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猛特訓

 アマルテイアに弟子入りすることになって始めに行ったのはレベル上げだった。下層の魔物は上層とは比べるまでもなく強力で、上層の魔物がいくらいようとも下層の魔物には勝てないらしい。鹿なんかとは比べるまでもない、ということだ。


 ちなみに(ドラゴン)は下層の魔物なんだとか。下層の魔物は生まれたてでも強いが、ドラゴンは様々な進化があるため生まれたては弱いらしい。しかし、上層から順に中層、下層へと降りていく。最終的には下層でも最上位のステータスになるそうだ。だから下層の魔物にも勝てる、というのは過程をすっ飛ばしすぎな気がするが。


 話が逸れたな。結局のところ、レベルを上げて一人でも下層で生きれるようにするだけだ。だけ、と言えるほど簡単じゃないけどな。まず気配がやばい。怖すぎて『危険察知』というスキルを獲得したくらいやばい。


 最初に戦わされたのはウルフマンという、簡単に言ってしまえば狼男と戦った。……和訳しただけだな。相手のスキルは既に所持しているものばかりだったが、俺のとはレベルが桁違いだった。『魔力感知』『魔力操作』『身体強化魔法』のレベルがMAXで『人化』はレベルが3だった。普段は普通の狼なんだと思う。


 結果は惨敗。死にかけた。ほとんど動きが見えないのだ。危険察知のスキルを獲得していなかったら、アマルテイアが助ける前に死んでいたかもしれない。


 この時にはアマルテイアに行動不能にしてもらい俺がとどめを刺した。ちなみにレベルは3上がった。俺が鹿の魔物を殺戮者と言われるほど狩って6なのに、ウルフマン一体で3レベル上がるとか……下層ヤバすぎ。


 俺自身のレベルが上がった時、ほぼすべてのスキルのレベルも上がった。恐らく『勇者』とアマルテイアの『育成者』の能力だと思うが、効果量が凄まじいな。


 アマルテイアに傷の治療をしてもらい、続けてウルフマンと戦った。さっきよりもレベルが低かったが、それでもステータスは俺の倍近くある。初戦よりレベルが上がった俺のステータスの倍だ。レベルが上がる前だったら、またアマルテイアに助けてもらわなければならなかっただろう。


 相変わらず視認することは適わなかったが、『気配感知』と『危険察知』の性能が上がったために、相手の位置を見失わず、一発ずつ攻撃を当てて何とか倒しきることができた。


 今度は4レベル上がった。変わらず全スキルが成長したが、若干伸びが減った気がする。レベルが上がるのに必要な経験値が増えた感じだ。


 その後、今日の修行は終わりとアマルテイアに言われて休めるところへと移動した。たった二回の戦闘でステータスが戦闘前の約三倍になった。しかし当然だが、アマルテイアやフルフルのステータスには全く届いていない。レベルも既に半分は達しているのに、だ。


 これは俺の予想だが、種族が関係しているんじゃないかと考えている。何かしらの条件で、より上位の種族に変化することができるのではないかと予想している。種族の鑑定結果的に確定してる様なものだけどな。まぁ、そうじゃないと生まれた時に絶対的な力の差が決まってしまうことになる。


 俺の種族は今ベビードラゴンだ。まだ分からないが、身体の成長かステータスの上昇に合わせてベビーがとれて普通のドラゴンになれるかもしれない。


 そう願おう。そうじゃなくてもレベルを上げればいいだけだ。地道に頑張って行こう。ポジティブシンキング大事に。


 今後の方針について考えながら、疲れ果てた体を休ませるために、睡魔に身を委ねた。


―――――

―――


 問答無用で叩き起された……。確かに身体の方は充分休めた。だがしかし、命が懸かった戦闘を連続して行ったからか、まだ精神的な疲労が残っている。


 この世界での身の振り方、英雄達についても考える必要があるし、中々気が休まらない。


『何か悩みでもあるのですか?』


 まるで心を呼んだかのようなタイミングで、アマルテイアが心配するように話しかけてくる。ように、と表現したのはヤギの目からは感情が読み取りにくいのだ。


 アマルテイアに聞けば分かるか?伊達に長生きしてないだろうし。英雄達については期待出来ないがステータス面では分かることもあるだろう。


『その、種族とステータスのことで質問があるのですが……』

『ステータスについてですか?』

『はい。俺のステータスは師匠やフルフルみたいに伸びなくて、種族で違いでもあるのかな、と』


 ドラゴンは下層最強クラスになると聞いたのに、伸びがイマイチなきがしてな。いくら前向きに考えても不安が消えなかったから、人に話せて少し楽になったかもしれない。


『もし種族によって違いがあるのならば、どのように対処すればいいのですか?』

『もちろん種族によってステータスの違いはありますよ。一定の条件を満たすことでより上位の姿、能力へと進化することが出来ます。よって、貴方の不安は直に解決されるでしょう』


 進化だったか。しかし他の命を奪うことで姿を変えるとは。本当にこの世界は異世界なのだと改めて実感するな。とりあえず今後の方針は決まったな。

 進化して強くなって、地上に出ることが最優先だ。他にも『人化』のスキルを上げて人間の姿を獲得したりなどの細かいことはあるが――最優先事項は外に出ること。欲を言えばフルフルも倒したいけど、間に合わないだろうな。


