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~ある日の授業と流行?~

 決闘に勝ち、アルベネロ、クレア、レイン、レオの四人が街の散策を行った日から、数日が経過した。圧倒的な実力を見せたことにより、アルベネロへ挑戦する無謀(むぼう)な生徒は居なくなり、平穏と呼べる時間を過ごしていた。

 

 

「皆さんも知っていると思いますが、聖ソーサリ学院と同様に魔法を学ぶことができる施設は(いく)つかあります。その中でも、代表的な施設がここを含めて、三つあります」

 

 

 授業を行っているのは丸メガネを掛けている三十代前半と感じる風貌(ふうぼう)の男性、ケレン先生が授業を行なっている。

 ケレン先生は地理と歴史を担当しており、レーメ先生は魔法学を担当している。

 


「ここと、冒険者ギルド、そして、マリギア魔術学院。マリギア魔術学院には、今、生徒会の方達も訪問している最中(さいちゅう)ですね」

「ケレン先生ー。会長達はいつ、戻ってくるんですか?」

「うーん、詳しくは決まっていないようですね。学校交流の話し合いのため、生徒代表として、教師陣と一緒に訪問していますが、難航(なんこう)しているようです」

 

 

 肩に掛からない長さの茶髪をしており、黒板へスラスラと施設名を書いていきながら、生徒からの質問に答えると、授業を再開するために生徒達の方を見る。

 


難航(なんこう)している理由としては、向こうの学院と仲が悪いからです。二つの学院がなぜ、仲が悪いかと言われたら、特に理由はありません。()いてあげるなら、学院として、どちらが上か、向こうが一方的に張り合ってるだけです」



 再開したように見えて、内容は授業とあまり関係がなかったりした。

 


「おっと、授業に戻りましょうか。ここ、聖ソーサリ魔術学院は元々、ロムルス王国の領土でしたが、学院長が国王から、ここ一帯(いったい)の領土を貰い受け、聖ソーサリ魔術学院という国を建国しました。ロムルス王国の後ろ盾が有るからこそ、国として、この学院は認められていると言っても、過言ではありません」




 ケレン先生は魔法で板書(ばんしょ)しており、どんどん黒板に文字が書かれており、アルベネロは手元に置いてあるノートへ、黒板に書かれていく内容を(うつ)していく。

 

 

「冒険者ギルドの本部があるのは、セルファト法国です。冒険者ギルドはいくつもの支部があり、全ての支部を統括(とうかつ)しているのが本部です。ちなみに魔法について学ぶ場合は本部にいく必要があります」

「本部以外だと無理なんですか?」

「一人、二人ほどであれば可能なようですが、集団となると人員が足りないようです」




 冒険者ギルドは、国に(ぞく)さない独立組織であり、ギルド本部の権限は大国である、ロムルス王国と大差はないと言われている。

 冒険者ギルドに在籍する人数は数百万人と言われており、依頼(クエスト)を達成し、報酬をもらうことで、在籍する人達は生計(せいけい)を立てている。

 依頼内容は様々であり、雑用から用心棒、魔物討伐などもある。

 


「そして、マリギア魔術学院があるのは、レイラック帝国です。この国は魔法が主体ではなく、機械文明に(ひい)でており、電話といった小型機械から、列車などの大型機械を発明しています。列車については王国と帝国を(むす)ぶ、ロムレイ路線が有名です」



 黒板にはそれぞれの施設の下に国名が書かれ、線で紐付けられる。

 

 

 キーン、コーン、カーン、コーン

 

 

「おっと……それでは、今日の授業はここまでとしましょう。次回の授業は周辺諸国の地形や特産品についてです。出来れば予習しておいてくださいね」

 

 

 チャイムの音が響き渡ると、ケレン先生は教科書を手に持って、教室を後にする。授業を終えた生徒たちはそれぞれ、次の授業の準備を始めたり、体を伸ばしたりする。

 アルベネロはノートを鞄にしまうと、その場で伸びをしていた。

 

 

『次の授業は魔法学か……』

 

 

 ここ数日、授業を受けて過ごす時間にアルベネロは平穏を感じており、忙しくも楽しい学校生活を送っていた。

 

 

