~学園都市の表と裏~
大変長らくお待たせしました!
決闘を終え、アルベネロ、クレア、レイン、レオの四人は集まる観客から逃げながら、訓練棟を後にし、校門へ向かう。当然、校門へ向かっている間も、すれ違う生徒たちから称賛や声を掛けられるため、移動を阻まれてしまっている。
「すごいな‼︎ 一躍、有名人だぜ‼︎」
「あんまり目立つ気、なかったんだけどな……」
「諦めた方がいいわ。あんな試合をして、有名にならない方が可笑しいから」
「本当にすごい試合でした。試合の熱が抜けなくて、まだ、ウズウズしてます」
アルベネロ達は他の生徒たちの間を縫うように移動していき、校門に辿り着く。さすがに学院の外までは追いかけるつもりはないようで、他の生徒たちも離れていき、歩きやすくなる。
「どこに行くか、決まってるのかしら?」
「特に決まってないな……言った通り散策だからな」
クレアはアルベネロへ行き先を確認するも、探索が目的であるため、特に行き先は決まっていなかった。
「なら、魔導具店を目指しながら散策はどうかしら? アルベネロ君に魔導具はあんまり必要ないかもしれないけど」
「魔導具店か……興味あるな」
「決まりね。どこのお店を目指そうかしら?」
「マイスターはどうですか?」
「完全に裏路地じゃない……」
クレアの提案により、魔導具店へ向かいながら散策することが決まると、次に向かう先を考える。
そして、レインが向かう店舗を提案するとクレアは軽く呆れてしまう。
「マイスター?」
「国が作った魔導具を販売してる魔導具店とは別に個人で作った魔導具を販売してるお店の名前よ。ただ、街のかなり入り組んだところにあって、よく迷子になってる生徒が居るわ」
クレアの言葉を説明を聞き、アルベネロは少し驚く。
魔導具は専門知識さえあれば、誰でも作ることは可能だが、個人で作るものは大抵、国が製造する魔導具よりも性能は劣っており、数も作れない。しかし、どんな世界にも例外はあり、片手の指で数えられるほどだが国宝レベルの魔導具を作り出す人物は存在していることも事実であった。
「みんな、その店は使うのか?」
「俺はたまに行ってるぜ‼︎ 全然、売ってくれないけどな‼︎」
「気に入った相手にしか売らないとかか?」
「そうなんだよ‼︎」
「嘘ついちゃダメですよ、レオ君」
「いでぇぇ⁉︎」
アルベネロの質問にレオは頷きながら答えれば、レインは嗜めながら、レオの頭上に小さな氷玉を作り出し、そのまま脳天に落下させる。
当然、氷玉は脳天に直撃したため、頭部からの激痛によって、レオはそのまま蹲りながら頭を押さえている。
「マイスターで魔導具を作っているお爺さんが、その人に合った魔導具かを判断して、売ってるんです。レオ君はそんなこと考えないので……」
「止められると……ちなみにレインは買ったことあるのか?」
「私も止められて……私には合わないと言われてしまいました……」
「ちなみに何を買う予定だったんだ?」
「そ、それは……」
レインは答えづらそうにしており、少し俯きながら、人差し指同士をくっつけ、目を逸らす。
「たしか、魔剣だったぜ。ちょうど一緒に居たからな」
「レ、レオ君⁉︎」
レオが答えたことで、レインは恥ずかしそうに顔を赤くすると、慌てながらレオの口を塞ごうとする。
「魔剣かぁ……たしかに、レインじゃ、振り回されそうだな」
「うぅ……少し惹かれたんですよぉ……」
アルベネロの言葉に、とうとう、人差し指同士をくっつけながら、いじけ始める。
魔剣とは魔方陣が刻印された剣であり、魔力を流し込むことで、刻印されている魔方陣に沿った効果が発揮される。ただ、魔法を発動させるだけなら、魔導具で事、足りるため、魔法だけでなく、剣も扱えることが魔剣を使用する上の最低限の条件である。
なお、使いこなす者は魔法剣士と呼ばれる。
「クレアは何か買えたのか?」
