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~常識外れな指導方法~

 マリギア魔術学院との親善試合が行われることが生徒会から発表され、学院内が浮き立つ。特科クラスでも浮き立つ生徒は多い中、アルベネロとクレアは親善試合の参加については積極的ではなく、あまり興味のない様子であった。

 

 

 

「今日は……おっ、森だな‼︎」

「レオ君の得意な教室ですね」

「私は苦手ね。加減を間違えると、火事にしちゃうのよね」


 

 次の授業である、実技訓練のため、アルベネロ、クレア、レイン、レオの四人は指定された訓練棟の教室へ入ると、教室内はたくさんの木々が()(しげ)っている。

 


 

「確かにこの教室なら、レオの創造魔法が使いやすいだろうな」

「こういう木とかある場所こそ、俺の創造魔法を活かせるからな‼︎ 前の模擬戦じゃ、柱とかを変形させれたらよかったんだが、それすると、反則負けになりそうだったからな‼︎」


 

 

 アルベネロは生えている木に触れながら、レオを見ると、戦いやすい環境のため、いつも以上にテンションが上がっている様子であり、意気揚々(いきようよう)と話す。

 

 

「模擬戦で一緒に戦ったチームメイトとして、その判断は賢明でしたね。もし、そんなことをしようとしたら、レオ君も氷漬けにする所でした」

「それ、敵扱いだぜ⁉︎」

「はい♪ その通りです♪」

 

 


 襲撃事件発生の前日に行われた模擬戦で、レインとレオはチームを組んでいた。しかし、レオはレインの作戦で(おとり)にされており、味方すら場合によっては、敵扱いすると告げられ、レオにはレインが冗談で言っているとは思えず、口元を()()らせるのであった。

 

 

 

「はい。皆さん、集まってますかー?」

「レーメ先生が来たみたいだな。それと……」

 

 

 教室の入り口からレーメ先生の声が聞こえてくると、教室内のほぼ全員の視線が入り口へ向けられる。

 

 

「レーメ先生、ティーリア先生も参加するんですか?」

「はい。実技訓練では、必ず参加していただくことになってます」

「「「おお‼︎」」」

「皆さん、よろしくお願いしますね♪」

「「「お願いします‼︎」」」

 


 教室の入り口にはレーメ先生だけではなく、ティーリア先生も立っており、授業に参加することが告げられると、生徒たちのテンションも高まる。

 

 

 

「それでは、授業を開始します。ティーリア先生、アルベネロ君たちのこと、よろしくお願いします。何かあった場合は例の方法(・・・・)で連絡をお願いします」

「わかりました。アー君、クレアちゃん、レインさん、レオ君はわたしについて来てください」

 

 

 

 レーメ先生はティーリア先生にアルベネロ達のことを任せると、他の生徒を集めて、森の中へ入っていく。

 ティーリア先生もアルベネロ達を集めると、レーメ先生が移動した方向とは別方向へ移動し始める。

 

 

 

「かなり離れるのね」

「向こうはもう、授業を始めたみたいだな」

「確かに、始まってますね。レーメ先生のスパルタ授業が……」

「うへぇ……想像したくないぜ」

 

 

 

 ティーリア先生とアルベネロ達が移動し始めて、既に数分が経過しており、クレアはレーメ先生たちと距離をかなり離すことに対して、疑問に感じる。

 

 

 

「森の中だと視界が悪いので、距離が近いと、魔法が飛んで来て、危ないです。それと、私たちの訓練が見えないようにする必要があります」

「どうしてですか?」

「それはアー君の時間魔法を使うためです♪」

「なっ⁉︎」

「それって……‼︎」

「マジか⁉︎」

「あのラアン先生との戦いで見せた魔法ですね⁉︎」

 

 

 

 ティーリア先生がレーメ先生たちと距離を空ける理由を知り、アルベネロとレオは驚愕(きょうがく)し、クレアとレインは特別な魔法を観られるとテンションが高くなる。

 


「姉ちゃん、確認したいんだが……」

「何でも聞いてちょうだい♪」

「……マナには話してるんだよな?」

「もちろん♪ ちゃんと許可は得てるわ♪」

 