「やっと、許可が下りたわ」

「あぁ……ウルスラグナのか?」

「えぇ、今までにない魔導具(まどうぐ)だから、すぐに許可が下りなかったわ。でも、これで学院内でも使えるわ」

 

 

 隣に座っているクレアが嬉しそうにアルベネロへ報告する。生徒が魔導具(まどうぐ)を持つ場合、安全性と違法性の確認をするため、学院へ申請する必要があった。

 クレアは魔導銃〖ウルスラグナ〗を受け取った次の日には申請をしていたが、結果が出るまで、数日間の時間を要していた。なお、通常は当日に結果が分かる。

 

 

「クレアなら、大丈夫と思うが……」

「威力でしょ? ちゃんと練習して、加減できるようになってるから、安心して」

「数日で……すごいな」

「ふふ、ありがとう」

 

 

 クレアはアルベネロから褒められ、嬉しそうに表情を緩めるが、少し咳き込んで表情を戻す。

 

 

「……今日の実技訓練で早速、使うのか?」

「授業内容次第ね。また、アルベネロ君との模擬戦なら、使うかもしれないわね」

「その時は、お手柔らかに頼むな」

「ふふ、どうしようかしら」

 

 

 アルベネロとクレアは談笑しており、その様子を少し離れた席に座っている、レインとレオが眺めていた。

 

 

仲睦(なかむつ)まじいですね」

「全くだぜ‼︎」

「レオ君は(うらや)ましく思ったりするんですか?」

「んっ、特に思わないぜ?」

「そんな。女の子に目がない、レオ君がそんなことを……今日は(やり)が振ってきますね」

「いや、俺の扱い⁉︎」

 

 

 レインとレオの方も楽しそうに話していれば、すぐに授業開始時刻になり、教室の扉が開かれる。

 

 

「はい。皆さん、授業を始めますよ。号令は……レオ君。お願いしますね」

「はい‼︎ 起立‼︎ 気をつけ‼︎ 礼‼︎」

「「「お願いします」」」

「着席‼︎」

 

 

 教室に入ってきた、レーメ先生の指示でレオが号令を行う。レーメ先生は持っていた教科書を開け、指を黒板に()えれば、ケレン先生が書いていた文字が消える。

 

 

「今日は、魔法使いと魔術師について、ですね。皆さん、魔法と魔術の差はわかりますか?」

「はい‼︎」

「では、レオ君」

「魔法は古代魔導書に書かれた魔方陣(まほうじん)を使って、発動できるもの。魔術は魔法使いが一から魔方陣(まほうじん)を考えて、作った新しい魔法のことです‼︎」

「その通りです」

 

 

 立ち上がって、答えたレオに対して、レーメ先生は頷くと、黒板に魔法と魔術について、板書(ばんしょ)されていく。レオは自慢げに笑みを浮かべると、席へ座り直した。

 


 

「魔法と魔術の差はレオ君が答えてくれた通りです。そして、魔法使いの中でも、魔術を用いる、魔法使いのことを魔術師と呼びます」

「魔術師になるのが、やっぱり一流の(あかし)なんですか?」

「いえ、魔術師はあくまでも、最も自分に合った魔法が既存の魔法に無かったため、自分で作った人達のことです。今までにない魔法を使うということで、多くの魔法使いが目指しているということも事実ではありますが」

 

 

 

 男子生徒の質問に対して、レーメ先生は答える。その言葉に何人かの生徒は頷く。

 既存の魔法ではなく、自分だけの魔法を使用する、魔術師に憧れる、魔法使いは少なくない。

 

 

「魔法使いより魔術師の方が優秀ということではないんですか?」

「新しい魔法を作り上げた。その部分だけを見れば優秀と言えます……ここはしっかりと伝えておくべきですね」

 

 

 とある男子生徒からの質問に対して、レーメ先生は返答した後、教科書を閉じて、黒板に向いていた身体を生徒たちが座っている方向へ向ける。

 

 

「魔法使いの中でも特別な存在として、魔術師という人達は居ます。ただ、あくまでこれは一握りの人達。そして、大多数は一芸に秀でただけ(・・)の魔法使いです」

 

 

