~認められた想い~
お昼休みを迎え、アルベネロとクレアは寮にて、ティーリア先生が用意した昼食に舌鼓を打ったあと、アルベネロは台所へ移動し、紅茶の用意をし始める。
アルベネロが離れ、二人きりになったリビングでティーリア先生は本来の姿を現し、クレアへ敵意を向ける。動けなくなるほどの圧倒的な威圧感とアルベネロへ対する強い想いに、クレアは心が折れそうになるが、最後は自分の想いをぶつけることで、ティーリア先生は満足したように納得するのであった。
「クレア、大丈夫か?」
「え、ええ……なんとか……」
アルベネロはクレアとティーリア先生のやり取りを知らないが、かなり疲労している様子のクレアを心配すれば、紅茶を渡す。
クレアは息を整えながら紅茶を受け取ると、ゆっくりと飲み始める。
「それで……満足したか?」
「ええ♪ クレアちゃんの本心も知れて、大満足よ♪」
「なら、よかったんだが……あんまり強引なのはこれきりで頼む」
アルベネロはクレアの消耗具合からおそらく、威圧されたのだろうと予想しては、ティーリア先生へ釘を刺しておく。
「もちろん♪ クレアちゃん、大丈夫?」
「はい……もう、大丈夫です」
クレアはティーリア先生に心配されると、紅茶をテーブルに置いては大丈夫と頷く。
「その……お付き合いを認めてもらえましたか?」
「ええ♪ もちろん♪ 応援してるわ♪」
「ふにゅぅ⁉︎」
クレアは少し不安そうになりながらも、ティーリア先生へ恋人関係を認めてもらえたか、確認すれば、ティーリア先生は二人の関係を認めると、クレアをまた抱きしめる。
「ね、姉ちゃん、クレアが苦しそうだから」
「あっ、大丈夫?」
「ぷはっ、だ、大丈夫です」
アルベネロはクレアがティーリア先生に抱きしめられて、息が出来ていないことに気付くと、慌てて止める。
「ごめんね? でも、アー君に相応しい子なのか、ちゃんと確かめておきたかったのよ」
「大丈夫です……それに、アルのことが大好きなのも改めて、自覚できました……//」
「あの言葉はかなりキュンと来たわ♪」
「うぅ……//」
クレアは改めて自身が放った言葉を思い出しては恥ずかしさと照れで俯いてしまい、チラッとアルベネロへ視線を向けては逸らすを繰り返す。
「二人の関係を認めたところで、クレアちゃんに提案があるの」
「提案ですか……?」
「ええ♪ さっきも言った通り、アー君を助けられるほど、クレアちゃんは強くないわ。だから、私とアー君が魔法について、指導しようと思ってるの」
「それって……‼︎」
「悪魔である私の指導なんて受けたくないなら、無理強いはーーー」
「是非、お願いします‼︎」
「いい返事ね♪ そういうことだから、アー君も協力してね♪」
「事前に相談ぐらいして欲しかったんだが……わかった」
ティーリア先生の提案に、クレアは渡りに船と指導をお願いする。一方、事前に相談も無く、クレアへの指導に協力することになるものの、アルベネロが恋人のためにと快諾する。
「ありがとう。アル♪」
「クレアが事件のことを気にしてたのは、気づいてたから、どうにかしたいとは思ってたんだ……だから、こういう形で力になれるなら、願ってもない状況だ」
「ふふ、よろしくね♪」
「ああ。よろしく頼む」
クレアはアルベネロへ感謝を伝えれば、アルベネロにとっても渡りに船であり、互いに好意を伝え合えば、自然と二人は見つめ合い、部屋の中に甘い雰囲気が漂い始める。
「お姉ちゃんの前だって言うのに、熱いわね♪」
「「あっ……」」
「また、指導内容については放課後に伝えるから、訓練棟で練習せずに寮に戻ってくるようにね♪」
「は、はい。改めて、よろしくお願いします‼︎」
「本当に良い子ね♪ それじゃ、二人とも、時間には気をつけて。ちなみにあと二十分よ♪」
アルベネロとクレアが二人の世界に入りかけている時に、ティーリア先生は二人に声を掛けると、ハッとしたように二人は視線を逸らす。そんな二人の反応にティーリア先生は楽しそうにすると、必要なことだけを伝えて、颯爽とアルベネロの部屋を後にするのであった。
「気を遣われたわね……」
「そうだな……」
ティーリア先生が部屋から居なくなれば、必然、アルベネロとクレアは二人っきりの状況になり、気を遣われたと気づけば、少し気まずくなる。
「その……だからってことじゃないけど、していい?」
「ああ……もちろん」
「ありがとう♪」
クレアは少し恥ずかしそうにしながらもアルベネロへ伝えると、アルベネロは優しくクレアを抱き寄せて、唇を重ねる。
「んん……ねぇ、アル、私が隣に居て、幸せ?」
「当たり前だろ」
「嬉しい……もっと、幸せにしてあげるから」
