~詳細情報と個人練習~
大事なお知らせです!! 現在、話を書き上げた日の翌日に投稿してるのですが、この度、小説のストックを用意するため、毎週日曜日8時に投稿することにしました!!
クレアとレインはシャワーを終え、教室へ戻ってくると、レオとアルベネロがティーリア先生の指導を受けたことで他の生徒たちに詰め寄られており、そんな場面を目撃した、クレアはアルベネロを助けるために魔導具無しで魔法を発動する。
しかし、今度はこのことに気づいた他の生徒たちにクレアが囲まれてしまい、先ほどとは打って変わって、アルベネロがクレアを助けることになるのであった。
「いつの間に魔導具無しで魔法が使えるようになったんですか⁉︎」
「他にも使える魔法はあるんですか⁉︎」
「秘密の特訓をしたんですか⁉︎」
「ちょ、ちょっと……みんな、落ち着いて」
クレアは女子生徒たちから質問責めを受け、困った様子でアルベネロへ視線を送り、助けを求めており、アルベネロは少し考えながらクレアを取り囲む生徒たちを見る。
「もうレーメ先生が戻ってくるから、座った方がいいんじゃないか?」
「あっ、言われてみたら……」
「後で教えてくださいね‼︎」
「早く座らないと怒られる‼︎」
アルベネロはクレアを囲む生徒たちへ声を掛けて、座るように促せば、慌てた様子で女子生徒たちは自分の席へ戻って行く。
「助かったわ」
「俺もさっき助けてもらったからな」
「はい。皆さん、座ってくださーい」
「終礼を始めますよ♪」
「あら、本当に戻ってきたわね」
「授業が終わってから、結構、経つからな」
アルベネロがクレアを助けた後、レーメ先生と紙の束を抱えている、ティーリア先生が教室内へ入って来たため、立っている生徒たちは全員、足早に自分の席へ向かい、椅子に座る。
「全員、戻って来てますね。ティーリア先生、お願いします」
「はい♪ 今から一枚の紙を配ります。無くさないようにしてください♪」
レーメ先生の合図と共にティーリア先生は手に抱えていた紙の束から一枚ずつ生徒たちの前に飛んでいく。
「この紙は親善試合について書かれています。目的や募集要項……もちろん、参加方法もかかれています。今から、私が要点のみ読み上げますが、皆さん、しっかり目を通すようにしてください」
「「「……‼︎」」」
レーメ先生も生徒たちと同じ紙を取り出せば、親善試合について書かれていると告げられ、教室内はざわめきだす。
「まず、この親善試合を開催する目的ですが、マリギア魔術学院との親交を深めることもありますが、トリニティシュプリームの出場者を選ぶ候補をお互いに見極めることを目的としてます」
「まさか、それにも影響するなんて……」
「これは是が非でも親善試合に出場する必要が……」
レーメ先生の言葉に、生徒たちのざわめきはさらに大きくなっていく。
トリニティシュプリームとは、参加を希望する全ての国が、各自で三人一組のチームを複数組、用意し、優勝を争う競技である。出場すること自体が名誉と言われ、様々な能力を持った実力者が登場するため、盛り上がりも国単位で行う催しの比ではない。
「皆さん、静かにしてください。続いて、募集についてですが、学力ともに担任から問題なしと判断された生徒であれば、年齢は問いません。なので、テストで赤点なんて取ると、選考で選ばれても、出場は出来ませんからね♪」
「魔法の練習と勉強、同時にしないとだな……」
「今度の中間考査、絶対、落とせない……」
親善試合の参加には成績も必要と判明すれば、何人かの生徒たちは口元を引き攣らせながらも覚悟を決めたように何度か頷く。
「そして、参加方法ですが、今日から三日間、生徒会室の前に設置される本へ、クラスと名前を記入する……とのことです。記入した時点で辞退は不可となります」
「マジか……絶対、大行列だろ」
「なるべく早く向かったほうがいいな。ギリギリだと間に合わない可能性がある」
参加方法が簡単であるため、生徒たちは今か今かと、はやる気持ちを抑えながら、レーメ先生の話が終わることを待っている。
「焦る気持ちはわかりますが、紙をちゃんと読んでから参加を希望するようにしてください。それでは、以上です」
「「「ありがとうございました」」」
レーメ先生は落ち着かない様子の生徒たちを見て、少しため息を吐きながら、終礼を終えれば、何人かの生徒が教室を飛び出していくのであった。
「……やる気満々だな」
「親善試合に何人、応募できるかしらね」
アルベネロとクレアは勢いよく飛び出して行った生徒たちを見送ると、席から立ち上がる。
「お二人ともこれからお出かけですか?」
「いや……」
「これからアルと一緒に自主練よ」
「マジかよ⁉︎ ついさっき、授業で疲労しきったところだぜ⁉︎」