 

 アルベネロはティーリア先生の隣へ移動すると、小声で時間魔法の訓練を行うことをマナに話しているのか確認すれば、ティーリア先生は当然と頷く。

  



「ちなみに……どこまで練習するんだ?」

「クロックワールドまでするつもりよ♪」

「頭が痛くなってきた……」

 

 

 アルベネロはティーリア先生から離れると、時間魔法の訓練を行うことに対して、項垂(うなだ)れてしまうと、ため息を吐く。

 

 

「あらあら。大好きなクレアちゃんに頭でも撫でてもらいますか?」

「ふぇ⁉︎ い、今ですか⁉︎」

 

 

 ティーリア先生はアルベネロが項垂(うなだ)れているため、クレアへ話を振る。

 突然、クレアは話を振られたことと、頭を撫でることを提案されて、混乱してしまいながらもアルベネロを見つめる。


 

「あはは……流石に大丈夫だ」

「そ、そうよね……」

 

 

 アルベネロはクレアが提案を拒否しないことに嬉しく思いながらも遠慮(えんりょ)すると、皆の前では流石に恥ずかしため、クレアはホッとしながらも、少し残念にも思えてしまう。

 

 

「また、後で頼むな?」

「わ、わかっひゃわ……//」

 

 

 アルベネロから後で撫でることをお願いされ、顔を真っ赤にしながらも何度か頷けば、レインやレオが居るため、緩みそうになる口元を必死に抑え込む。

 

 

「ラブラブですね♪ 羨ましい限りです♪」

「全くだぜ‼︎」

「ふふ♪ 青春ですね♪」 

 

 

 レイン、レオ、ティーリア先生はアルベネロとクレアのやり取りを微笑(ほほえ)ましく感じており、必死にクレアが口元を緩みそうになっているのも丸わかりであった。

 

 

「皆さん、この(あた)りで訓練を始めます♪」

「「「「はい」」」」

 

 

 ティーリア先生は少し開けた森の中で立ち止まると、アルベネロ達へ向き直る。

 

 

「二人組に分かれるんですか?」

「いいえ。今日からは、私がマンツーマンで皆さんを教えます♪」



 レインはティーリア先生へ分かれるのかを確認すれば、ティーリア先生は自信満々に一対一で指導すると答える。

 

 

「まずは目標を決めましょう♪」

「目標……ですか?」

「はい♪ レオ君の目標としては、一人でクリエーションワールドが最低、三十秒、使えるようになりましょう♪」

 

 

 

 ティーリア先生はレオへ視線を向ければ、【創造世界クリエーションワールド】を一人で三十秒間、使用し続けるようになることを目標に設定する。

 

 

「なんでクリエイションワールドのこと、知ってるんですか⁉︎」

「魔法の研究をしている時に、偶然、知りました♪」

「マジか⁉︎」 

 

 

 

 レオは目標の内容に【創造世界クリエーションワールド】を指定されて、敬語(けいご)を忘れるほどに驚く。

 固有魔法に分類される魔法の大半は文書として残されているが、中には文書へ残そうとすれば、原因不明の現象により消失してしまう。そのため、使用者が口頭(こうとう)で伝える以外で全ての固有魔法を知ることは基本的にできない。

 

 

 

「次に、レインさんの目標は知覚魔法を同時に五つまで使えるようにしましょう♪」

「あ、あと三つも増やすんですか⁉︎」

「はい♪ 頑張りましょう♪」



 ティーリア先生は続けて、レインの目標を設定すると、レインは口元を()()らながらも頷く。

 

 

「クレアちゃんの目標は魔導具(まどうぐ)を使わずに、今まで使っている全ての魔法が使えるようになりましょう♪」

「は、はい‼︎ 頑張ります‼︎」

 

 

 クレアはティーリア先生が設定した目標に対して、やる気十分といった様子で、ティーリア先生は嬉しそうに頷くとアルベネロへ視線を向ける。

 

 

「最後にアー君は……」

「アルは今の時点ですごい魔法使いだからな……俺たち以上にすごい目標が来るぜ」

「ごくり……」

「あなたたち……」

 

 