『では、今日はこれを倒してください』


 おっと、今日の修行が決まったようだ。アマルテイアの修行はスパルタだから、生きて帰れるか不安だ。……アマルテイアが俺を死なせることはないだろうけどな。多分。


 アマルテイアが示した先に居たのは、身体の燃えているドーベルマンのような魔物だった。この距離からでも纏っている炎の熱がきている。


 なんだアイツ。身体が燃えてて痛くないのか?……まぁいいか。いつも通りに鑑定して、ヒットアンドアウェイで慎重に戦うだけだ。


(鑑定)


――――――――――

 種族:ヘルハウンド


 年齢:17


 レベル:23


 HP:500/500

 MP:380/380

 SP:470/470


 スキル:『気配感知Lv8』『スタミナ回復速度LvMAX』『魔力感知Lv7』『魔力操作Lv7』『火魔法Lv6』『即死魔法Lv2』『熱耐性LvMAX』『自己再生Lv4』


 称号:『死神』『同族殺し』

――――――――――


 物騒だなぁ。特に『即死魔法』と『死神』の称号。しかも既存のスキルで実用的なものしかないとか、どんだけハイスペックなの?自己再生とか長期戦になるほど有利だし。勿論コピーするけど。


(鑑定)


『即死魔法』

 対象が抵抗(レジスト)に失敗すると殺すことができる。レベルが上がると成功率が上がる。


『熱耐性』

 火属性の攻撃に対する防御が上がる。レベルによって防御力が異なる。


『自己再生』

 MPを消費して傷を再生することができる。部位欠損も修復可能。レベルによって再生速度が異なる。


『死神』

 死属性の攻撃の成功率に補正がかかる。殺した相手の魂から力をランダムで奪う。


『同族殺し』

 同種族の者を食った者。同種族に対する攻撃力が上昇。


 やっぱ物騒だな。……これは本当に早期決着しないと死にそうだ。持ってないスキルはコピーして、爪を叩き込んで終わらせよう。


《スキル『模倣(コピー)』の能力により、スキル『即死魔法』『熱耐性』『自己再生』を獲得しました》


 スキル獲得の(アナウンス)を合図に、そのままヘルハウンドに向かって突っ込む――が、危険察知が反応した。


 直感に従ってその場で反転。逃げるように元の位置へ戻る。ヘルハウンドの方へ視線を向けると、一瞬前まで俺のいた場所に黒い煙の様なものが発生した。


 あれが即死魔法なのか?ヘルハウンドの遠距離攻撃の中で思い当たるのがそれしかないけど。あれにあたると発動だとしたら……結構成功率は高いみたいだな。攻撃させる隙なく攻撃。それでいこう。


 『未来予測』を発動。そして慎重に、しかし素早く距離を詰めて、ヘルハウンドの動く方向へと()()爪を振るう。


 未来予測――レベルが低い時は発動させても目に見える変化はなかった。しかしレベルが上がるにつれ相手の姿がぶれ始め、今では相手の数秒先の光景が分かる強スキルである。


 だがこのスキル、未来が見えるわけではない。『未来予測』は次に起こることを演算し、最も確率の高いものを見せるスキル。つまり、演算能力を上げるスキルなのだ。


 未来予測は見事に成功し、ヘルハウンドに吸い寄せられるように振るわれた爪が胸に鮮血の薔薇を咲かせた。


 これは致命傷だな。自己再生と即死魔法があるから油断はできないが、相手の動きが鈍るような状態になると少し攻めやすくなる。攻めやすくなれば追撃もできるし、逆に距離をとることだってできるからな。


 負傷したヘルハウンドは必死に距離をとって即死魔法を放ってきたが、危険察知を持ってる俺には発動までが遅すぎる。

 今の俺に当てるためには圧倒的な速度か、攻撃を悟らせない技量が必要だ。そんな技量があれば俺の力任せな攻撃は喰らわないだろうけどな。


 俺は身体強化魔法を最大でかけヘルハウンドとの距離を一瞬で詰めた。認識できても理解できていないヘルハウンドの喉笛を噛みちぎる。


《経験値が一定に達しました。レベルが2上がります》


《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定』『模倣(コピー)』『気配感知』『スタミナ回復速度』『念話』『魔力感知』『魔力操作』『身体強化魔法』『即死魔法』『痛覚耐性』『熱耐性』『自己再生』『未来予測』『人化』のレベルが上がります》


《レベルが一定に達しました。進化が可能になりました》


 へ?今進化って言った?


――――――――――

 種族:ベビードラゴン


 名前:成田 龍輝


 年齢:0


 レベル:15


 HP:550/550

 MP:320/320

 SP:480/480


 スキル:『鑑定Lv8』『模倣(コピー)Lv7』『気配感知Lv7』『危険察知Lv4』『スタミナ回復速度LvMAX』『念話Lv6』『魔力感知Lv8』『魔力操作Lv7』『身体強化魔法Lv7』『火魔法Lv5』『闇魔法Lv5』『神聖魔法Lv5』『雷魔法Lv5』『即死魔法Lv2』『痛覚耐性Lv5』『熱耐性Lv2』『自己再生Lv2』『未来予測Lv5』『人化Lv5』


 称号:『勇者』『村を率いる者』『殺戮者』

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