「ええ。インフェルノの指輪を買ったわ」
「特異魔法の指輪を作れるのか。それと、この中で買えたのはクレアだけか」
「そう言うことになるわね」
「羨ましいです」
「全くだぜ」
クレアは少し自慢げにしているが、その反面、レインとレオは少し不満そうにクレアを見ている。
「それじゃ、目的地まで歩いていきましょうか」
「道案内は頼んだ」
「えぇ、アルベネロ君も気になったお店があったら、遠慮なく言うのよ」
「私も頑張って、お店とか紹介しますね」
「俺も良い店、紹介するぜ‼︎」
「わかった。みんな、よろしく頼む」
アルベネロ達は校門から街に向かって、歩き始めれば、すぐに賑やかな音が聞こえてくる。
また、音ともに様々なお店も見え始め、絨毯の上に商品を置き、販売を行っているお店もおり、賑わっていることがよくわかる。
「本日もたくさんの商品を取り揃えてるよ‼︎ もしかすると掘り出し物もあるかもよ‼︎」
「今ならドラゴンテイルの串焼きが銀貨二五枚‼︎ 五本買ってくれるなら、金貨一枚で売るよ‼︎」
至る所で客寄せの声が響き、行き交う人達は、ある者は商品を吟味し、ある者は購入した品が入っているであろう袋を両手で抱えていた。
「なぁ、ドラゴンテイルの串焼きって、一本、どのくらいだった?」
「えーと、確か、金貨一枚が相場ですね」
「……あの店、安すぎねぇ?」
「きっと、ワイバーンの肉ね。買わない方が賢明かしらね」
「いい匂いではあるんだけどな」
レオはあまりにも安いドラゴンテイルの串焼きを売っている出店を訝しげに見つめながら、通り過ぎていく。
なお、銅貨百枚=銀貨一枚。銀貨千枚=金貨一枚。金貨千枚=大金貨一枚。大金貨千枚=王金貨一枚である。
「あ、おい‼︎ そこの君‼︎」
「……」
「君だよ‼︎ そこの黒髪で制服を着てる‼︎」
「あ、俺か?」
「アルベネロ君の知り合い?」
「いや、覚えてないな」
アルベネロ達が街を散策していれば、突然、がたいのいい男に声をかけてくる。アルベネロは足を止めて、声がする方向を見るが出会った覚えはなかった。
「さっき、学院で決闘してた生徒さんだよな⁉︎ あの圧倒的な強さ、俺は感動した‼︎」
「え⁉︎ その子があの⁉︎」
「可愛い顔してるのにすごいわぁ……」
がたいのいい男の言葉に、周りにいた人達がどんどんと集まり、すぐに人集りが出来てしまう。
「腹、減ってないか⁉︎ 俺のところは食堂でな‼︎ サービスするぜ‼︎」
「そんなむさい男より、私のお店に来ないかしら? たくさんサービスするわよ?」
「子どもを誘うな‼︎」
「大丈夫よ。ちゃんと、ここから先はダメって……」
「そういう問題じゃねぇ‼︎」
がたいのいい男と、ふわっとした金髪を腰まで伸ばして、胸元がかなりはっきり見える赤いドレスを着た女性が言い合いを始める。
「今のうちに行かないか?」
「そうね。早く行きましょう」
「……」
「レオ君……」
「お、おう‼︎ 早く行こうぜ‼︎」
アルベネロ、クレア、レインは声をかけてきた二人が言い合いを始めて、こちらから意識が逸れている隙にその場を後にしようとゆっくり後ずさるが、レオだけは目が離せないようにジッとドレスを着た女性を見つめていたため、呆れた様子でレインに声をかけられて、慌てて、その場を後にする。
「街でもアルは有名人だな‼︎」
「散策するのも一苦労になったけどな」
「仕方ないわ。また、声をかけられたら、すぐ逃げましょう」
「綺麗な人が居ても、すぐに移動してくださいね? レオ君」
「お、おう‼︎ もちろんだぜ‼︎」
レインは呆れた表情でレオに伝える。レインの言葉に、レオは冷や汗を掻きながら、何度も頷く。
「ち、ちなみにアルベネロ君は、あのバカと違って、あんな女性には靡かないのかしら?」
「レオほど露骨じゃないだけで、そこまで紳士じゃないけどな」
「アル⁉︎」
「レオ君が露骨過ぎなのはその通りじゃないですか」