一旦、顔を離し、クレアはアルベネロへ質問すると、当然のようにアルベネロは頷く。 そんなアルベネロの態度にクレアは嬉しく思うと、溢れる想いを伝える。
「はは……それは俺が言うセリフじゃないか?」
「ふふ、私が言っても良いでしょ?」
「それはーーー」
「んっ……//」
アルベネロはクレアの言葉に嬉しく感じる反面、自分がクレアへ伝える台詞なのではないかと思ってしまう。クレアもそれは理解しているようで笑みを浮かべながら聞き返せば、答えが返ってくる前に顔を近づけては、唇を塞いでしまう。
そして、数分の時が経過し、自然と顔を離せば抱きしめ合っている身体を離す。
「クレア……もっと幸せにするからな」
「嬉しい♪ アル、大好き」
「俺も大好きだ、クレア」
クレアの後にはなってしまうが、アルベネロも想いを伝えれば、自然とお互いに笑みを浮かべるのであった。
「それじゃ、教室に戻らないとね。本当に遅刻したら、大変よ」
「二人で遅刻したら、また、質問責めされそうだしな」
アルベネロとクレアは余韻を楽しみ終えると、寮を後にし、廊下を歩き始めれば……
ガヤガヤ……
「……騒がしいわね」
「そうだな……」
アルベネロとクレアが廊下を歩き始めれば、少しして喧騒が聞こえ始め、廊下を進むほどに喧騒は大きくなる。他の生徒たちも何事かと立ち止まっており、それによって、廊下が塞がって、前は進みづらくなっている。
「聞いたか⁉︎ 会長が帰ってきたみたいだぜ‼︎」
「マジか⁉︎ どこに居るんだ⁉︎」
「まだ学院には着いてないらしいぜ‼︎ 校門に行けば、見れるかもな‼︎」
「なら、行くしかねぇ‼︎」
「おお‼︎」
どこからか話し声が廊下に響いてくると二人の男子生徒が教室から廊下へ飛び出してくると、校門へ向かって、駆け出していく。
「今の話聞いた⁉︎」
「ああ‼︎ 会長が帰ってきたみたいだ‼︎」
廊下を歩いていた他の生徒たちも話し声が聞こえたのか、校門へ向かって、走り始めたため、アルベネロとクレア以外、廊下には誰も居なくなってしまう。
「やっと帰ってきたのね」
「知り合いなのか?」
「ええ。お互い大貴族の令嬢……何度もパーティーで会ってるわ。それに生徒会長をしてるから、ここで彼女のことを知らない人はまず居ないわ」
「……知らなかった」
「あ、アルが転校してくる数日前から学院を離れてたから、知らないのも仕方ないわ」
クレアと違い、話題になっている生徒会長のことをアルベネロは特に知らなかった。そのため、知らない人はまず居ないと言われてしまい、少し落ち込むと、慌ててクレアがフォローするのであった。
「とりあえず、教室に行きましょう。それと、生徒会長の名前ぐらいは覚えておいた方がいいわ」
「そうだな。名前は確か、授業の時に言ってたな……エンリエット、だったか?」
「ええ。エンリエット・ライムガルデ。大貴族の令嬢にして、現生徒会長の名前よ」
アルベネロはクレアから生徒会長の名前を教えてもらいながら、二人は校門へ向かった他の生徒たちとは違って、特科クラスの教室へ向かう。
「あっ、帰ってきました」
「おい‼︎ 大ニュースだぜ‼︎」
「生徒会長が帰ってきた話か?」
「そうなんだよ‼︎ って、知ってたのかよ‼︎」
アルベネロとクレアが教室の中に入れば、すぐにレインとレオが反応し、レオは大ニュースがあると興奮気味に二人の元へ駆け寄って来れば、アルベネロはレオが話す前に言い当てる。
「廊下を歩いていたら、そんな話が聞こえてきたんだ」
「学院中、この話題で持ちきりです」
「本当、すごい人気ね」
「あの美しさに格好良さですから……クレアさんと同じでファンクラブもあって……」
「ちょっと待って。私のファンクラブって何?」
「あっ……」
クレアはレインとの会話の中で聞こえてきた、聞き捨てならない言葉に反応すれば、詰め寄ると、クレアはあからさまに視線を逸らす。
「……そんなこと言ってないですよ?」
「今、あっ、って言ったわよね」
「き、聞き間違いですよ……」
「……」
「あ、アルベネロさ〜〜ん」
言い逃れをしようとするレインをクレアは無言でジッと見つめれば、助けを求めるように隣で立っている、アルベネロへ助けを求める。
「妹集団は前に見たが、ファンクラブまであるのは知らなかったな。俺にも詳しく教えてくれないか?」
「あっ、あっ……れ、レオ……君じゃ、意味が……」
レインはアルベネロに助けを求めるが、助けるどころか、クレアと一緒に、詰め寄られる結果となってしまう。そのため、最後にレオへ助けを求めようと思うが、無意味ではと思ってしまう。
「何でだよ⁉︎ そこは俺に助けを求めてから諦めるところだろ⁉︎」
「それじゃ、この二人から助けてもらえますか?」
「……」