 レーメ先生の言葉に、質問した男子生徒を含めて、数人の生徒たちが顔を(かし)める。

 特別な存在として、魔術師を認識している生徒からすれば、レーメ先生の発言は良い気分ではないだろう。


 


「魔法使いは、基本的に戦うことが多くなります。それは、様々な魔法を使える魔法使いが、一人でも居るだけで、戦況は大きく変わるからです」

「魔術師だと、無理という事ですか?」

「大多数の魔術師であれば、一つの結果だけを見れば、大きな功績(こうせき)をあげます。その魔術師が作った魔法に合った状況(じょうきょう)を任せれば良いだけですから」

 


 

 レーメ先生の声色が、いつもの柔らかい感じから、ピシッと張り詰めたような声色に変わり、生徒全員に緊張を感じさせる。

 

 


「ただ、どうしても魔術師では、突然の状況変化に対応しきれないことは多いです。何故なら、魔法を作るために多くの時間を消費するため、他の魔法が(おろそ)かになってしまうからです」

「ま、魔術師にはならない方がいいと言うことですか?」

「そう聞こえるのも無理はありません。既存の魔法と比べて、劣らない効率と効果。自分に最も使いやすいと感じさせる程の適合性。そして、既にある魔法では代用不可。または、代用することが現実的ではない効果を持つ魔法を創り上げることが魔術師には必要です」

「そ、そんな無茶な……」

 


 

 レーメ先生の説明を聞き、とある男子生徒が小声で呟く。顔を(しか)めていた生徒達は諦めたような表情をしており、その様子をレーメ先生は見つめていた。

 

 

「厳しい言い方となりますが……どれだけ困難なことかを知った段階で諦める程度の覚悟であれば、魔術師を目指すという言葉は、今いる魔術師、目指している魔術師を侮辱(ぶじょく)することになります」

「そんなつもりは……」

「魔術師を(こころざ)した、多くの人達は、魔法使いとしての生涯を掛けて、魔法の作成に挑んでいます。それは、命を落としてしまう可能性があったとしても」

 

 

 魔術師を目指す人の覚悟について、説かれた生徒たちは(そろ)って、何も言えなくなる。

 魔法使いとして、正式に認められれば、安定した生活は約束されるのは周知の事実であり、魔術師にならなくとも、生活は可能である。それほど、魔法使いは重宝されている。


 

「魔法を作り出すためには、多くの時間を必要となることがほとんどです。もちろん、新しい魔法を作る際には失敗もあります。何も魔法が発動しない、それなら、良いです。しかし、重大な事故に繋がり、魔法を使えなくなる、命を落としてしまう。危険と常に隣り合わせで試行錯誤を繰り返す必要があります」

「で、でも、自分に合った魔法が無いなら、作るしか……」

「最も適した魔法が存在していないとしても、優秀な魔法使いになることは、努力次第で可能です。実例もあります」

 


 

 常に危険と隣り合わせな状況で魔法は作られていると言う事実。考えれば、すぐに気づくようなことだが、魔術師と言う特別感で、憧れていた生徒たちには衝撃的な事実であった。


 

 

「ここまで話した通り、魔術師を目指すことは簡単なことでは無く、辿り着けるかさえわからない道を歩くようなものです。教師としても、個人的にも、(すす)めることはできない道です」

「・・・・・・」

「ただ、今の話を聞いて、それでも、魔術師を目指したいと言うことであれば、その時は言ってください。私も全力でお手伝いをします」

「て、手伝ってくれるんですか?」

「当然です。私は教師として、貴方たちを導く立場。たとえ、それがどれだけ困難なことでもです」


 

 

 危険と隣り合わせと知っていながらも協力すると断言した事に、大多数の生徒は驚きを隠せないでいた。その様子にレーメ先生は一呼吸を置いて、驚きが収まるのを待ったあと、笑みを浮かべる。

 

 

「どんな魔法使いになりたいか。それは皆さん自身が決めることです。憧れでも、将来の安定でも……かっこいいから、なんて、理由でも、最後まで目指し続ける覚悟があるなら、構いません。私は全力で皆さんを導き、素晴らしい魔法使いになれるようお手伝いさせて頂きます。なので、軽い気持ちで目指して、後悔してしまう。そんなことだけは無い道を選んでください」

 

 

