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レベルアップ

 相手は数も多く、レベルが高いが、問題なく対処できるだろう。前回の戦闘で分かったがレベルだけで勝敗が決定する訳ではないみたいだしな。残酷な種族の差、というやつだ。


 前回同様ゴブリン達からは危険な感じはしないし大丈夫だろう。油断は禁物なので警戒はしておくが……それも最低限だな。


 俺はまず一番レベルの低いゴブリンから処理することにした。そいつの背後に移動したが、やはり俺の動きはゴブリン達には見えていないようだ。そのまま躊躇せずに爪を振りかざして、袈裟斬りにした。あっさりと胴は切断され、桜色の腸が地面を紅く彩った。


 続けて隣にいたゴブリンも切り裂き、首が宙を舞った。他のゴブリン達は事態を把握出来ずにその場で棒立ちになっていたが、ゴブリンリーダーは土下座?をしていた。


 どういう意味だろう。謝ってるのか?それとも、降伏?うーん、分からん。とりあえず反撃の意思がないことだけは分かるけど。


 そんなことを考えていると、狂ったような声を上げてゴブリンが襲ってきたが、難なく対処する。……殺すことに抵抗がないと言ってもやりすぎか。今後は命大事に、だな。


《経験値が、一定に達しました。ベビードラゴンのレベルが上がります》


《熟練度が一定に達しました。スキル『模倣(コピー)』『スタミナ回復速度』『気配感知』魔力感知のレベルが上がります》


 うおっ。一気にいろいろ上がったな。えっと……?俺自身といくつかのスキルのレベルが上がったのか。なんで急にこんな上がったんだ?……もしかしなくても、俺のレベルが上がったらスキルの熟練度を獲得できるのかな?


 うん。そう考えたら、そうとしか考えられなくないな。レベルを上げることはステータス上昇以外にも利点があるのか。……怒涛のレベルアップの衝撃でゴブリンのことを忘れていた。いつの間にかゴブリンシャーマンまでゴブリンリーダーみたいに土下座もどきをしているな。もどきと表現したのは、手をだらんと足側に伸ばしてるからだ。


《条件を満たしたため、称号『村を率いる者』を獲得しました 》


 ん?また急にきたな。……あれ?この称号ってゴブリンリーダーが持ってなかったか?確認してみるか。


(鑑定)

――――――――――

種族:ゴブリンリーダー


レベル:8


スキル:『スタミナ回復速度Lv6』『気配感知Lv5』『魔力感知Lv3』『魔力操作Lv2』『身体強化魔法Lv1』

――――――――――


 消えてるな……。ん〜、じゃあこいつらの村?のリーダーは俺になったのか?あっ、鑑定のレベルも上がったし称号の効果が分かるんじゃないか?


(鑑定)


『勇者』

 世界神に異世界から召喚された者。

 経験値と熟練度の取得量が2倍になる。


『村を率いる者』

 ゴブリンの村を率いる者。

 ゴブリンが従う。


 できた……。というか、『勇者』にこんな効果があったんだ。まぁ、確かにたったのゴブリン数体に鹿のような魔物が2体だけでレベルが上がるなんて早すぎるか。


 その『勇者』に比べて『村を率いる者』の効果は微妙だな。ゴブリンを従わせられると言って俺よりも弱いから自分でやった方が早そうだ。


 ただ、戦闘面ではそうでも、手数が必要な作業だったり細かい雑用なんかは今の俺の手じゃ出来ないから頼んだりするかもな。……そういうのはゴブリンの村とやらを見てからにするか。


―――――

―――


 酷かった。それはもう酷かった。まず家は俺のものよりも酷い。丸太を正四面体みたいに組み合わせてその上に大きな葉を乗せただけ。しかも木も葉も既に腐りかけている。


 衣類は要所要所を隠している何かの皮だ。こちらも腐っているのか近づくと異臭が漂ってきた。で、食事が1番酷い。ハエがたかっていて腐り始めているものを地面に置いて管理し、食べる時には洗いもせずに素手で食べている。


 よくこんな生活で生きていたな……。ほとんど腐ってるぞ。俺は居るだけで吐き気がして来るくらいだけど。……よし。まずは建物から変えるか。



 まず初めに近くの木を切って、ゴブリンの家の隣に同じような形の家を建てた。その後、中に誰もいないことを確認してからゴブリンの家を全て壊した。ゴブリンが絶望してたが気にしない。それから三十本くらいの木を切って、ゴブリン達に作らせるように命令した。


 その間俺は歴史でやった高床式倉庫を、記憶頼りに作っていた。この中に肉を保存させるつもりだ。それからかなりの時間が経って、ゴブリン達が家を建て終えた。非力なゴブリン達では俺よりも2、3倍の時間が掛かるようだ。