アルベネロとクレアが一緒にどこかへ行こうとしていることに、レインは気づき、声を掛ける。クレアはアルベネロと自主練することを伝えると、先程の授業で疲労困憊なレオは、自主練する体力が残っていることに驚く。
「レオも頑張らないと、姉ちゃんの指導が厳しくなるかもな」
「あれ以上にか⁉︎」
アルベネロは冗談まじりに指導が厳しくなるかもしれないと伝えれば、レオは体を震わせる。
「ほら、アル、早く帰るわよ。二人とも、また明日、会いましょう♪」
「そうだな。二人、また、明日」
「ふふ。また、明日、会いましょう♪」
「またな‼︎」
クレアはレオと話す、アルベネロの手を握れば、レインとレオへ挨拶してから教室を後にする。
「よし‼︎ 俺は名前、書きに行ってくるぜ‼︎」
「ちゃんと読んでから決めないと、レーメ先生に怒られちゃいますよ?」
「うぐぅ⁉︎」
レインの言葉に、レオは駆け出そうとしていた足を止めると、レーメ先生が立っている方向へゆっくり顔を向ける。
「レオ君。後でお話があります♪」
「……明日、書きに行くぜ」
「それが無難ですね。レーメ先生にしっかり教えてもらってください」
「おう……またな」
「はい♪ また、明日♪」
レーメ先生はレオが紙をよく読んでいないことに気づいていたようで、教室から飛び出そうとしているところを静止する。
流石にレオもレーメ先生に制止されては諦めると、レインへ別れを告げて、レーメ先生の元へ歩いていく。
そして、レインも今日、応募するつもりはなく、甘いものを食べに街へ向かうのであった。
[場面は変わり、寮の入り口に戻ってきた、アルベネロとクレア……]
「ただいま」
「お邪魔します」
「二人とも、おかえりなさい♪」
アルベネロはクレアと一緒に自分の部屋へ戻ると、当然と言わんばかりに、ティーリア先生が出迎えてくれる。
「えーと……どうやって、私たちより先に着いたんですか?」
「普通に転移魔法よ? 襲撃事件の時にヴァンパイアも使ってたでしょ?」
真っ直ぐに寮へと戻ってきたはずなのに、ティーリア先生に出迎えられたため、クレアは戸惑いながら質問すると、ティーリア先生は何でもないように転移魔法で移動したことを話す。
「姉ちゃん。普通、転移魔法は使えないから」
「そう言えば……うっかりしてたわ」
「あはは……」
クレアはアルベネロとティーリア先生の会話を聞き、人外であることを再認識する。
「とりあえず……リビングに行かないか?」
「それもそうね。クレアちゃんも、リビングで待っててもらえる?」
「わかりました」
三人は玄関で話していたため、アルベネロがリビングへ移動することを提案すると、クレアの手を引いて、リビングへ移動する。
一方、ティーリア先生は台所へ移動すると何かを作り始める。
「座って待つか……」
「そうね……今日はよろしくね?」
「ああ。ただ、俺もどんなことをするのか知らないからな……」
アルベネロとクレアはティーリア先生が戻って来るのを待つために隣同士でソファーに座る。
「ふふ♪ 青春ね♪」
「あっ、姉ちゃん」
「そ、その……//」
「気にしないで♪」
ティーリア先生はお盆にコップを二つ乗せて、台所から出て来ると、隣同士でソファーに座る二人を微笑ましく眺めながら、コップを二人の前に置く。
「お姉ちゃん特製ドリンクよ♪ 今日はこれを飲んで、魔力操作の練習をしてもらうわ♪」
「魔力操作……具体的にはどうすれば?」
「アー君にマナギフトでクレアちゃんへ魔力を注いでもらうわ。クレアちゃんは注がれた魔力を十秒以内に馴染ませれるように頑張って」
「わ、わかりました」
クレアは説明された指導内容を理解しては、緊張した面持ちになる。
他人から魔力を注がれた場合、自身の身体に馴染むまでは魔法の発動に使用したりはできず、馴染むまでの時間は注がれた魔力をどれだけ操作できるかで変わる。
「ちなみに……このドリンクは何のためなんだ?」
「これは……魔力を馴染ませやすくするためのドリンクよ♪」
「そうなのか……」
「そんな効果が……」
アルベネロはコップを手に持つと、ティーリア先生に中身を確認すれば、練習のために用意したと説明され、二人は恐る恐るながらもコップに口をつける。
「少し甘いですね」
「はい。それじゃ、クレアちゃんはアー君にくっついて♪」
「ふぇ⁉︎」
「早く早く♪」
「ひゃっ⁉︎」
突然のティーリア先生から指示を出されて、クレアは驚いていれば、ティーリア先生は魔法でクレアの背中を押せば、アルベネロの胸に飛び込ませる。
「それと、この魔導具に魔力を流せば、クレアちゃんの魔力を全部、吸収してくれるわ♪」
「わ、わかりました……」
「それじゃ、あとはアー君、お願いね♪ お姉ちゃんは二人の邪魔をしないように離れちゃうから♪ 一時間ぐらいで様子を見て来るわ♪」
クレアへ腕輪型の魔導具を渡すと、ティーリア先生は足早に転移魔法でどこかへ移動してしまう。
「ティーリア先生……どうしたのかしら?」
