◇16『人外について』
人外って、我に返って見つめ直せば「化物」である。人ではないもの…人っぽいけど人から外れているもの? 人外は、美男美女だから惹かれるんだろうか……人間の部分に見惚れて「人外好き♡」と思うんだろうか――
いや違う。
人間じゃない部分の妖しさに心奪われるものだと思う。
その人間ではない部分の割合がどれぐらいかは好みかもしれない。でも、人間でない部分と人間の部分が組み合わさって何倍にも膨れ上がったものが、人外の魅力だろうと思う。
……私見ですが。
やり過ぎたって気持ちもあるけれど、これぞ人外だ――と気味の悪さを表せたんじゃないかと思う。
人間っぽい姿というのは、二足歩行、目が二つ、口一つ、鼻一つ……耳は髪で見えたり見えなかったり……いや、目とかの数なんて関係ない。一番は二足歩行かな。(二足歩行出来そうなもの・二足歩行しそうだと想像を擽られるもの、とか)
絵は、顔のみだが、人間っぽい条件を入れりゃこんなもんである。まつ毛と眉毛は些細なもの。髪はちょっと描いてみたかったから描いたが、ハゲで十分とも思う。
人外には夢がある。
人間部分の美醜なんぞ知ったこっちゃない。生物、または機械などの部分を人間の体のどこへ組み込んで描くか、人外の世界は広い……
だから、人外を描くのが好きなのかもしれない。
人外を通して、「自分らしさ」を再確認するのであります。
現実世界を書くか、異世界を書くか、どちらが自由度という「個性」が表しやすいかのようだなとは思ったり。どちらの世界が自分を表現するのに合っているのか。
ちなみに、絵を描いているときに【一族からも人間からも気味が悪いとつまはじきにされて孤独に生きていた彼女が、偶然、人間の幼い王子に出会い、その心根の優しさに命をかけて守り通すことを誓って暫く……王位を狙う者の裏切りによって窮地に立たされた彼を助けるべく別れを告げる――】なんてことを妄想しながら描いていました。アンセムって名前まで付けて(笑)
名前のなかった彼女に王子が名前を付けてあげたんです。その意味を聞いてアンセムは王子に言いました。「嫌味か?」と。
純朴な少年であった王子は、そんな彼女に「君の目を見ていたら自然と思い浮かんだんだよ」と答え、アンセムは呆れた顔をしたけれど胸が温かくなったのでありました。
そして、別れ際、アンセムが言うんです。「私の可愛い王子様、泣いたりなんかしちゃ駄目だ。あなたは王になるのだから」頬を流れる王子の涙を拭いて、腕にしがみついた小さな手を剥がし、犇めく敵兵の中へひとり戻って行くのでした。
創作ってやっぱり楽しいものですね。