レオはレインから助けを求められると、身構えていたが、特に助けを求められることもなく、レインは諦めようとしたため、思わず、指摘してしまう。
レインはレオの指摘もあり、渋々、助けを求めてみるが、レオはアルベネロとクレアを交互に見た後、顔を逸らす。
「やっぱり、無理じゃないですか‼︎」
「仕方ないだろ⁉︎ このクラスのツートップが相手だぜ⁉︎」
「諦めて、そのファンクラブが何をしてるか教えなさい」
「え、えーと……その、そんなに変な人たちじゃないですよ? かなり……いえ、ちょっと……クレアさんに熱狂的なだけで……」
「不安しかないわよ‼︎」
レインはレオへ助けを求めるが見捨てられてしまい、クレアへ問い出されてしまうと、ファンクラブについて、少しずつ話していく。
「ほ、ほら、クレアさんはとっても綺麗で強いですから……」
「妙にはぐらかすわね……?」
「そ、そんなことないですよ……?」
「それで、ただ応援してくれるだけじゃないんでしょ?」
「そ、それは……その……クレアさんに近づく悪い虫を退治したりとか……変わったルールを作ってたりする程度です……よ?」
「普通に危ない集団じゃない⁉︎ そんな集団があるなんて聞いてないわよ⁉︎」
クレアはレインが必死に話をはぐらかすため、さらに問い詰めれば、観念したようにレインはファンクラブの実態を説明する。
レインの言葉にクレアは動揺を隠せず、レインの両肩を掴んでは激しく揺らす。
「ゆ、揺らさないでください〜〜」
「クレア、流石にレインが可哀想だから」
「で、でも……」
「確認なんだが……レインがファンクラブを作ったわけじゃないよな?」
クレアに身体を激しく揺らされてしまい、レインは目を回してしまうと、流石にアルベネロは見かねてしまい、クレアを止めると、レインへファンクラブの創設者ではないかだけ確認する。
「もちろんですよ‼︎ 私はただ、ちょっと、情報を流してるだけ……」
「燃やすわよ?」
「別に個人情報は流してないです‼︎ ただ、クレアさんを妬んでる人が居たら、その情報を……」
かなり本気の声色でクレアはレインを睨めば、レインは慌てて弁解し、クレアに燃やされないために必死で個人情報は話していないと説明する。
「……はぁ、貴女なりに私を助けてくれてたと今回は思ってあげるわ」
「クレアさん……‼︎」
「今度からは私に直接、言いなさい。もしまた、そのファンクラブに言ったら……わかるわね?」
「も、もちろんです‼︎」
クレアは大きなため息を吐きながらも、今回はレインを許すと、肩を掴んでいた手を離して、今後はファンクラブに情報を流さないように約束させるのであった。
キーン、コーン、カーン、コーン
「時間だが……」
「皆さん、校門へ行ったきり、戻って来ていないみたいですね」
「全く……それでも特科クラスの生徒かしら……」
チャイムが鳴るも、教室内には何人か生徒が居らず、時折、廊下を走る音が響いてくる。
「皆さん、座って……予想通りですね……」
「おっ、レーメ先生が来たぜ‼︎」
「はい。レオ君、座ってくださいね。仕方ないので……先に皆さんへ連絡事項を伝えておきましょう」
教室内にレーメ先生が入ってくると、立っていた生徒たちはすぐに自分の席へ移動しては、椅子に座る。全員が揃っていない状況にレーメ先生はため息を吐くと、教壇に立つ。
「これから、皆さんには広場へ移動してもらいます」
「広場ですか?」
「はい。既に知っている方も居ると思いますが、エンリエットさん達が今日、学院に帰って来られました。その際に、生徒たちを集めて欲しいと要望があったため、急遽、集会を行うことになりました」
レーメ先生から広場への移動を伝えられては、移動自体に反対の声はないが理由をレーメ先生へ確認する。そうすると、生徒会長から全生徒へ話があると答えられる。
「まさか、帰ってきてすぐに集会を開くなんてね……」
「珍しいのか?」
「ええ。集会自体は何度か行われたけど、こんな急に開くことはなかったわ」
「つまり、それだけ、重要なことってことなんだろうな」
「そういうことね……」
クレアは事前告知無しで集会が行われることに驚き、アルベネロと話しながら、何が発表されるのかを予想し始める。
『きっと、マリギア魔術学院についてよね……交流日程が決まったぐらいなら、すぐに発表する必要もないはずよね……まさか、宣戦布告でもされた……なんて、あり得ないわよね』
クレアは他のクラスメイトが慌てて教室に戻ってきて、レーメ先生からお仕置きを受けている間も理由を考えるが、これといった答えが思い付くこともなく、教室に全員が揃ったところで広場へと移動していくのであった。
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