーの地は辺境伯領の一部。婚約者がいる身で浮気をして、新たに婚約者の座に収まったルチルが姉のものを勝手に盗んで身に着けた挙句イールーの報復を受けたのだ。更には国の魔法師団が管理している魔道具まで盗み出してルチルに渡して窃盗を働いた件は逃れようもない醜態だ。


これは因果応報だと国王陛下に一喝された挙句、辺境伯の不興を買う気かとめちゃくちゃ怒られたらしい。そう、手紙をしたためたお父さまの字が躍っていた。


バカ王子は当面の間、謹慎。ルチルも再教育とばかりに分家でこき使われているらしい。


本来ならば修道院送りとか、除籍させることもやむを得ないのだが。花嫁の実家で、妹だと言うこともあって、シュラさまはおさとして更生するならそこまで望まないと温情をかけてくださった。


更生せずにどこかへ放り出すよりは、しっかりと本人が更生する機会をくださったことは感謝に堪えない。


―――それにしてもあのバカ王子め。どこまでもバカであった。シュラさまがお優しい方でよかった。いや、結構ドS入ってたけどね。



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