「レインまで⁉︎」
チラチラとクレアはアルベネロの方を見ながら、聞くため、アルベネロは苦笑いを浮かべながら答える。レオはアルベネロの言葉を聞いて驚くが、レインにすぐ窘められてしまい、ガクっと落胆した様子である。
『マナやクレアの方が綺麗だから、特に気にならないだけなんだけどな』
『……?』
『姉ちゃんも綺麗だよ』
『……♪』
レオの様子にアルベネロは少し同情しながらも、言った本人なので、レオを慰めたりはしなかった。
「ぐぅ……同じ男なんだから、アルだって、わかるだろう? 見ちまうもんなんだよ〜〜」
「まあ、わからなくはない……」
「私があの女性みたいな格好したら、見ますか?」
「俺はガン見するぜ‼︎」
「まず、止めろ」
「同じ男でも、こんなに違うものなのね……」
レインの言葉に、アルベネロとレオは真逆の反応を見せれば、クレアは呆れたようにレオを見て、ため息を吐く。
「ほら、みんな、そろそろ裏路地に入るから、はぐれないようにね?」
「アルベネロさん、手でも繋ぎますか?」
「子どもじゃないからな?」
「冗談ですよ。でも、必要になったら、いつでも言ってください」
「ありがとう。まあ、必要になったら……」
アルベネロは苦笑いを浮かべながらもレインへ感謝を伝えれば、レインも満足そうに頷く。
「私でも、クレアさんにでも……」
「きゅ、急に振らないでほしいわ。で、でも、アルベネロ君が迷ったら困るし、私は全然、繋いでも……」
突然、レインから話を振られてしまい、クレアは驚きながらもアルベネロを見ては、少し目を逸らしながらも返答る。
「わかりやすいですね」
「な、何がよ‼︎」
「言っていいんですか?」
「えっ⁉︎ こ、ここじゃ、だめ‼︎」
レインの言葉にクレアは慌てると、アルベネロとレオを一瞥してから、レインの腕を掴んでは、その場から少し離れて、何かを話し始める。
「……椅子にでも座ってようぜ?」
「どこにあるんだ?」
「今から作り出す」
「……便利だな」
レオの言葉に、アルベネロは察すると、椅子を作り出すためのスペースを用意するため、少し移動する。
「ジェネレイト。そして、クリエイト」
レオが空いたスペースに手を向けると、地面に魔方陣が現れる。そして、木などの材料と思しきものが魔方陣から現れると、瞬く間に木製の椅子が二つ分、出来上がる。
「直接、椅子を作れたりはしないのか?」
「もちろん、できるぜ‼︎ ただ、材料出すのを経由したほうが、何故かあんまり疲れないんだよな‼︎」
「そうなのか……」
「とりあえず、二人の話が終わるまでのんびりしてようぜ」
「そうだな」
作り出された木製の椅子にアルベネロとレオは座れば、二人の話が終わるのを待つ。クレアとレインはまだ話し合っており、クレアは顔を赤くしながら、レインは時折、笑いながら話していた。
そして、数分後……
「お待たせしました」
「もういいのか?」
「はい。しっかりとお話しできたので♪」
「クレアは……大丈夫か?」
「え、えぇ‼︎ 大丈夫よ‼︎」
クレアとレインは話し合いを終え、アルベネロ達の側に歩いて来たため、アルベネロとレオは椅子から立ち上がる。顔が真っ赤なクレアをアルベネロは心配し、声をかければ、クレアは慌てながらも問題ないと答えるため、それ以上、追及はしない。
「さっ、早く行きましょう〜」
「おぅ〜」
レインとレオは先に歩き始めていき、アルベネロとクレアを置いていく。
「俺の街案内じゃなかったか?」
「あはは……あの二人らしいわね」
「クレア、案内、頼めるか?」
「え、ええ。ふふ、もちろんよ♪」
入り組んだ道のため、既にレインとレオの姿はなく、アルベネロとクレアは呆れた表情になりながらも、後を追うために歩き始める。
「これは迷うな」
「えぇ、迷子になりたくなかったら、道を覚えるまでは私を頼ってね?」
「あぁ、その時はよろしく頼む」