 レーメ先生が言い終えると、自然とどこからか拍手が起こり、どんどん拍手の音は広がっていった。

 

 

「おや……演説のようになってしまいましたね。あ、どんな道でもお手伝いするとは言いましたが、悪い道に行こうとするなら、力強くで止めちゃいますからね?」

「「「は、はい」」」

 

 

 レーメ先生の声色が柔らかくなり、生徒達の緊張も幾分か解ける。

 

 

「それでは、授業に戻りましょうか♪ 魔法使いの中には、二つ名で呼ばれる魔法使いが居ます。今回、その中でも特に有名な三人について紹介しますね」

「「「はい」」」

 

 

 レーメ先生が教科書を開けば、授業が再開される。同様に生徒達も教科書を開ければ、そこには三人の顔写真と名前が書かれている。

 

 

「まずは、殲滅(せんめつ)魔女(まじょ)こと、この学院の創立者である、マーリン学院長。そして、閃光(せんこう)の魔法剣士こと、冒険者ギルドに所属するサクハ副ギルドマスター。最後に不破(ふわ)の魔術師こと、勇者パーティーにも加入していた、メトロン・ライムガルデ公です」


 

 黒板には魔法使いの名前と二つ名が書かれていく。世界中に名前が知られており、別の国へ訪れるだけでお祭り騒ぎになる程、人気がある。

 

 

「魔術師の二つ名が付いてるということは、新しい魔法を作ったんですか?」

「その通りです。メトロン公は幾つかの新しい魔法を作りました。そのため、複数の魔術を使います。その中でも、アクティブマインと呼ばれる魔術が有名です」

 

 

 レーメ先生は、黒板に【能動地雷(アクティブマイン)】と書き、効果も追記していく。

 

 

「この魔術は特定の魔方陣(まほうじん)をいくつも配置。任意の対象が通った瞬間、爆発します。そして、最も特質している部分が魔法の持続時間です。記録では三日間、持続したと残っています」

「「「三日⁉︎」」」

 

 

 通常、魔法は魔方陣(まほうじん)に注がれた魔力が無くなれば、効果はすぐに失われていく。【這い寄る火蛇(スリザリンファイア)】のように継続して効果を発揮する魔法は存在するが、それでも数十分程度である。

 

 

「他の魔術も長く継続する魔法を使用します。また、味方を追っ手から守るため、単身で殿(しんがり)(つと)めた際、誰も通さなかったことから、今の通り名が付きました」

「かっこいい……」

「憧れる……」



 メトロン公について、説明が続く。作り上げた魔術の迫力と、積み上げた実績に、多くの生徒が感動している様子である。

 

 

「また、名前から分かる通り、メトロン公は学院の生徒会長である、エンリエットさんのお兄さんに当たります。公爵家(こうしゃくけ)の家系であることもまた、名前が知れ渡った理由の一つです」

 

 

 キーン、コーン、カーン、コーン

 

 

「時間ですね。マーリン学院長とサクハ副ギルドマスターについては、次回の授業で説明します。お昼休みの後は、訓練なので、皆さん、遅れないようにしてくださいね」

「「「はい」」」

 

 

 チャイムが鳴り、レーメ先生は授業を区切ると、教科書を持って、教室を後にする。生徒たちも教科書を閉じれば、思い思いに、お昼休みを過ごし始めた。

 

 

「アルベネロ君は今日も食堂かしら?」

「そのつもりだ。クレアは?」

「私も食堂で食べるわ。一緒にいいかしら?」

「もちろんだ。レオとレインも、一緒にどうだ?」



 アルベネロとクレアは昼食のため、席から立つ。そして、二人は後ろに振り返ると、まだ、席に座っているレインとレオに声をかける。

 

 

「俺は先約があるから、行ってくるぜ‼︎」

「あら、珍しいわね」

「そうですね。誰と食べるんですか?」

「それは秘密だ‼︎ それじゃ‼︎」

「「・・・・・・」」


 

 レオは笑顔で答えると席を立つと、足早に教室を後にする。クレアとレインは、レオの行動を見て、何かを(さっ)したような表情をすると、見送る。

 

 

「私はご一緒しますね」

「わかった。今日は三人だな」

「これが所謂(いわゆる)、両手に花状態ですね。アルベネロさん」

「改めて言わないでくれ……」

 

