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プロローグ

 さて、いきなりだが俺の自己紹介をしよう。俺の名前は成田 龍輝(リュウキ)。普通の高校に通ってる普通の高校生()()()

 だが今は鬱蒼とした森の中にいる。何故こんな事になったのかは数時間前のことを思い出しながら考えて行こう。


―――――

―――


 その日(ついさっき)も普段通りに通りに授業をして、休み時間に入っていた。


「おはよう、龍輝。なにしてんの?」


 こいつは佐藤 英樹(ヒデキ)。茶色混じりの黒髪でイケメンだ。クラスのムードメーカーで昔からの幼馴染だが……俺と性格は真反対なのに何故か話しかけて来るのだ。


「読書」


 いつもと同じく、短く端的に応える。そして英樹が来たということはアイツも来るのだろう。


「あんたいつも読書、読書って他のこと出来ないの?」


 やはり来たか。こいつは鈴木 早紀(サキ)。こいつはいつも英樹の傍に居て、英樹と同じく幼馴染だ。黒髪ストレートで凛とした雰囲気なのに中身は見た目と正反対という残念な奴だ。……黙ってればアニメに出てくるような美少女なんだがな。


「……俺は参考書とかを読んで勉強もしているし、運動も最低限やってる。それに……そんなことを言うんだったらもう話しかけなくていいんじゃないか?」


 そう、俺は学校ではこいつら幼馴染に話しかけて欲しくない。この2人、見た目も性格もいいので学校でかなりの人気者なのだ。その人気者に話しかけられている俺は悪い意味で注目されている。


 俺は学校では静かに過ごしていたいのだが……。


「はぁ!?なんで私があんたに話しかけに来てるみたいに言ってるのよ!」

「実際そうだし、そう言っている」


 ほらな、やはり中身は駄目だ。まさに“人は見た目によらない”という言葉を表しているような存在だな。


「早紀は落ち着いて。龍輝も長い付き合いなんだし、話しかけてもいいだろ?」


 そんな俺たちを英樹が宥めてくる。これもいつも通りの光景だった――が、突然足元が光った。それは円の中に象形文字のようなものが描かれている、俗に言う魔法陣だ。

 仮称魔法陣の光が強まる。周りに視線を向ければ、教室にいた全員がボロボロと崩れていっているのが見えた。


()()』そう、とても痛いのだ。それがこれが夢ではなく現実であることを証明していた。


(何なんだよ、これ……)


 それを最後に俺の意識は無くなった。


―――――

―――


 気がついたら周りが真っ白い空間に立っていた。否、立っていた、というのは違うな。視線……これも厳密には違うか。とにかく、どこを見ても体がないのだ。そして、周りには白い魂のようなものが浮かんでいる。


(39……。クラスにいた人数と同じ数か。それじゃあこれは元は人間だったのか?)


 そんなことを考えていると、どこからか声が聞こえてきた。


「全員気がついたみたいだね」


 長年生きてきたような重みを感じるのに、イタズラが成功した子供のような幼い声だった。


(何だこの声?)


「あっ、僕のことは世界神と呼んでね。それで状況を説明すると、君たちには勇者として僕の世界を救って欲しいんだ。今この世界は――」


  世界神と名乗ったものから聞いた話を要約すると、こんな感じだった。この世界には魔族と人族が居て人族陣営は人間、獣人、亜人がいるらしい。


 この2族はずっと戦争をしているのだとか。しかし、最近邪神が俺たちの世界とは別の世界から異世界人を召喚したため、人族が押されているらしい。


 そのために俺たちを召喚しようとしたらしいが邪神に妨害され魂だけの召喚になってしまったそうだ。それで、魂に馴染む新しい身体を用意するから戦争に勝って欲しいらしい。


神なんだし自分でやれよと思ったが、本来神は干渉してはいけないんだとか。


 異世界に送る時に、自分の力を分けた特殊能力(スキル)を付与するので最初から強くて成長速度も早いと言っていた。


 俗に言う俺TUEEEEだ。 ……オタクだから、そういう話が好きには好きだが、いざ自分がやるとなると自信が無くなるものだな。


 そしてこれが一番重要で、戦争に勝つことが出来たら元の世界に戻してくれるそうだ。その話を聞いて全員やる気を出していたが、当たり前だと思うのは俺だけか?……俺だけみたいだな。