 レインとレオはアルベネロへ設定される目標に対して、興味津々(きょうみしんしん)であり、クレアは二人の様子に呆れてしまう。

 

 

「操作できる時間を十秒、延ばすことが目標です♪」

「十秒かぁ……わかった」


 

 ティーリア先生は最後にアルベネロの目標を設定すれば、アルベネロは少し顔を(しか)めながらも頷く。

 

 

「……俺たちに比べて、簡単そうだな」

「そうですね……」

「アルの表情を見る限り、そんなことないと思うわよ?」

 

 

 アルベネロの目標に対して、レインとレオは少し不満そうにする。一方、クレアはアルベネロが顔を(しか)めているため簡単な目標ではないと(さっ)する。

 

 

 

「目標も決まったところで始めていきます♪ レオ君はクリエーションワールドを使ってください。魔力が枯渇したら、私がマナギフトで魔力を渡します。これを繰り返します」

「俺、魔力操作がそこまで上手くないんで、魔力もらっても、身体に馴染(なじ)ませるのに時間が……」

「大丈夫です♪ 私がレオ君の魔力に調整して、渡します♪」

「あ、はい……」

 

 

 レオはティーリア先生から説明を受けては魔力枯渇を繰り返すことになると気づき、なんとか(のが)れようと思ったが、すぐに無駄(むだ)と観念する。

 

 

 

「次にレインさん。この森のどこかに、私がとある魔導具(まどうぐ)を置いています。発見し(づら)いように魔法を掛けているので、この場所からその魔導具(まどうぐ)を知覚魔法で探してくだい。探す時には超感覚も使用してくださいね♪」

「わかりました……ちなみにどんな形かは……」

「秘密の方が訓練になります♪」

「そうですよね……」

 

 

 

 ティーリア先生から指示を受ければ、まずは知覚魔法を同時に発動から始める。

 余談だが、魔法【超感覚(エクストラセンス)】は五感を強化が可能であり、強化の幅は使用者の技量次第のため、際限はない。

 

 

 

「クレアちゃんは持ってる魔導具(まどうぐ)(えが)かれている魔方陣(まほうじん)をしっかり見て、魔方陣(まほうじん)を魔力で(えが)いてみてください♪ 出来上がったら、問題ないか確認します♪」

「わかりました。お願いします」


 

 

 クレアは制服の内ポケットから【這い寄る火蛇(スリザリンファイア)】の魔方陣(まほうじん)(えが)かれた紙を取り出すと、魔力の線を作り出し始める。【火の矢(ファイアーボルト)】の魔方陣(まほうじん)を作り出す練習をアルベネロに指導してもらっていたため、滑らかな動きで魔方陣(まほうじん)(えが)かれていく。


 

 

「それじゃ、アー君、準備は良い?」

「はぁ……」

 

 

 ティーリア先生はアルベネロの前に立つと笑顔で準備が出来ているかと確認する。アルベネロはため息を吐けば、眼の瞳孔周りに虹色の波が現れ始める。 

 

 

「まずは十から」

「……来い」



 アルベネロが覚悟を決めたように身構えた瞬間、周囲を囲むように十個の魔方陣(まほうじん)が現れる。

 そして、アルベネロに向かって、魔方陣(まほうじん)から黒炎が放たれ、地面を燃やし尽くし、衝撃で土煙が上がり、他の三人にも余波が届く。

 

 

「ヘルファイアを同時に十個⁉︎」

「それよりもアルベネロさんは大丈夫ですか⁉︎」

「アル⁉︎」

 

 

 レオは魔方陣(まほうじん)を同時に十個も作り出したことに驚くが、一方、クレアとレインは巻き上がった土煙のせいで姿が見えない、アルベネロを心配する。

 

 

「ああ……大丈夫だ。全部、避けた」

「よかったわ……」

「ホッ……」


 

 アルベネロは土煙の中から姿を現すと、黒炎が命中した様子もなく、無事であった。

 クレアとレインは安心したように息を吐けば、嬉しそうにティーリア先生が二人を眺めている。

 

 

「あらあら、クレアちゃんだけじゃなくて、レインさんにも心配してもらえるなんて、モテモテですね♪」

「二人とも、心配してくれてありがとう。俺は大丈夫だ」

「わかったわ」

「わかりました」

 

