表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/86

ラプラス

 いつも通りに世界神が遠慮せずに話しかけてきたな……。勝手に思考加速のスキルを発動させるし、やりたい放題だな。


『そう言わないでって。ちゃんと君の為になることを教えてあげるんだから許してよ』


『はぁ、もう心で会話できるんじゃないか?なぁ、もうそれでいいか?』


『……分かったよ。勝手に心を呼んだり、スキルを発動させたりしないから機嫌を直して。ね?』


 ふぅ、これで良し。心の中を簡単に見られてると思うといい気分じゃないからな。いつか知られたくないことまで知られちゃいそうだし、止められてよかった。


『……それで俺にとっていいことってなんだ?くだらなかったら許さないぞ』


『大丈夫だよ。安心してね。とりあえずその階層から7階降りてよ。会わせたい子がいるんだけど、その子には既に伝えてあるしその階層に行けば会えると思うよ。因みにその子なら死霊魔法に関する情報も持ってるよ』


 何故わざわざ情報を持ってる奴を紹介するんだ?世界の神様なんだし死霊魔法の情報くらい持ってるだろ。


『どうしてお前が教えないんだ?』


『……前にも言ったけど、僕はあまり世界には干渉してはいけないんだよ。君の手助けをしたいけど情報を持ってる子を紹介するのが限界なんだよね。あ、ちなみに会話をするくらいならいくらでも大丈夫だよ』


『……そいつは本当に知ってるんだな?』


『うん。他にもニールちゃんが知りたいことは沢山知ってるから聞いてみるといいよ。なんてったって知識を司る悪魔だからね』


 知識を司る悪魔?それ本当に大丈夫なのかよ……。まぁ、わざわざ世界神が俺のことを騙す必要もないし、油断しない程度に気をつけておくか。


『分かった、行ってみる。死霊魔法の知識を教えてもらって、使えるようになったらちゃんと返せよ?』


『大丈夫だよ、安心して。清川ちゃん達の魂は僕以外干渉出来ない空間に保管してあるから安心してね』


『……本当だな?』


『うん。大丈夫だよ』


 よし、大丈夫そうだ……。それじゃあ速攻で行って速攻で教えてもらうか。それで今度は自重せずに習得しちゃお。


『それじゃあ切るね。もし何かあればこの前みたいに【天啓】の魔法を使ってくれれば大丈夫だよ。あ、それと最後に君に会わせたい子は記憶はないけど君と同じ世界の転生者だよ』


 世界神はそう言うと繋がりを切断した。同時に強制的に発動させられていたスキルも解除され、周りの動きが元に戻った。


 ……なんかいつも爆弾を落としていくよな。あいつ絶対楽しんでるだろ。

 ……はぁ、もういい。記憶を無くしてるとか言ってたし別に大丈夫だろ。ヴェノムもある意味転生者だし、気にする事はないか。


「……フェンリル、ヴェノム。ちょっと階層を降りよう。そこに死霊魔法の知識を持ってる者がいるらしい」


『俺は別にいい』


『……我は主殿に着いていくだけだ』


 よし、別に必要なかったと思うが2人の許可はとれたな。途中にケルベロス達の階層があるし、合流して影に入ってもらうか。……眷属って便利だな。


「じゃあ、行くぞ。途中2人は知らない俺の眷属と合流するからな」


『……分かった』


『了解だ、主殿』


 ……なんか、イエスマンと話してる気分だな。いや、実際にはそんな奴と話したことはないんけど、そんな気分になってしまう。……ちょっと嫌だな。


「なぁ、別に俺の意見に絶対に賛成しなくちゃ行けないわけではないぞ?意見があれば反対意見でも言っていいからな?」


『なんで今更そんなことを言うんだ?今までそうしてきただろ』


『うむ。反対する理由がないから賛成するのだ。主殿に気を使ってるわけではないぞ』


「……そうか。それなら良い」


 この2人、意見が全部同じだな……。遠慮して欲しい訳ではないけど、そんな風に言われるとちょっとイラッとくる。

 ……俺、面倒くさ!。気を使うなと言い、相手がその通りにすればイラつく。ただの我儘だろそれ。……以前の俺ならそんなこと無かったのに。


「よし、それじゃあ行こうか。早く教えてもらいたいし、身体強化して行くからな」


 俺は身体強化魔法を発動させ、一気に駆け抜けた。掛け出す時に風でヴェノムの体が潰されていたので風魔法の練習にちょうど良いから風避けの魔法を作った。効果は前方に空気の壁を作っただけだが、案外上手くいき移動による風はなんとかなった。