「ええ。もちろんよ♪」
レイン達の後を追いながら、アルベネロとクレアは入り組んだ道を進んでいく。アルベネロとクレアは会話を弾ませながら歩いていれば、少しして、先に進んでいたレイン達がお店の前で立ち止まっている姿が見える。
「あ、追いつきましたね。ここが魔導具店、マイスターですよ」
「二人とも遅いぜ‼︎」
「今日は俺の案内じゃなかったのか?」
「「あっ」」
アルベネロからの指摘に、今更、気付いたレインとレオは表情が固まった。
「気にしてないから、中に入らないか?」
「お、おう‼︎ 入ろうぜ‼︎」
「そうですね‼︎ 早く入りましょう‼︎」
「あなた達……」
レオとレインの表情が固まった様子に、アルベネロは思わず苦笑してしまいながら、フォローしては、レオがお店の扉を開けて、先に中へ入っていくのでアルベネロも後をついていく。
「どうでしたか? 少しですが、二人っきりになれて?」
「楽しかったわ。ありがとう」
先にアルベネロとレオが店内へ入ったため、クレアとレインの二人だけになると、レインから笑顔でクレアに質問し、嬉しそうにクレアは感謝を伝える。
アルベネロとクレアを置いて、先に進んだのはレインが仕組んだことであり、レオは関係ないが、意図的であった。
「いえいえ♪ 恥ずかしがりやなクレアさんへのちょっとした手助けです♪ でも……」
「何かしら?」
「頑張らないと、私がアルベネロさんを……」
「えっ⁉︎」
「ふふっ、早く中に入りましょう」
「ちょ、ちょっとレイン⁉︎」
クレアに感謝をされて、嬉しそうにするレインであったが、少し意地悪な笑みを浮かべると、意味深な言葉を伝える。
レインが最後に放った意味深な言葉に対して、取り乱すクレアは戸惑い、その様子にレインは嬉しそうにしながらお店の中へ入っていく。
一人だけ店内へ入らない訳にはいかず、慌ててクレアも店内へ入るがレインの言葉が頭から離れない。
『も、もしかしてレインもアルベネロ君のことが好きなのかしら? そんなきっかけがあった? で、でも、私だって、ちゃんと評価してもらえたから、好きになっちゃったし、レインも他から見たら些細なことで?』
クレアは頭の中で自問を繰り返しながらも答えが出るわけもなく、混乱してしまいながら、レインの背中を見つめる。
『好きになる理由なんて、人それぞれよね。それにレインがアルベネロ君のことが好きでも、私がアルベネロ君が好きなことには変わらないわ』
混乱から落ち着いてきたクレアはレインの背中から目線を移動させて、アルベネロの背中を見つめる。
『アルベネロ君は、私を選んでくれるかしら……それとも、レインや他の誰か……? 一人じゃなかったりしてね』
クレアは物思いにふけながら、アルベネロへ熱い視線を向ければ、息を吐いて、冷静になると、少し笑みを浮かべて、楽しそうにする。
「誰もいないな?」
「休みだったか?」
「休みだったら、お店の鍵ぐらい閉まってるわよ」
「それもそうか‼︎」
「お爺さん、居ませんか~?」
アルベネロ達、四人以外は店内に居らず、レインが店内に響くように呼び掛けるが特に返答はない。店内には様々な魔導具と思しき、指輪やブレスレット、剣や盾などがあり、服なども置いてある。
「どうする?」
「少し待ちますか?」
「それが無難かしらね」
「客が来たぜ‼︎」
レオが大きな声で呼び掛けると、レインの時よりも、店内に声が響き渡る。
そして、すぐに足音が聞こえてくると、店の奥にある扉が開き、杖をついた老人が現れる。
「全く……よく響く声じゃな」
「また来たぜ‼︎」
「バカが煩くてごめんなさいね」
「元気なのはいいことじゃが、些か、騒がしいのは確かじゃな。それで今日は……っと聞くまでもなさそうじゃな」
「はい。今日はアルベネロさんに、ここを紹介しようと思って来ました」
「初めまして。アルベネロです」
「礼儀正しいのぉ。ふむふむ……」