 補足として教会に行ったら少しだけ話せるそうなので、分からないことがあったら教会に行けばいいんだとか。


「それじゃあ、送るよ。目覚めたら僕に召喚された勇者として戦争に出されちゃうだろうけど頑張ってね」


 世界神の言葉を最後に、俺の意識は最初と同じように暗転した。


―――――

―――


 そして今、やはり俺は森の中にいた。しかも薄々気づいていたが信じ切れずにいた事がある。そ〜っと自分の手のひらを見たら人の手じゃなかった。


 その手は爬虫類のような、しかし遥かに丈夫そうな白い鱗に包まれていた。背中のほうに視線を巡らせれば、小さな羽と短い尻尾が視界に入った。


 うん。これは完全にドラゴンですねありがとうございます。……はぁ!?なんで人じゃないんだよおかしいだろ!!何なんだよ、もー!!




 はぁ、はぁ……落ち着け俺……。とにかく今の状態を確認しよう。話はそれからだ。


 俺は、世界神からもらった『鑑定』というスキルを発動させた。


ぎゃお(鑑定)!」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

種族:ベビードラゴン


名前:成田 龍輝


レベル:1


スキル:『鑑定Lv1』 『模倣(コピー)Lv1』


称号:『勇者』

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ……何だ今の声は?まさか人の言葉も喋れなくなってるのか?嘘だろ……。思いっきりドラゴンの鳴き声だったんだが。ん?え?どうしよう、どうしたらいいんだ?


 ……落ち着け俺。頭は常に冷やして冷静に、だ。ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。


 まぁ、今は言葉のことは置いといて、と。スキルは使えた。それは確認できた。次に俺の種族だがやはりドラゴンだったな。ベビードラゴンってのはなんだ?


『ベビードラゴン』

 全てのドラゴンの幼少の頃はベビードラゴンだったと言われているおり、見かけたら必ず駆除しなければならない。その肉は柔らかく、栄養豊富でとても美味である。


 名前の通りにドラゴンの子供ですね。うーん全てのドラゴンがベビードラゴンだったなら俺は全てのドラゴンになれる可能性があるってことなのか?……当たり前か。

 まぁ、そこら辺もあとから考えていくか。で、『模倣(コピー)』てのがおれの特殊スキルか。どんな能力なんだ?


模倣(コピー)Lv1』

 対象の能力を自分のスキルとして獲得できる。獲得できるスキル数は無限だが質にはスキルレベルによって上限がある。


 へぇ〜。…………これ滅茶苦茶強いんじゃないの!?上限がどこまでなのかは要検証だが、レベルを上げたら絶対強くなるだろ。


 フフフ、フハハ、フハハハハハハ。来たっこれは俺の時代が来たぞ。

 

―――――

―――

 

 危ねぇ。調子に乗っていた。もしモンスターやら危険生物に出会っていたらやばかった。周りへの警戒は怠らないようにしないとな。


 それで、落ち着いて周りを観察してみて気づいたことがある。ここは森だが……空がない。まぁ、これは異世界だから、ということで後で考えるとして、更に重要なことに気づいた。


 今の俺の現在地が分からないということである。つまり迷子だ。まずは近くに活動するための拠点を作りもっと広範囲を探索できるようにしたい。……拠点と言っても目印を作るだけだが。




 完成だ。指が人の頃よりも短くて、爪も太いのでやりにくかったが何とか作りきることができた。そして、いざ探索しよう、と言う時にガサッと後ろから音が鳴った。


 急いで振り返れば、そこに居たのは小柄な身体に緑色の体色――ゴブリンがいた。

気まぐれで投稿しました。短いですが今回はこのくらいで終わりにしたいと思います。おそらく投稿したい時にするので不安定でしょうがご了承ください。

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