 途中、ケルベロスに念話を送り合流するように指示を出した。ヴェノムの時のように繋がりから魔力を送ってもらい位置を特定、合流後、影に入ってもらいまた走り始めた。




 現在は世界神に行けと言われた階層に繋がる階段を駆け下りている。既に風魔法のレベルは6になっており、最初よりも威力が増し風避けは風避けではなくなってしまった。前方には可視化されるほどに凝縮された空気の層が半球状に広がっている。

 スキルのレベルが上がる度に改良を繰り返していたらこうなってしまった。効果は移動中に発生する風を維持・凝縮し続け、形状はいつでも自由に変更でき、風の刃にも空気の弾を撃つこともできるのだ。


 ……やり過ぎたな。何故風避けをするためだけに構築した魔法陣が時間が経つほどに強くなる魔法に改良されてしまうんだ。

 元々ちまちました作業が好きで時間や限度を忘れてのめり込んでしまう性格だったが、転生してからは真の意味で限度を忘れているな。


 それを見ていた他のものたちはと言うと、


『俺は何も見てないぞ』


 ヴェノムは現実逃避をし、


『主殿にはステータスで勝ってるはずだが、我には勝てる気がしないのだが……』


 フェンリルは自信を無くし、


『私、ノーライフキングを見タ時よリも恐怖を感ジたわ』


『僕も』


『悔しイが俺も』


 ケルベロス(1)は恐怖を感じ、


『……弱者じゃない?』


『卑怯者?』


『臆病者?』


 ケルベロス(2)は以前言ったことに疑問を持ち、


「なぁ、泣いてもいいか?」


 それを聞いた俺は傷ついていた。


 仕方ないか……。自分でもこれは異常だと思うし、いくら眷属とかの繋がりがあっても詳しいことは知らないこいつらからしたら俺が思っているのよりも化け物レベルで異常なのかもしれないしな。

 そこら辺は慣れてもらうしかないか。むしろこれからより酷くなる可能性もあるから早く慣れて欲しい。


 俺達がそんな会話をしていたら、いつの間にか世界神に言われた階層に着いていた。辺りは洞窟のような通路が広がっており、俺の目の前には1つ目の仮面を被った女が立っていた。


「……お前が世界神が俺に会わせたいと言っていた奴か?」


「ほう、君がそうなのか。まぁ、まずは私のことを鑑定してくれ。HP、MP、SPは見れないようにしてあるけど会ったばかりの君に知られるわけにはいかないからね、そこら辺は甘く見てくれよ。人間のステータスプレートがあれば簡単に見せてあげられたんだけどね……」


 ……む。鑑定のことを知ってるのか。今まで鑑定について言われなかったし、持ってる奴もヴェノムしかいなかったから恐らく世界神か邪神の関係者しか知らないだろ。……少なくともこいつは世界神か邪神の関係者だということだな。……絶対世界神の方だけど。

 ステータスプレートというのが分からないが、本人からの許可も得てるし遠慮なくステータスを見してもらおうかな。


 __________________


 種族:悪魔


 名前:ラプラス


 年齢:207


 HP:???

 MP:???

 SP:???


 スキル:『鑑定LvMAX』『能力創造LvMAX』『探知LvMAX』『スタミナ回復速度LvMAX』『魔力回復速度LvMAX』『並列演算LvMAX』『思考超加速Lv5』『念話LvMAX』『千里眼Lv8』『魔力操作LvMAX』『身体強化魔法LvMAX』『森羅万象Lv6』『神聖魔法LvMAX』『闇魔法LvMAX』『即死魔法LvMAX』『死霊魔法LvMAX』『空間魔法LvMAX』『精神攻撃無効LvMAX』『痛覚無効LvMAX』『自己再生LvMAX』『未来予測LvMAX』『物質創造LvMAX』『物質掌握LvMAX』『縮地LvMAX』


 称号:『悪魔』『転生者』『叡智』『賢者』『調合者』


 体質:物質への干渉

 __________________


 うわぁ、俺と同じくらいスキルがあるな。……恒例の鑑定とコピーをしておくか。めっちゃ便利そうなのあるし、ちょっと多いけどできるだけ情報も欲しいから知らないやつは全部やっとこ。


『能力創造』

 スキルを作り出すことができる。作り出す能力によって使用魔力が異なる。レベルによって作り出すことのできる質が異なる。


『探知』

 この世界の全ての事象を観測することができる。レベルによって観測できる事象が異なる。


『思考超加速』

 思考速度を超加速することができる。レベルによって加速できる速さが異なる。


『千里眼』

 離れた位置を視認することができる。レベルによって視認できる距離が異なる。


『森羅万象』

 属性魔法の上位魔法、精霊魔法の魔法陣を構築することができる。レベルによって構築できる魔法陣が異なる。


『空間魔法』

 空間を司る魔法。レベルによって使える魔法が異なる。


『物質掌握』

 全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、その全てを解析できる能力を獲得する。レベルによって物質から知ることの出来る情報量が異なる。


