表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つき魔女と太陽の子  作者: 菜花
1/2

魔女と昔話


昔々、あるところに、1人の魔女がおりました。

魔女はとても大きな力を持っており、その力は雨を降らし大地に恵みを与え、花の蕾を開花させるほどのものでした。

強い力を持つ魔女は、その力で沢山の人々を助けました。

人々は魔女に沢山の感謝を伝え、魔女と人々は互いに助け合って暮らしていました。

しかし、そんな日々は長くは続きませんでした。

ある日、魔女の噂を聞きつけた王国の騎士が、隣国との戦争に魔女の力を使うようにと命令しにきたのです。

魔女は言いました。

「この力は人を助けるためにあるのです。人を傷つける為には使えません」

しかし騎士は

「では代わりにこの町の人間を戦場に向かわせよう」

と言いました。

魔女は恐れました。

特異な力を持つ魔女を、人と変わらないように接してくれた優しい人達が戦争で傷ついていくことに。

魔女は戦争に行くことにしました。

町の人々は魔女の身を案じましたが、魔女は笑って言います。

「帰って来たら、またみんなと一緒に暮らしたい」

と。

町の人々は魔女を待つことにしました。

戦争に行った魔女は沢山の人を傷つけ、沢山の人を癒しました。

魔女自身も沢山傷つきました。

それでも、自分を待ってくれている町の人達の為に魔女は戦いました。

そして、戦争が終わり、魔女は町に帰ってきました。

しかし、そこにあったのはかつて魔女の居た頃の町ではありませんでした。

戦争の火は想像よりもはるかに大きく、町までもを飲み込んでしまったのです。

魔女は絶望しました。

魔女の事を待っていてくれた人々は誰一人としていませんでした。

魔女は深い悲しみに暮れました。

そしてその悲しみが憎しみに代わるのはそう遅いことではありませんでした。

魔女は憎しみ、怒り、呪いました。

戦争を起こした隣国に。

自分を町から離した国に。

そしてなにより、町の人々を救う事の出来なかった自分自身に。

魔女の呪いは国中に広がり、国はほどなくして滅びました。

誰もいなくなり、木々や苔が茂り廃墟と化した町で、今も魔女は暮らし続けています。

かつての過ちを忘れない為に。

大好きな町の人々との思い出を忘れない為に。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