 

 

 アルベネロはクレアとレインへ大丈夫と伝えると、二人は頷いた後、自分たちの訓練へ戻る。

 

 


「心配してくれる女の子たちをこれ以上、不安にさせないためにも、全部、撃ち落とさないとね♪」

「わかった。そうする」

「それじゃ、ここからはアー君の限界まで撃ち続けるから♪」

「早速か⁉︎」



 

 ティーリア先生はアルベネロの周囲に三十個の魔方陣(まほうじん)を作り出すと、一斉に黒炎が放たれるが、瞬時に魔方陣(まほうじん)こと破壊される。

 そして、数分間、魔方陣(まほうじん)が現れ、黒炎が放たれた瞬間に破壊されることが繰り返され、魔方陣(まほうじん)が現れなくなるまで、一発も黒炎が地面に到達することはなかった。


 

  

「はぁ……‼︎ はぁ……‼︎」

「今の状態で記録は五分と十一秒……まずまずの結果ね♪」

「ここから十秒……長くするのか」

「アー君なら、すぐに達成できるから、頑張って♪」



 

 魔方陣(まほうじん)が出現しなくなると、アルベネロは額に汗をかき、必死に息を整えようとしており、ティーリア先生は満足そうに声援を送れば、レオ達の元へ移動していく。

 

 

『時間魔法……流石に燃費が悪すぎるな』

 

 

 アルベネロは息を荒くしながら、魔力を回復させるために手近の木へ背中を預け、座り込む。

 

 

『一秒間、時間を止めるのにコキュートス、一発分の魔力が減るから、使いにくいんだよな……』

 

 

 アルベネロが使いにくいと感じている時間魔法は禁術指定の魔法であり、時間魔法は時間操作という強力な力を行使(こうし)できる代償として、膨大な魔力を消費してしまう。そのため、アルベネロのように悪魔に匹敵(ひってき)する程の魔力量がなければ、まともに先頭で使用できないほどである。

 

 

『他の三人は純緒かな……』

 

 

 少し息が落ち着いてくると、クレア達の方へ視線を向ければ……

 

 

 

「クリエーションワールド、ぐへぇ……」

「はい。マナギフト。また、頑張ってください♪」

「は、はい……」

 

 

 レオは【創造世界クリエーションワールド】を発動した瞬間に魔力枯渇で脱力感に襲われると、ティーリア先生に【魔力譲与(マナギフト)】で魔力を回復してもらい、再度、【創造世界クリエーションワールド】を発動させることを繰り返す。

 

 

 

「ひゃ⁉︎ 急に触れないでくださいよ〜〜」

「この程度で集中力を乱すようじゃ、まだまだですね♪」

「うぅ……」

「早く見つけないと、どんどん触れる場所が際どくなっちゃいますからね♪」

「じょ、冗談ですよね?」

「うふふ♪」

「あっ……」

  

  

 レインは集中している中で、不意に首筋を触られては驚き、魔法を解除してしまう。慌てて、後ろに振り返れば、ティーリア先生が人差し指を立てた状態であり、早く見つけないと触れる箇所が際どくなると告げられては、身の危険を感じ、先ほど以上の集中力で探し始める。

 そして……

 

 

 

「最初にしては上出来ですね。でも、まだ細かい部分が間違ってるので、改めて、見返してください♪」

「はい‼︎」

 

 

 クレアには他の二人ほど、スパルタではない様子であり、クレアも集中しているため、他の二人がかなりのスパルタを課せられていることにはあまり気づいていない様子であった。

 

 

『……レインとレオには後で、何か(おご)った方が良いかもな』

 

 

 

 アルベネロはティーリア先生の指導に苦笑いを浮かべながらも、間違った指導ではないのだろうと思っていれば、ティーリア先生が近付いてくるため、立ち上がる。

 

 

「それじゃ、二回戦目、始めるわよ?」

「ふぅ……来い」

 

 

 アルベネロは他の三人に(おく)れを取らないようにするためにも、ティーリア先生との訓練を全力で受けるのであった。

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