『縮地』

 対象との距離を縮めることができる。レベルによって縮める距離が異なる。


『転生者』

 異世界からの転生者。前世の霊格によって獲得できる経験値と熟練度の量が異なる。


『叡智』

 真実在や真理を捉えることのできる最高の認識能力を持つ者。この世界の知識を閲覧することができる。


 本当にラプラスの悪魔だな。物質掌握のスキルとか地球にいたピエール=シモン・ラプラスの言っていたことと同じだしな。……転生者の称号があるし、世界神が俺と同じ世界とか言ってたから、もしかしたら本人なのかもな。

 ……考察は後にして先にコピーしよ。能力創造のスキルもコピーできるし、レベルを上げたら作りたいスキルがあるんだよね。


《スキル『複製』の能力により、スキル『能力創造』『探知』『思考超加速』『千里眼』『縮地』『森羅万象』『空間魔法』、体質『物質への干渉』を獲得しました》


《条件を満たしました。スキル『物質干渉』を獲得しました》


《スキル『森羅万象』に『火魔法』『風魔法』『雷魔法』が、スキル『思考超加速』に『思考加速』がスキル『探知』に『気配感知』『危険察知』『魔力感知』が統合されます》


《熟練度が一定に達しました。スキル『森羅万象』のレベルが2上がり、スキル『複製』『思考超加速』が1上がり、スキル『探知』のレベルが3上がります》


 よし、できたな。コピーした量が多かったからちょっと頭に入ってくる情報が多かったけど、物質干渉を獲得したら楽に処理できるようになったな。

 ……今でも高性能な気がするがラプラスの物質掌握のスキルはどれくらい情報の処理が早いんだ?


「どうやら私のスキルをコピーし終わったみたいだね。世界神から聞いた時には信じられなかったけど、実際に目の前で観測できたし信じるしかないよね」


 観測……?あ、探知の能力か。レベルもMAXだったし、鑑定結果の通り全ての事象を観測できるのか。もしかして観測できたら能力創造のスキルで作れるのか?

 ……別にいいか。俺もコピーさせてもらったし、真似されても文句は言えないだろ。


「……そうか。それじゃあ世界神から聞いてるだろうけど、死霊魔法についての情報を教えてくれないか?」


 その為に来たんだしな。スキルをコピーしまくったから忘れそうになったかけど、聞かないと清川達を復活させることが出来ないからな。


「……当初私は君に情報を教えるだけのつもりだったのだが、君に興味が湧いた。私は君について行くことにするよ。……もちろん同格としてね」


 ……あれ、これもう決定事項なのか?別に俺に着いてくることは良いんだけどちゃんと死霊魔法を教えてくれるんだよな?


「……着いてくることは構わないが、死霊魔法の情報は教えろよ?」


「分かっているさ。教えないと同行させてくれないだろう?それは悲しいからね。嘘偽りなく教えさせてもらうよ」


「……なら良い。俺は今すぐ始めてもいいが、どうするんだ?」


 疲労とかは溜まってないし魔力も充分にあるからな。気力もあるから準備は完璧だ。眷属達は影に入れるから以前みたいにわざわざ離れる必要はないからな。


「私も大丈夫だよ。……それじゃあ始めていこうか。確か、死霊魔法についてだったね。世界神は君が魂を定着させる方法を知りたいと言っていたけどそれで合ってるかな?」


 魂の定着?……よく分からないが世界神と話した時にはちゃんと理解出来てたみたいだし間違ってはいないんだろ。頷いておくか。


「そうか。それでは死霊魔法を使う時に必要な依代を作っていこう。先程コピーした森羅万象のスキルで土魔法が使えるようになっているからゴーレムを作ってくれないかな?」


 確かにスキルをコピーして使えることは理解していたけど、どうやって使うかは分からないんだが……。普通にスキルのゴーレム生成を使うか……。


 俺は少し離れた位置にゴーレムを作った。中学生の身長くらいまで土が盛り上がり、徐々に人型に変化していった。人型が完成すると最後に多めに魔力を込めてゴーレムの核を生成した。


「今はこれでもいいかな……。今度君の知らない属性の特徴を教えるから覚えておいておくれよ。死霊魔法は依代の質によって結果が左右されてしまうからね」


「……分かった。次回からはそうする」


「それでは今から君に私の持っている死霊魔法についての知識を全て教える。完璧に理解できるまで魂を定着させてあげないので頑張っておくれ」


 こうして今までで1番きつい魔法の練習が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