「とりあえず……始めるか」
「ええ。よろしくね♪」
クレアはティーリア先生が足早に移動したことを不思議に感じながらも、アルベネロの言葉に頷けば、渡された魔導具へ魔力を流し込む。
「あふぅ……」
「マナギフト」
「ん、んぅ……」
説明された通り、魔導具へ魔力を流した瞬間、クレアの魔力は枯渇してしまい、脱力する。そして、アルベネロは【魔力譲与】を行い、魔力を注いでいく。
「1……2……3……」
「んんぅ……」
「頑張れ、クレア」
クレアはアルベネロに身体を預けた状態で流し込まれる魔力の違和感を消すように調整していくが、最初から十秒で出来ることはなく、三分ほど時間を要する。
「大丈夫か?」
「ええ。続けるわ」
アルベネロに心配され、クレアは問題ないことを伝えると、魔力操作の練習を繰り返す。
そして、魔導具によって、魔力を枯渇させては、【魔力譲与】で魔力を受け取り、素早く身体へ馴染ませる練習を繰り返すこと、三十分……
「マナギフト」
「んふぅ……//」
何度も繰り返している影響か、初めに比べて、クレアはアルベネロから【魔力譲与】を受けた時の反応が変わっており、微かに悩ましげな声が漏れている。
『最初よりも受け取れる魔力量が増えてるな……姉ちゃんが用意したドリンクの効果か?』
アルベネロは短時間でクレアの魔力量が増えていることに気づけば、テーブルに置かれたままのドリンクを一瞥する。
「はぁ……// はぁ……//」
「大丈夫か?」
「はぅん……‼︎」
クレアが息を荒くし始めたことに気づき、アルベネロは心配するようにクレアの肩へ触れた瞬間、よがり声が部屋の中に響く。
『アルに触れられてるだけなのに……すごく……//』
アルベネロに肩を触れられるだけでクレアは敏感に反応してしまい、魔力の操作が乱れてしまう。
「だ、大丈夫よ……//」
「でも、かなり、息切れしてるよな……? 一旦、休まないか?」
心配するアルベネロへ問題ないとクレアは伝えるが、流石に息切れをしている状態を心配しては、アルベネロは休憩するに提案する。
「そ、そうね……// それなら、あと一回、したら、休むことにするわ」
「わかった。なら、一回だけな?」
「ありがとう……//」
クレアも休憩することを受け入れれば、最後に一回だけ練習しようと、魔導具へ魔力を流し込む。
「んぅ……//」
「マナギフト」
「んん〜〜っ‼︎」
先ほどまでと同様にアルベネロは【魔力譲与】を発動した瞬間、クレアは身体中に巡る魔力を敏感に感じ、身体を震わせる。
必然、魔力操作に集中することができない状態であるが、アルベネロの魔力は数秒でクレアの身体に馴染み、身体全体に浸透する。
「ふにゃぁ……//」
「く、クレア?」
「アルゥ〜〜//」
魔力が補充されても脱力したままのクレアをアルベネロは軽く揺らし、反応を確認すると、名前を呼びながらアルベネロの胸板へ顔を押し付けて甘える。
「んんぅ♪」
「んっ⁉︎」
「ふふ♪ 美味しい♪」
クレアは上目遣いでアルベネロを見つめてはそのまま自分から唇を重ねる。突然のキスにアルベネロは驚く姿に、クレアは満足したようでゆっくりと唇を離すと、舌舐めずりをする。
『アル好きぃ♪ 好きぃ♪ 好きぃ』
何かの枷が外れたように、アルベネロへの想いが溢れ続け、感情に従うようにアルベネロを求め続ける。
「姉ちゃんの仕業か……」
「アルぅ♪」
「く、クレア、少し待っーーー」
「待てない♪ んっ♪」
いつも以上に情熱的で艶かしいクレアの様子にアルベネロは原因を察するが、それで今の状況が変わるわけではない。
そのため、クレアを無理矢理止めるわけにも行かず、しばらくの間、クレアが一方的にアルベネロを味わうのであった。
そして、魔力操作の練習を始めて、一時間後……
「お楽しみだったわね♪」
「やっぱり姉ちゃんが原因か……」
「〜〜//」
ティーリア先生が部屋へ戻ってきた頃、クレアは正気を取り戻したが、自分の行動を思い出し、湯気が出るのではないかと思えるほどに顔を真っ赤にしてしまい、ソファーに顔を押し付けて、周りから顔が見えないようにしている。
「それで、何でこんなことしたんだ?」
「もちろん、クレアちゃんを強くするためよ♪」
「……」
「はぅ〜〜//」
「逆効果じゃないのか?」
「初々しいわね♪ でも、上手くいってるみたいよ♪ アー君の魔力がクレアちゃんに移ってるから♪」
「そのためにこれを作ったのか……」
「ええ♪」
アルベネロはクレアが落ち着くまで、ソッとしておく事にすれば、ティーリア先生へ今回の行動理由を問うと、クレアを強くするためと告げられる。
ティーリア先生の言葉と、ドリンクの効果を神眼で確認、アルベネロはクレアを強くする方法を理解し、ため息を吐くのであった。
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