アルベネロは老人に挨拶すると、老人はアルベネロを少し観察し、上から下まで黙視すると、息を吐く。
「アルベネロよ。付いてくるのじゃ。他の者はここで商品でも見ておれ」
「私達は付いていっちゃダメなのかしら?」
「ダメじゃ」
「……わかったわ」
「こっそり付いてくるでないぞ。特に……」
「わかってるわかってる。もうあんな思い懲り懲りだぜ」
「行ってらっしゃい〜」
「あぁ……行ってきます?」
アルベネロは突然、見知らぬ老人について来るように言われ、三人から送り出されてしまうと、不思議に思いながら、老人の後をついていき、扉の先へと進む。
扉の先には幾つかのテーブルがあり、商品と思しき、数個の魔導具が置いてある。老人はさらに奥へと進み、壁の前で立ち止まる。
「……お主には、この壁がどう見える?」
「壁にしか見えないですが?」
「敬語はいらん。堅苦しいのは抜きじゃ」
「わかりま……わかった」
「改めて、本当に壁にしか見えぬか?」
老人は鋭い視線をアルベネロへ向ける。アルベネロは再度、老人の前にある壁を見つめる。そして、壁に少しだが魔力が込められていることに気づく。
「気付いたようじゃな」
「どうして試したんだ?」
「何、マーリンが惚れ込んだ男がどのぐらい優秀かと思ってのぉ。まあ、流石に学生とは思わなかったがのぉ」
「マーリンとはどんな関係なんだ?」
「複雑じゃが、そうじゃのぉ。師弟関係と言った方がよいかの。今では教えることも無くなって、歳の離れた友人に近いかもしれぬがのぉ」
「そうなのか⁉︎ ちなみにどこまで俺のことをマーリンは話したんだ?」
老人がマナの師匠であることを知ったアルベネロは驚きながら少し警戒する。
「警戒は不要じゃ。マーリンから聞いたことは惚気話が大半じゃ。まあ、お主が隠しておる、眼の事は聞いたがのぉ」
「そうか……あと、別に惚気話になるようなことはした覚えないんだが」
「そんな些細なことはどうでもいいのじゃ。 それと、わしがお主をここに呼んだのマーリンの話を聞いて、わしの作った最低傑作を見せようと思ったからじゃ」
老人はアルベネロからの返答を待たずに壁に向かって、歩き出すと、壁をすり抜けていく。アルベネロも後を追うように壁を通り過ぎると、そこには多数の鉱石、そして、巨大な魔方陣が地面に描かれている。
「最高じゃないのか?」
「最低じゃよ。お主も見ればわかる」
「……わかった」
老人は奥にある扉へ向かって歩き始める。アルベネロは周囲を見渡しながら後をついていき、老人が扉を開けて中へ入るのに続くと、そこにはいくつもの魔方陣が刻まれた石の箱が置かれて、異様な雰囲気が漂う部屋であった。
「この箱に入ってる物は全て、わしの作った、失敗作じゃ」
「最低作品もこの中にあるのか?」
「お主なら、わかるのではないか?」
「……」
老人の言葉から、アルベネロは目を閉じ、集中すると、再び、目を開けると虹色に変わる。そして、アルベネロは部屋を見渡せば、1つだけ、箱に入っておらず、刀身を布で覆っているだけの剣が置いてある。そして、その剣からは異常なほどの禍々しい魔力を纏っているのが見える。
「あれは……呪具か?」
「そうじゃ……あれは、常人が触れてはいかん物じゃ」
「どうしてそんな物を俺に見せたんだ?」
「お主なら……どうにかできるのではないかと思ってのぉ。これは、魔王が使っていた剣じゃ」
老人が放った言葉にアルベネロは目を見開いて驚く。そして、この剣との出会いがまた、様々な運命に繋がるとは、アルベネロだけではなく、老人にも思ってもみないことであった。
ここまでお読みしていただき、誠にありがとうございます。
長く時間が空きました。新しい仕事をしながらとなりますが、今後も頑張ります!
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