 ……疲れてるな。そのまま一緒に鹿狩りに行きたかったけど、一旦休ませるか。


 俺はゴブリン達に少し休むように伝え、自作の拠点へと戻った。村に留まらないのか、って?家を新しくしたとしても服やら生物(なまもの)やらの匂いが強いから無理だった。


 拠点に戻ってる道中で、鹿の魔物に似ているが、それよりも遥かに大きな気配があったので寄っていくことにした。近づいて行くと徐々に気配の主の姿が見えてきた。そいつは2mはありそうな鹿の角があり、背中からはまるで悪魔のような大きな羽が生えている。


 怖!何あれ!?絶対やばいじゃん。あいつの姿を見てから、頭の中で本能からの危険信号がずっと鳴ってるんだけど!と、とりあえず種族を視ておくか。


(鑑定!)


《鑑定に失敗しました》


 ん……?失敗した?失敗なんて初めてだ。……不気味だな。今関わるのはやめておこう。


 俺はそこから気づかれないように静かに離れたのだった。


 なんだったんだあいつ……。あんな危険な感じがしたのは前世含めても初めてだ。鑑定も失敗したし……得体が知れないな。


―――――

―――


 翌日――体感で6時間後、ゴブリン達の疲れがそろそろとれただろうと思い、村に向かった。昨日戦闘したところまで来れば、ゴブリン達の気配が感じ取れるようになる。別れた時と同じ数なので何事もなかったようだ。


《熟練度が一定に達しました。スキル『気配感知』のレベルが上がります》


 ッ!?……びっくりしたぁ。いつも前触れもなく頭の中に響くから心臓に悪い。あ、でも確かにゴブリン達の気配が鮮明になったかもしれない。それと気配を感知する範囲が広がった?なんか、鹿の魔物の気配を感じる。さっきはなかったから多分広がったのだろう。多分。


 そんなことを考えている間にゴブリンの村に着いていたので、俺はそのまま狩りに行くと伝え準備させた。狩りに行ったが驚いた。獲物をすぐ見つけるし、背後から近づいて棍棒で頭を殴打。ほぼすべて一発で仕留めている。……こいつら、生活は酷かったが、狩りは上手なんだな。


 村に戻ったら倉庫に肉を保存するように伝えた。俺はもう既にゴブリンに対する好奇心が薄れてきていたので、ゴブリンリーダーに全て任せることにした。君臨すれども統治せず、というやつだ。この場合君臨すらしてないかな?


―――――

―――


 ゴブリンの村を放ってから体感時間三日くらい経った。俺はこの数日ずっと鹿を狩ってレベル上げをした。そんな今の俺のステータスはこんな感じだ。


――――――――――


種族:ベビードラゴン


名前:成田 龍輝


年齢:0


レベル:6


スキル:『鑑定Lv5』『模倣(コピー)Lv4』『気配感知Lv4』『スタミナ回復速度Lv6』『魔力感知Lv4』『魔力操作Lv3』『身体強化魔法Lv2』『火魔法Lv2』


HP:170/170

MP:90/90

SP:150150


称号:『勇者』『村を率いる者』『殺戮者』

――――――――――


 まず、スキルが滅茶苦茶上がった。特に鑑定の変化が凄まじい。名前、年齢が追加され、HP、MP、SPの値が具体的に表示されるようになった。称号にも変化があった。鹿の魔物――ヤングディアを殺しまくっていたら、この大変不名誉な称号をもらったのだ。


『殺戮者』

 戦闘でのステータス向上。生物を殺した時に気分が上がり一定時間ステータスが上がる。


 はっきり言って傷つく。俺は快楽殺人者ではない。ステータスが上がるのは嬉しいが、殺して気分が上がったらヘコむ。


 それから、この三日間で分かったことがいくつかある。一つ目はレベルが上がると身体が成長すること。二つ目はここが「バークン大迷宮」というこの世界で一番大きいダンジョンだということだ。ちなみに上層、中層、下層、最下層がある中で、ここは上層らしい。あとは上りと下りの階段と、丸太を投げても音の聞こえない谷があったくらいだ。


 そして俺は今日、前回不気味だった翼の生えた鹿に勝ちこのダンジョンから出るために上に上がることにしている。例の鹿男は今目の前にいる。まだ気づかれてないので鑑定して不意打ちで後ろから殺す。


(鑑定!)


――――――――――

種族:悪魔


名前:フルフル


年齢:135


レベル:37


スキル:『スタミナ回復速度Lv9』『魔力感知LvMAX』『魔力操作LvMAX』『闇魔法Lv6』『身体強化魔法Lv7』『念話Lv2』


HP:3300/3300

MP:3100/3100

SP:3000/3000


称号:『悪魔』『殺戮者』『嘘吐き』

――――――――――


 は?何このステータス……。やっぱ逃げよっかな。

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