 

 レインは昼食に同行することが決まると、アルベネロの状態を指摘する。美少女二人と一緒に歩く一人の男子と言う構図(こうず)(まぎ)れもない、両手に花な状況であるのはアルベネロ自身も自覚しているため、気恥ずかしさが込み上げてきている。


 

 

「あら、こんなに可愛い子が側に居るのに嫌なのかしら?」

絶世(ぜっせい)の美少女を二人、独占ですよ?」

「本当に可愛いから、気恥ずかしいんだ……背中刺されないか心配だな」

「……自分で言ったことだけど、肯定までされると流石に恥ずかしいわね」

「いつの間にか攻守が逆転してますね」




 クレアとレインの言葉を肯定しながら、気恥ずかしそうにするアルベネロの様子に、クレアとレインも少し顔を赤くしてしまいながら、顔を見合わせて、小声で話すのであった。

 

 

「……行くか」

「そ、そうね」

「そうですね。早く行かないと混んじゃいます」

 

 

 アルベネロ、クレア、レインの三人は教室を後にすれば、近くにある転移の扉へ向かい始める。お昼休みなので、廊下には何人も生徒達が歩いている。

 

 

「今日は何を食べましょうか」

「ケーキじゃないのか?」

「むぅ、それはデザートで食べます。ちゃんとご飯も食べます」

「あら、私もケーキと思ったわ」

「クレアさんまで〜〜」

「「あはは」」

 

 

 廊下を歩きながら、談笑するアルベネロ達はかなり目立っているが、気にした様子もない。また、レオが居ないからか、レインが他二人に揶揄(からか)われたりしながら、歩いていた。

 

 

「……」

「急に止まって、どうしたの?」

「あ、いや……」

「何かありましたか?」

 

 

 転移の扉が見えてきた所で、アルベネロ達の横を二人組の男子生徒が通り過ぎる。

 アルベネロは男子生徒を何気なく見ると、手元につけていた黒い指輪が目に入り、自然と足が止まる。突然、足を止めたアルベネロを不思議そうにクレアとレインは見た後、アルベネロと同じように遠ざかっていく男子生徒を見る。

 

 

「あの黒い指輪……最近、よく見ると思ってな」

「そう言えば……そうね。気にならなかったわ」

「私もです……アルベネロさんに言われるまで気にならなかったですね」

流行(はや)りなのかもな……止まって、すまない。行くか」

「わかったわ」

「わかりました」

 

 

 アルベネロ達は黒い指輪を着けた男子生徒から視線を外すと、既に室名札(しつめいふだ)は〖食堂〗になっている、転移の扉を開けて、中へ入り、食堂へ移動する。

 そして、三人ともそれぞれ昼食を選べば、同じテーブルに座る。

 

 

『同じ黒い指輪を着けてる生徒が十数人……共通点は特になし……流行(はや)ってるだけなら、問題ないが……』

 


 アルベネロは席に座った後、周りを見渡すように顔を動かす。その様子にクレアとレインも同様に辺りを見渡していた。

 

 

「何人かあの指輪、付けてたわね」

「そうですね。皆さん、成績が伸び悩んでいる生徒さんって所以外は共通点はないですね」

「「えっ?」」

「えっ?」

 

 

 レインからの思わぬ言葉に、アルベネロとクレアは驚いたようにレインを見つめ、レインは、戸惑(とまど)った様子である。

 

 

「全員、知り合いなのか?」

「そんなことないですよ? ちょっと、知る機会があっただけです」

「どんな機会か気になるけど、聞かない方がいいかしらね……」

 

 

 クレアは諦めたようにテーブルへ置いた昼食を食べ始める。アルベネロとレインも食べ始めると、しばらく無言の時間が続いた。

 

 

『放課後にでも、マナに伝えておくか……あの指輪があれば良いんだが……』

 

 

 アルベネロは昼食を食べながら、今後のことを考える。黒い指輪の存在に、引っ掛かりを感じながらも。

ここまでお読みしていただき、誠にありがとうございます。

今回の物語、センシティブで運営からアウトされたら、書き換えます~

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作者:@canadeyuuki0718

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